第69話 奥さまの嘆願(1)
「ただいま!」
「おかえりなさい、健太さん」
「健ちゃん、おかえり! そしてお疲れさま!」
僕が午前中に神殿の裏で洗濯を干して──。
神殿へと戻り扉を開け、大広間から、自分達家族が団欒をする部屋……。
そう日本で言う、リビングルームへと移動をすれば。
いつもの如く、調子でね。
僕の家族、奥さま達が労いの言葉をくれるのだが。
僕はリビングルームへと入るなり。
(あれ?)と思うのだった。
だから僕の口が自然と開き。
「アイカさんとエリエさんの姿が見えないけれど、何処かにでかけたの?」
僕はプラウムとサラに尋ねた。
「ん? ああ、アイカ姉さまとエリエ姉さまならば狩に出かけましたが。どうかしましたか、健太さん?」
僕の問いかけにプラウムが優しく微笑みながら言葉を返す。
「何か今日はアイカ姉が、健ちゃんの性がつくような物を捕ってくると威張って、でかけたから。エリエ姉は滋養にきくような芋かウコギを探してくるって出かけたよ」と。
サラがケラケラと笑いながら意味深に僕へと告げてきたから。
「えぇ~、うそ~? 僕の身と言うか? 《《あれ》》が持たないよ」と。
僕が自身の顔色を変え、嘆くと。




