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勇者先生 ~教え子が化物や宇宙人や謎の組織と戦っている件~  作者: 次佐 駆人


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41章 惑星ドーントレスの危機 03

 惑星ドーントレスに到着した『ウロボロス』。


 そのメインモニターには、銀河連邦評議会のトップであるメンタードレーダ議長の姿が映し出されていた。どうやら救援艦隊に同行をしてきたらしい。


「ご壮健でなによりです。しかしまさかメンタードレーダ議長が直接いらっしゃるとは思いませんでした」


『あまりに例外的、かつ重大な事態ですからね。メンター人の知覚が必要になるかと思って参りました。好奇心からというのも否定はいたしませんが』


 モニターの向こうの靄人間は、そう思念を伝えてきつつゆらゆらと身体を揺らしている。


「ところで、状況はどこまで判明しているのでしょうか?」


『データを「ウロボロス」に送っておきますが、今のところダンジョンは惑星ドーントレス上の主国ドーントレス、つまり私たちが訪れた国で発生しているようです。数は確認されているだけで7ですが、不活性のものがそれより多く存在することは私が感知しています』


「いま活動している7カ所すべてでオーバーフローが発生しているのでしょうか?」


『そのようです。今のところ、主国ドーントレス内の4都市においてモンスターとの防衛戦が行われているようです。総統府のある首都は4つのダンジョンのモンスターが殺到しているようで、ここが一番酷い様子です』


「それは厳しいですね。ドーントレスの宇宙軍は動いているんでしょうか」


『将軍が宇宙港に滞在しており対応はしているようですが、すでに駆逐艦3隻が落とされて海上で着底をしているようです』


 ドーントレスは『オメガ機関』という魔力由来の動力機関を研究しているはずだが、やはりそれはまだ十分に配備されているわけではないようだ。勇者艦隊の『魔力ドライバ機関』兵装のようなものを積んでいれば、宇宙戦艦が落とされることはそうそうないはずだし。


「我々はどうしたらいいでしょうか?」


『ミスターアイバにお願いしたいのは、まずはモンスター群の速やかな掃討です。それと各ダンジョンの鎮静化もお願いしたいと思います』


「わかりました、先行して突入します。そちらの艦隊は『魔力ドライバ機関は』……?」


『残念ながら配備は限定的です。モンスター相手だと被害が増えるかと思います』


「ではこちら全艦艇を出して先行しますので、驚かないように言っておいてください」


『承知しました。あの艦隊を見たら皆驚きますからね。では、準備でき次第よろしくお願いいたします。こちらはミスターアイバの動きを見てから行動します』


 靄を揺らしながら答えるメンタードレーダ議長。


 銀河連邦ほどの組織が俺たちみたいなイレギュラーの介入を許すこと自体、恐ろしく例外的なことであるはずだ。それを簡単そうに実行してしまうのだから、メンタードレーダ議長の持っている権限はかなり強いのだろう。


 通信をいったん切り、俺は皆の方を振り向いた。


「ということで、このまま惑星に降下する。4つ都市でドンパチやっているようなのでこっちも艦隊を4つに分けて救援を行う。首都が一番酷いみたいだからそこは俺たちが直接行き、ほかはアンドロイド部隊に任せる。皆が地上で頑張っている間に俺はダンジョンを全部回って片をつける。いいな」


「はいっ!」


 お、なんかやる気がある感じ。


 皆真面目な顔をしていて非常に頼もしい。まあ雰囲気としてはAランク冒険者パーティだし、俺も安心して任せられる。


 俺は残りの勇者艦隊の船12隻、プラス新良の宇宙船『フォルトゥナ』を『空間魔法』から出しておく。なお強襲揚陸艦1隻は念のため地球に残してある。


『艦長、リードベルム級戦闘砲撃艦2、ガルガンティール級戦闘艦2、トライレル級砲撃艦3、ミッドガラン級駆逐艦4、モズモント級強襲揚陸艦2、全13隻が稼働状態に入っていまっす。全艦艇とデータを共有完了』


『ウロボちゃん』が報告してくると、三次元モニターに艦隊が映し出された。『ウロボロス』と『ヴリトラ』の巨大戦艦2隻を中心とする艦隊はいつ見ても壮観である。


 相党とレアは相変わらず目を輝かせているし、新良は完全に諦めたような顔をしている。


「『ウロボロス』、今の話の通りだ。データを元に戦力を四カ所に振り分けてくれ」


『了解でっす。首都には艦長たちを配置しますね~』


 いつものことだが基本的に『ウロボちゃん』に丸投げなので楽である。でもこれが正しいAIの使い方のはずだ、と言い訳をするのも忘れない。


 さて、モニターに目を移すと、惑星ドーントレスはもう目の前に迫っている。


 前回お世話になった(?)宇宙港と、その周辺に宇宙戦艦が数隻浮いているのが見える。その戦艦もダメージを受けている様子が見られ、確かに緊急事態になっているとわかる。


 その宇宙港のそばに、俺たちとは別に勢揃いしている宇宙艦隊があった。メンタードレーダ議長が同行している銀河連邦の救援艦隊だろう。数は俺たちの倍くらい揃っているが、さすがに『ウロボロス』や『ヴリトラ』のような巨大戦艦はいない。


『では艦長、本艦隊はこれより惑星ドーントレスに降下しまっす』


「よろしく頼む」


 さてと、モンスターの討伐だけなら話はそんなに面倒ではない。


 ただ、こうしてモニターに映っている惑星ドーントレスを見ていると、どうにも嫌な予感がわずかずつ強くなってくるのを感じる。


 どうも妙なことが起こりそうな気もするが、まあそれも勇者の業と思って諦めるしかないか。

申し訳ありません、次回11月22日は更新をお休みします

次回は11月25日更新予定です


【『勇者先生』5巻発売の告知】

11月25日(火)に、『勇者先生』5巻が発売となります。

アメリカンな転校生レアが目立つ表紙が目印です。

内容はいつもの通り、Web版の全体的な改稿+エピローグ、書き下ろしの追加となっております。

イラストレーターの竹花ノート様のイラストがいつも以上に美しい一冊ですので是非よろしくお願いいたしいます。

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