第78話 男女の会話 (2)
「えっ! そんな事はない。わらわはあのひとの子を産む気でいるよ」
「お前、マジ言っているのか?」
「うん」
「お前なぁ、可笑しな事を考え、俺に告げるな! あんなひ弱で、弱々しい男の子を後世に残してどうするつもりだ?」
「えっ、わらわ達は夫婦だから普通に交わり、自然に任せ子を宿し、出産するともりでいたが。わらわは何か可笑しな事を申したか、お前に?」
「あのなぁ? お前は、あのエルフ女に何を吹き込まれたか知らないけれど。あんな弱々しいガキの子を身籠り産んでみろ。お前の死んだ親父さんやお袋……。前酋長が聞いたら草葉の陰から泣きながら辞めてくれと言うぞ」
「嫌、それでもわらわは家のひとを一目見て気に入ったから。わらわは家のひとの子を身籠り産むと決めたから無理……。いくら父や母が草葉の陰で泣こうとも気にもしない」
「じゃ、最初にお前が俺に告げた通りに。あのチビの子も産めば良い。そして俺の子も産むで良いじゃないか……。特に今頃のお前は、旦那が出来たためか? 以前よりも色気が増して、良い女になったから。俺はお前を見ているだけはもう我慢が出来ないんだよ。だから先程お前が集落を一人で出て行く姿を見掛けたから。俺は慌ててお前の後を追ってきたんだ。どうしても二人きりになりたかたからな……。だから、いいだろう? やらしてくれ! そして俺の子を身籠り、産んでくれ頼むよ……」
「えっ! いや、駄目……。あん、あぁ~、あん、ッ……今は駄目、本当に駄目だって……。あのひとがいるから無理……。せめて家のひとが他界をするまでは待って欲しい……。どうせ家のひとは寿命が短いのだから。それまでは待って欲しい。欲しいの……」
「じゃ、俺がチビを処分してやるよ。それなら良いだろう?」




