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勇者先生 ~教え子が化物や宇宙人や謎の組織と戦っている件~  作者: 次佐 駆人


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40章 魔王の狙い  06

 デーモンキングを倒した俺は『機動』魔法を解いて床へ降り立った。


「これじゃ『聖属性』は関係なかったな」


 一応聖剣『天之九星』は満足そうに刀身をビリビリと震わせているのでよしとしよう。


 現れた虹色の宝箱の中身はロケットランチャーみたいな武器だった。『アナライズ』すると、『携帯魔導砲タイプA』という名で、火・風属性混合魔法『ブラストサイクロン』を発射できる武器だと判明した。


 双党がいたら撃たせろってうるさかっただろうなあ、と思いながら肩に担いで撃ってみる。


 竜巻みたいに渦を巻いた巨大火の玉が発射され、遠くの壁に当たって大爆発を起こしたが、俺でなければ爆風で飛ばされていたかもしれない。個人で使う魔導武器としては最強クラスのものだが、ダンジョンで使うと自爆の危険もありそうだ。今いる広いボス部屋なら辛うじて使える感じだろうか。地上でのモンスター退治に使うのがメインの武器となりそうだ。


 なお、このダンジョンは俺が管理することになっているが、ドロップアイテムのうち、強烈な魔導具やミスリルなどのレアメタル以外はレアの所属する『アウトフォックス』に渡すことになっている。この『魔導砲』はもちろん渡せないが、それ以外、例えばアンドロイドたちが一階ボスで手に入れている金塊や宝石なんかはそのまま渡している。魔石もいくつかはサンプルで渡しているが、役に立つかどうかはわからない。


 ともかくAランクボスの魔石と『携帯魔導砲』を『空間魔法』に放り込んで、俺はボス部屋の奥へと歩いていった。


 奥の壁も固まった溶岩のように黒いゴツゴツした岩でできていたが、一カ所、凄く狭い通路のようになっている場所があった。入り口こそ人が通れるほどの大きさだが、通路は尖った岩が左右からいくつも突き出ていて、そのままでは猫くらいしか通れないような感じである。


 ただ、その奥からは明らかに他の空間とつながっている雰囲気を感じた。もしかしたらこれがルカラスの言っていた『異世界とつながる穴』なのかもしれない。


「奥まで行けるか……?」


 俺は『魔剣ディアブラ』を取り出して、通路を塞ぐ突き出た岩を軽く斬ってみた。ダンジョン構造物は基本的に高強度を誇るが、壊せないわけではない。


 反魔導物質でできたこの『ディアブラ』は、魔力で構成されたダンジョン構造物に対しても強い切断力を持つ。岩はサクッという感触とともに切断され床に落ちた。


 俺は『ディアブラ』で通路を整形しながら奥へと進んでいった。次第に通路を構成する黒い岩が変化していき、途中から普通の、灰色と茶色が交じった、普通の岩でできた通路に変化した。


 ただし空間に漂う魔力からまだダンジョンから脱したわけではないとわかる。つまりこの穴は別のダンジョンにつながっていたということなのだろう。


 つながった先のダンジョンが地球上のものであるのか異世界のものであるのか、問題はそこだ。


 しばらく進むと広い空間が見えてきた。もとがボス部屋からつながる通路なので、もし違うダンジョンにつながっているならボス部屋である可能性が高そうだ。


 と、通路の出口の方から人の声が聞こえてきた。若い男女の声である。


「ちょっとジーク、無理しないで戻ってきて!」


「そうは言ってもどうにもなんないだろ! 俺がコイツを引き付けてる間になんとか扉を開いて逃げろって!」


 う~ん、どこかで聞いた声だな。「ジーク」って名前にも聞き覚えがある。ともかく結構切羽詰まった状況らしいので走って向かうことにする。


 通路を抜けてボス部屋らしき空間に出ると、そこには一体の牛頭人身モンスター『ミノタウロス』と4人の少年少女がいた。


 盾、というよりただ廃材を集めて作っただけの板を構えて、ミノタウロスの前に出ている少年がジーク君だろう。


 その後ろで声を上げているのは茶髪の少女、それとさらに少年少女がひとりずつ。


 彼らの装備からするとどうやら冒険者のようだが、ミノタウロスを相手にするにはあまりに頼りない4人である。


「こっちだデカブツ、俺の方へやって来い!」


 ジーク少年が叫ぶと、ミノタウロスは声を張り上げ斧を振りかぶって突進を始めた。そのあまりの迫力にジーク少年は立ち竦んでしまったようだ。


「ジーク! 逃げて!」


 茶髪の少女の叫びも空しく、ミノタウロスの斧がジーク少年の胴を盾ごと切り裂こうとする。


 もちろんその前に、俺の『ディアブラ』がミノタウロスを脳天唐竹割りにしていたが。


「えっ、なにっ!? あっ、あの人……!」


「誰だアンタ……って、まさかアイバさんか!?」


「あ~、どっかで見たことあると思ったらリーララの孤児院の子たちか」


 なんと、近くで顔を見て俺も思い出した。


 絶体絶命のピンチに陥っていたのは、以前異世界に行ったときに出会った、孤児院の子たちであったのだ。

【告知】

『勇者先生』の第5巻が11月25日に発売になります。

異世界で活躍をしたり、転校生レアが出てくるあたりのお話になります。

いつもの通り全体的に修正をかけているほか、巻末には書き下ろしもあります。

もちろん竹花ノート様の手によるイラストも素晴らしく、なんとイチハ、フタバ、ミツバのアンドロイド三人娘まで……。

ということで、是非ともよろしくお願いいたします。

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