終章
唐突ですが、蹴りを着けないといけません。
あれから一〇年のときが流れた。
時空魔法を習得し、時空の時を渡る能力を龍平は身に付けている。
「じゃあ、ちょっと行ってくるよ」
レフィに軽く声を掛け、レニアとセリスの見守る中で、龍平は呪文を唱える。
青い空に亀裂が走り、ガラスが割れるように世界が砕けた。
すっかり大人になったといっても、どこか幼さを残すナルチアは、不安気なまま両手を握り締めた。
リッチが慈愛の目でそれを見守り、ガルーダはベヒーモスを抑えている。
ベヒーモスは不安を隠せない視線を周囲に撒き散らし、辺り構わず噛みつこうとしていた。
それをガルジオンの重鎮たちが穏やかな目で眺めている。
次の瞬間、龍平は懐かしい、一〇数年振りの階段に立っている。
あの日、あの時、吸い込まれた階段は、あの時となにも変わらずそのままだった。
そこで龍平は振り返る。
意を決して。
「どう説明すっかなぁ……姿はあの時のままだし……ま、いいか」
日本で呪文を唱え、時空を割る。
開いた向こうには、赤い小さな龍と愛すべき女性たち。
「ただいま」
赤い小さな龍が龍平の胸に飛びこんだ。
「おかえりなさい」
完
二年放置となってしまいました。
魔王国、帝国とストーリーを考えていたのですが、もう文章を作る余裕がなくなりました。
私の限界です。
放置も嫌なので、無理矢理ですが最初に考えていたエンディングをねじ込みました。
もう何かを書くことも難しい状況です。
情熱がない。
今はこれで終わります。
何年かしてまた情熱がぶり返したら(中二病が発症したら)、皆様にお目にかかりたく思っています。
これまで、『狼と少女の物語』、未完ではありますが『砂塵の道』、またしても痛恨の未完となった『転生龍は人と暮らす』をお読みいただき、誠にありがとうございます。




