第107話 罠(1)
「だっ、誰かぁあああああああ~! 助けてぇえええええええぁ~!」
僕は声を大にして叫び続ける。
「うわぁ~、ん、うわぁ~、ん」と泣きながらだ。
だって僕が先ほども説明した通りで。
僕はどうやら獲物を捕らえる罠に掛り、獲物になったみたいなのだ。
だから僕はこのままだと、何処かの集落の者達……。
亜人や食人族、獣の胃袋を満たすための食べ物として食されてしまう。
だから僕は本当にヤバイよ! 絶対絶命だから!
「うぎゃ、あああっ! うぎゃ、あああっ! ……だッ、誰か! 誰かぁ~! 僕を助けてよぉ~!」
僕は更に大きな声で叫びまくる。
だから逆さで、吊し上げ状態──。
ブランブランと宙吊り状態でいる僕だから。
僕の頭に血が下がってくる速度が速くなっている気がするから。
僕は暇を見ては、シネマやアニメ、マンガの主人公達のように腹筋運動をしようと試みる。
でも僕はみなさんが知っての通りで、幼少の頃より塾通い一筋のガリ勉野郎──。
青瓢箪と言う、貧弱、貧相な、身体と力を持つ少年だから。
そんな体育会系のノリは出来ない。




