第94話 二度目の抗い! (1)
「こらぁっ! このクソガキ! 誰に向かって馬鹿だぁ! 阿保だと言っているんだぁ!? このクソガキがぁ!」
バチン!
ウォン奴が地面に横たわりながらも、自身の身体を丸め、防御に徹している僕の尻を蹴る音が響く。
だから僕の口から。
「うわぁ、あああっ! クソー!」と、抗う声と。
「痛い!」
悲痛な声が吐かれるから。
「ウォン! 頼むから辞めてぇ! わらわの健太に酷い事をしないでお願いだから!」
アイカの奴が今更のように自身の彼へと、僕に荒々しい行為をしないでくれと嘆願をする。
だからウォン口から何度も。
「アイカ! 煩い! お前は黙っている! これは俺とクソガキとの問題だぁ!」と。
この阿保な間男さまがアイカに対して、大変にカッコ良いことを何度も告げていたよ。
僕とウォンとでは最初から話にならないぐらいの、武に差があるから。
ウォンの阿保は自分を正当化して、僕に力づくで押し付けてきたけれど。
僕はあいつの暴力に屈することをしないで。
先ほど僕も抵抗を試みたけれど。
弱く、情けない僕自身は、この通りの様子だ。
ウォンに一方的にやられ、無様に地べたへと転がっている。
でも僕の身体は痛くて動かないけれど。
僕の口の方はまだ動くから。




