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勇者先生 ~教え子が化物や宇宙人や謎の組織と戦っている件~  作者: 次佐 駆人


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26章 留学生  04

 翌日、学校で金髪縦ロールお嬢様の九神がやってきて「土曜日午前なら父もお会いできると申しておりました」と伝えてきたので、とりあえず予定は決まった。


 期末テストは順調に消化されていき、金曜日に全日程が終了した。


 教員としては採点業務があるわけだが、俺はその前に転校生との顔合わせをしないといけないとのことで、午後に応接室に向かうことになった。


 俺が学年主任の熊上先生と応接室に入ると、そこには校長と、くせのある金髪を短めのポニーテールにした背の高い女子がいた。


 明蘭学園のブレザーを着ているところからも、彼女が転校生のレア・ハリソンで間違いないだろう。


 一見すると『日本人が想像するアメリカ人女性』という感じで、高校生とは思えないアメリカンなプロポーションをしている。顔つきは目鼻立ちがくっきりしていて、人好きがする明るい女の子という感じである。が、その青い瞳の奥には青奥寺たちと同じような『訳あり』の光が宿っている。


「ハリソンさん、こちらが2年1組の担任の相羽先生、こちらが2年の主任の熊上先生です。留学中はこの2人の先生が主に対応をしますので、よろしくお願いしますね」


 明智校長がそう日本語で説明をすると、転校生・レアは「はぁい」と返事をして、俺と熊上先生の顔を交互に見た。


「はじめまして、私はレア・ハリソンでぇす。ジャパンの色々な文化に興味があって、留学をしに来ました。クラスの友人とも仲良くして、たくさん勉強をしたいと思いまぁす」


 しゃべり方が一昔前のインチキ外国人みたいなのはともかく、一応表向きは普通の転校生として振舞うつもりのようだ。


「初めまして、私は相羽走です。2年1組の担任としてハリソンさんとは一番お話をすることになると思うのでよろしくお願いします。困ったことや相談があったらなんでも言ってください」


 俺に続いて熊上先生も挨拶をして、全員で椅子に座る。


 まずは校長先生から、いろいろと業務手続きや、学校生活での対応の話が一通りなされた。ちなみに俺の方はすでに転校生受け入れにあたっての業務などの説明は受けている。


 レアは近くのマンションにすでに母と2人で住んでいて、そこから歩きで通うらしい。『母』というのもたぶんレアが所属する対CT機関『アウトフォックス』の機関員で、レアの補助をする人間だろう。


 希望する部活はと聞いたら、なんと『総合武術同好会』を指名してきた。一応事前に一覧は渡しているので選んでもおかしくはないのだが、まあ明らかに訳あり女子との接触を考えている感じではある。


 そう言えば双党や絢斗は、レアが『アウトフォックス』の一員だと知ってるのだろうか。さすがに機関相互の信頼関係にもかかわることだから知らされているとは思うが。


 一通り話を終えると、応接室での打ち合わせは終わりになった。


 後は担当である俺とレアで登校初日の打ち合わせを行うということで、俺はレアを連れて職員室に移動する。


 丸椅子に座らせるとレアは職員室の中をキョロキョロと見回すが、このあたりは普通の女子っぽい。


「ハリソンさんは『総合武術同好会』に参加するという話だったけど、日本の武術に興味があるのかな?」


 俺が質問すると、レアは短いポニーテールを揺らしてうなずいた。ついでに新良に勝るとも劣らない凶悪な胸部装甲も揺れた……のは見ていませんけどね、生徒との信頼関係に関わるからね。


「はぁい、とっても興味がありまぁす。わたしも格闘技を学んでいますので、ジャパンの武術も学んでみたいのでぇす」


「だったら剣道とか合気道の方がいいと思うけど」


「う~ん、その辺りはネットで調べると動画を見られたりしますからぁ。ですから、ちょっと謎な『総合武術同好会』がいいのでぇす」


「なるほど」


 まあ新良に『新銀河流』を、それから青奥寺に青奥寺流の剣術でも軽く教えるよう頼むか。レアは俺のことを探りにきてるはずだから、俺が前面にでるのは避けたほうがいいかもしれない。


 今まで勇者であることは特に隠したりはしなかったが、今回ばかりは相手が俺を探ってるのが分かってるからな。さすがに相手をちょっと見極めてやろうなんてスケベ心も生まれるというものだ。


 それに一応『白狐』には『アウトフォックス』に対して情報を止めてもらってるからな。そことも話は合わせておかないと、彼らにも迷惑がかかるかもしれない。


 その後いくつか打ち合わせをして、転校生受け入れの打ち合わせは終わりとなった。

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― 新着の感想 ―
[一言] とうとう新嫁が! ウロボちゃんと話させると間延びしそうw
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