第98話 アイカ(2)
アイカの奴は、それを聞いて、やっと切れたみたい?
「ウゥッ、ウォン! 貴様! 辞めろと言っている、のが解らぬのかぁ! 貴様はぁ、我と男王に逆らう気かぁ!」
と、荒々しい台詞が吐いたみたいだから。
アイツはウォンの足を抱き締め、泣きながら嘆願する行為を辞め、スッと立ち上がった。
その後は、「えっ!」と驚嘆を漏らした間男の背へとドカン! と蹴りを入れ──。
ウォンの巨躯を数メートル吹き飛ばしたらしい。
だからウォンの口から。
「ア、アイカ……。お前……。気でも触れたのか……?」
ウォンの奴は多分、自分自身に何が起きたのか、理解ができなかったのではないかな?
ウォンの奴はアイカをかけた僕との二度目の対決で完全に勝利をして、後は息の根をとめてお終いになるはずけだったのに。
自分の物、女、妻だと思っていたアイカがとうとう切れて、自身のことを背後から襲った訳だから。
ウォンは自身の手をアイカに差し伸べるように伸ばしながら、呻り。
アイカを名指し尋ねた。
でも僕のこと。
自身の夫が蹴り殺されている様子を見ていて。
やっと耐え切れなくなり、切れたアイカだから。
「ウォン! 誰が酋長であるわらわの事を名指しで呼んで良いと、許可を出した! わらわを名指しで呼んでも良いのは男王だけだ! この外道がぁ!」
アイカはウォンに呻り、吠えると。
そのまま、自身へと手を差し伸べるウォンへと瞬時に詰め寄りまた蹴りを入れる。
「ウォン! 貴様はぁ! そこでジッと寝ていろ! わらわは今から家のひとの傷の治療! 癒しをせぬといかぬから。貴様は寝ていろ! もしも動いてみろ? 貴様を殺すからな、ウォン!」
アイカは間男が、自身の肩を落とし、落胆すること。
もう二度と自身が男王を名乗り覇道──。
オーク種族の女尊男卑思想を破壊するのだと言った、野心を口にすることをしなくなったらしい。
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