第82話 憤怒!(1)
「……んん」
「……む、んう」と。
僕の目の先で相変わらず抱き合いなら、大人のキスをし合うバカな二人だったよ。
でッ、僕は最初二人の優艶な姿──。
その様子を目にして、自身の頭をハンマーでガーン! と殴られたような衝撃に駈られたよ。
だって大変に情けない僕だから、妻のアイカに裏切り行為を受けた訳じゃないか。
だから僕は呆然と無料配管中の、二人の優艶な様子を見る事しか、出来ないでいた。
そして少し間が開くと。
やっぱりコイツか!
アイカの浮気相手は!
やはりウォンの奴は、主夫のみんなが僕に嘆くように告げた通りで。
あの時ならば殺せる可能性があった!
だからアイカが止めようが、僕は殺しておくべきだったと、先ほど後悔をしたよ。
あの時のウォンの乱の最中ならば、あの男を殺せる可能性もあった。
だから僕は千載一遇の機会を逃してしまったことを後悔したのと。
アイカは夫の僕に、ウォンは一族の者だから。
僕やエリエ、ウルハに殺さないで欲しいと嘆願をしただけで。
ウォンに対してもう未練……。
そうアイツは僕に好意はないとはっきりと言っていた。
なのに? アイカの奴は、ウォンのことが好きで。
みなに遜りつつ、庇ったのだと気が付いた僕だから。
少しばかり間が開いた僕は再度嫉妬! 憎悪!
僕は大変に弱い者かも知れないけれど。




