第68話 あれから(4)
だからアイカは僕に怯えていたのではないかな?
自分の酋長の地位が危うくなる。
もう、それこそ?
僕に殺されるのではないかな? と思っていたのかもしれないね。
アイカの奴は……。
僕はそんなことを一切思わなかった。
アイツがウォンに男王の座を明け渡しと嘆願してくれれば。
僕はあっさりとアイカに返上する気でもあったのと。
僕達夫婦はあの日で終焉を迎え、離婚をしたと思っていたからね。
なのに? アイカの奴は、冒頭シーンの通りだよ。
僕にひたすら甘え、求め、奉仕をしては。
僕の心の奥底まで、女を武器にしながら再度情を植え込んできた。
僕が(アイカの件はもういいか?)と。
(まあ、二人の関係はゆっくりと時間に任せながら回復していけばいいよね)とも。
僕が思うぐらいの日々が経った。
でも僕のアイカへの配慮が足りず。
いつまで経って僕の口から以前のように。
『僕はアイカさんだけいればいいよ。他は何もいらない……。君は女神さまが与えてくれた僕だけのヒロインさまだから。僕がアイカさんを捨てて、集落から出ていくことはまずないから、心配をしないでよ』と。
アイカ命! LOVEだ! と。
アイツの可愛い笹耳へと、言葉が囁かれないから。
僕が奥さま達の洗濯を終え、帰宅の途につくと。
ある事件──。
そう、僕が予想もしなかった事件がとうとう起きてしまう。
◇◇◇




