第97話 アイカ(1)
「クソ~、このクソガキがぁ!」
ドン! ドン!
「死ね! 死ね! 死んでしまえ!」
ガン! ガン! と。
意識が無い僕の身体を多分ウォンは?
蹴り、踏みを続けていたのだろうと思う?
それをアイカの奴は涙を流しながら。
「ウォン辞めて、辞めてよ。お願いだから」、
「このままだと家のひとが本当に死んでしまう……。しまうからお願い」と。
アイカは優艶な裸体のままで、ウォンの足へとしがみついては、僕の命乞いをしていたのだと思う?
僕が目を開けるとまだアイカの奴は阿保だから裸体のままでいたから。
多分、そうだと思う?
まあ、そんな様子のアイカなのだけれど。
ウォンの足に抱きつき、泣き叫びながら僕の命乞いを続けていても。
ウォンは僕に『お前は気が振れている! 可笑しい! 獣並みに知能が低い!』と。
『お前は変態だ!』と嘲笑い! 蔑み! 侮られている訳だから。
アイカの僕の助命嘆願を聞き入れる耳等持ってはいないから。
「煩い、アイカ! 黙れ!」、
「俺の足を離せ! アイカ!」
バカなウォンは、凝りもしないで弱い者虐め。
気を失っている僕に怒声を吐きつつ、蹴り、踏みしていたみたいだけれど。
意識のないはずの僕の口から。
「アイカさん……」と声が漏れたみたいでね。




