第67話 あれから(3)
そう、あの内戦を境に、女尊男卑思想の集落の女王を支持する者達よりも。
勝利できないとわかっている男──。
オーク種族最強の男戦士ウォンに対して、恐れ慄くこともしないで果敢に戦いを挑み。
一度は勝利を得た僕の勇気ある行動を集落のみんなが褒め称え、絶賛だよ!
だからあの集落の大半の者達が、男王である僕のことを指示してくれているみだいでさ。
洗濯の最中に、あの時のこと……。
僕が冥府へと誘われた後のことを彼等は事細かに。
そう、マッチポンプのように教えてくれたから。
やはり僕の心の中ではアイカに対して納得できないもの。
あの時の内戦が終わり、終焉を迎え。
みんなが安堵し、和気藹々としている最中に僕が思ったこと。
(何でアイカさんは、僕の許にいるのだろう?)、
(君が本当に愛しているのは僕ではなく、ウォンだろうに……)、
(いくら義母のシルフィーにウォンへと近づくなと言われても。ウォンは、あいつなりに、アイカさんのことを心から想い。決起して訳だからね……)、
(それにさ、まあ、一時的なこと。気の迷いかもしれないけれど。アイカさんが自身の頬を桜色に染めつつ、『ウォン』と名指し呟き歓喜した。黙認したのを僕は見逃さずに見ているし。僕がウォンの止めを刺そうとした時もアイカさんは止めたではないか)、
(……なのに、何でアイカさんは、僕の側から離れようとしないの?)、
(僕は、この神殿をでていき、別の小屋を建ててひっそりと暮らすか。シルフィーの許へと身を寄せてもいいのに……)
(何でアイカさんは、本当に好きでもない相手である僕に対して執着するのだろう? それって可笑しいよ……)
僕はあの日から毎日アイカのことをこんなことを思いつつ見ていた。
そう、アイツのことを大変に冷たく、冷めた目で見ていたと思う。




