第86話 憤怒!(5)
アイカのバカは、ここで初めて我に返り。
自分自身が犯した大罪……。
アイカ自身が、取り返しがつかないことをしたと気がついたのだと思うよ?
ウォンがアイカのことを自分の妻だと僕に宣言をした訳だからね。
アイツ、自身はね、最初は一応僕がいるから無理だと言っていた訳だし。
アイカの脳内はお花畑だから、ちょっとした火遊び程度……。
後で僕が許してくれると安易に思っていたのだろう?
実際にオーク種族は女尊男卑思想だから、男ハーレムが許されるのは男王呑みで。
でも女性ハーレムは、夫を養える者達ならばいくらでもオッケーなのだ。
だからアイカとエリエは、母は一緒だけれど。
父親は違う。
それに僕にはアイカ以外にもエリエやプラウム、サラにシルフィー、ウルハと。
あの集落のアマゾネス達の主だった者達の僕は主だから、許してもらえると安易に考えていたのだと思う。
だってアイカは、ウォンの背に隠れる行為を辞め。
涙を流す僕へと。
「け、健太、これは……。そ、その、あの……。ち、違うの……。ほ、本当に何もないのよ。本当だから。ねぇ、信じて、健太……。わらわが好きなのはあなた……。わらわの主であるあなただけなの。だから信じてあなた、愛しています」
元僕の妻だったビッチ女は、自身の顔色を変え、今にも泣きそうな顔で、謝罪と嘆願……。
まあ、許して乞うてきたけれど。
流石に僕もあのバカを許す気などないから。
今ジャングル内を「クソ! クソ! 必ずあの二人! アイカとウォンは殺してやる!」と、事ある毎に、先ほど起きた事件を思い出しては、吠えている僕がいる訳だから。
いくら真っ裸のビッチなアイカが許しを乞うてこようとも。
僕の口から吐かれた言葉は。
「僕はアイカ、お前なんて大嫌いだ! もう離婚だ! お前のような女とは別れる!」と。
「……だからお前等二人のお望み通りで、僕は神殿から出て行ってやるよ!」
僕は荒々しい口調でアイカとウォンへと告げた。
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