第一章あらすじ&登場人物紹介
<あらすじ>
ごく普通の田舎の少年、クリスはある日突然世界を救う勇者へと選ばれ、王都へ向かうこととなる。
辿り着いた王都で不思議な美少女に声を掛けられたクリスはそのまま彼女について行き、少女に騙され不思議な魔法で体を入れ替えられてしまう。
少女の姿になったクリスは必死に自分こそが本物のクリスだと主張するが誰も信じてくれず、入れ替わった少女はクリスの体と名を使い、偽物の「勇者クリス」と名乗りはじめる。
途方にくれるクリスは街の宿屋に勇者が泊まっているという話を聞き、襲撃を決行する。
だがそこにいたのはクリスの偽物ではなく、ゴリラのような体格の大男、「勇者テオ」だった。テオに事情を話し協力させることに成功したクリスは、自分の体を取り戻すために偽の勇者を追う旅に出る。
途中で草原で行き倒れていた少年のヴォルフ、記憶喪失の少女リルカを仲間にしたクリスたちは、王国西方の街――ラヴィーナの大聖堂でついに偽の勇者との再会を果たす。
だが偽勇者を問い詰めようとしたその時、大聖堂に伝説の存在であるはずの生き物――ドラゴンが襲来し聖堂にいた人たちを襲い始めたのだった。
ここはいがみ合ってる場合ではないと協力することにしたクリスたちと偽勇者は、力を合わせてドラゴンの討伐を成し遂げる。
事態が収束した後偽勇者と一対一で話す機会を得たクリスは、偽勇者が今は心から世界を守りたいと思っており、その為にはクリスより自分の方が勇者に適任であるとの意志を聞き、悔しいがその通りだと悟る。
クリスは偽勇者と「世界が平和になったら必ず体を元に戻す」という約束を交わし、「レーテ」と名乗った偽勇者を一発殴ることで自分の体を使い続けることを許容する。
そして二人は、それぞれ世界を守る方法を探しに別の道へと旅立つのであった。
<登場人物>
【クリス】
ミルターナ聖王国辺境、リグリア村出身の17才の少年。
本名はクリス・ビアンキ。
幼い頃から勇者に憧れているが、戦闘経験はほとんどない普通の少年である。
謎の美少女に体を入れ変えられ、勇者の座も奪われてしまい、自らの体と名誉を取り戻すための旅に出ることになる。後に神の奇跡を発現させる魔法「神聖魔法」の使い手となる。
【テオ】
クリスが偽勇者と間違えて襲撃した宿屋に泊まっていた勇者の一人。ゴリラのような体格の大男であるが、勘違いで襲撃したクリスをあっさりと許す寛大な心の持ち主でもある。
大剣使いだがかなりの怪力の持ち主であり、素手で戦った方が数段強い。
一般常識が欠落している部分もあり、酒と女に弱い。
【ヴォルフ】
クリスとテオが草原で行き倒れていた所を拾った少年。仲間がクリス一人では戦力不足だと判断したテオによって、半ば無理やり旅に同行させられることになる。
クリスより三才ほど年少だが博識で、戦闘経験にも長けている。
【リルカ】
クリスたちが出会った記憶喪失の少女。当初は邪教徒に操られクリスたちと敵対したが、テオに保護され自分の記憶を取り戻すために旅に同行することとなる。
常人では考えられないほどの魔術の才を持ち、契約なしで自由自在に精霊と意思疎通を図ることができるという不思議な力を持っている。
【レーテ】
クリスを騙し、体を入れ替え「勇者クリス」となった少女。
飄々とした性格であり、いきなり人に電撃魔法をぶち込むなど、とんでもないことをやってのけることがある。人や物の記憶や考えを読み取る力や、一瞬で離れた場所へ移動する不思議な力を持っている。その力の一部は、体を入れ替えたことでクリスにも移りかけている。
【ティレーネ】
クリスが王都に来て初めて出会った少女。ティエラ教会の修道女であり、偽の「勇者クリス」(レーテ)と共に旅立つことになる。
レーテを本物の勇者だと信じ込んでおり、心酔している。
【ラザラス】
勇者クリス(レーテ)、ティレーネと共に旅立った神殿騎士の青年。
爽やかな見た目の実力者であるが、クリスにはいまいち印象に残らない男だと思われている。
【ジェルミ枢機卿】
ティエラ教会の重鎮。ドラゴンの襲撃時に大聖堂に居合わせる。
教会が推し進める勇者の選定とは別に、とある思惑を持って動いている。
【ミランダ】
ジェルミ枢機卿の側近であり、テオも見惚れるほどの見事なプロポーションを誇る美女。
枢機卿の真の目的を知っており、彼に従っている。
【ミトロス】
ドラゴンの襲撃時に大聖堂に居合わせた修道士の青年。
どこか底知れない雰囲気を纏っている。




