第83話 憤怒!(2)
僕の目の先で優艶に抱き合い、愛し合う二人に対して殺意を覚えたから。
僕は背負っている籠を地面に置けば。
中に入っているモンゴーの実をとり、握り。
僕は常日頃、モンスターの如く大きなイノブタに石を投げ、追い払う要領で。
自身の足を振り上げ──!
野球部のピッチャーの用に、ボールの代わりにモンゴー実を振りかざし。
先ずはウォンへと投げた!
バチン!
ウォンの頬に上手い具合にモンゴー実が当たった。
だから間男ウォンの口から。
「いてぇ~! な、何だ、これはぁ!?」と。
驚愕した声が吐かれる。
でも、僕がモンゴーの実を投げたのは。
ウォンだけではない。
僕のことをあれから、自身の保身のために。
僕に気がある振りを装いつつ騙し。
隙あれば、ウォンを男王にするために。
僕の命を狙っていたバカな女──!
今日も僕が朝早くからアイツのためにと。
お湯を沸かし、綺麗に、洗い、清めた優艶な裸体へと。
アイカの身体が汚れるように、モンゴーの実を投げ、当ててやった!
だからアイカの口から。
「きゃぁ、あああっ!」と絶叫が放たれるけれど。
あの集落の酋長であるアイカは、気丈な女だから。
「何、これ?」と。
自身の汚れた身体の箇所を見つつ。
自身に覆い被さっているウォン──!
自身の汚れた顔を拭きながら。
「な、何だ? こ、これは……?」と。
「獣の悪戯か?」
と、呟いているウォンへと。
「ちょっと、ウォン。退いて……」
アイカのバカは、猿のような獣に悪戯をされたと思っているから。
ウォンへと荒々しい声を吐きつつ、自身に覆い被さる間男を退けると。




