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転生龍は人と暮らす  作者: くらいさおら
第三章 王都ガルジア
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47.途上にて

 王都への旅は、順調に進んでいた。

 セルニアからついてきた旅人たちは、ほとんどが途中の目的地で離脱している。


 この時代、生まれた村や町から一生出ることなく過ごすことは、決して珍しいことではない。

 せいぜいが隣の村や町に嫁ぐか、職人が足りない地への移住くらいのことだ。


 旅に出るとしても、そんな親族の元を訪れる程度だった。

 例外としては、現在も隊列に混じっている巡礼の修道士や修道女くらいのものだろう。



 出立から一〇日が過ぎ、一行はセルニアン領を出て王家の直轄領を進んでいる。

 その馬車の中で、龍平は叙爵式のイメージトレーニングに没頭していた。


 たいして複雑な内容ではないが、やはり最高権力者の前に出ることは緊張を強いられる。

 僅かな粗相も許されないと、小市民らしい強迫観念に囚われていた。


 もちろん、たいがいの場合は介添え人がつき、耳元で教えてくれることも聞かされている。

 だが、それでも龍平は、不安しかなかった。




「……我らひとりひとりは弱きは必定。なれど力を合わさば難敵をも撃ち破らん……あれ? 次なんだっけ?」


 何度も繰り返し、覚えたつもりでも、やはり緊張のせいかど忘れしてしまう。

 文章になっている部分はともかく、単語の連続となると順番が怪しくなっていた。


――その力に溺れることなく、裏切ることなく、欺くことなく。常に弱者に優しく、強者に勇ましく。民を守る盾となり、主の敵を討つ剣となり、正しく強き力として、我らの誇りを守らん。はい、もう一度――


 レフィが、あっさりと諳じてみせる。

 公爵家と王家の継承権を持つ者として、当然のたしなみだった。


「長ぇよ。もっと、こう、略式のとかねぇのかよ」


 うんざりした表情で、龍平は文句を口にした。

 もちろん、そんな都合のいい話はない。


――あ、それから、最初の我らのあとに領主って入れなさい。さっきのは、私たち領地を持たない法衣貴族用の宣誓だから。そこを間違わないようにね――


 さらっと爆弾が投下された。


「はい? 今、なんつった? 俺の耳が正常なら、領主だの領地とか、あり得ない言葉が聞こえた気がすんだが? ああ、やっぱり正常じゃないんだな?」


 騎士爵とはいえ、ただでさえ貴族の端くれに祭り上げられようとしている上に、領主だの領地だのは、もう完全にキャパオーバーだ。

 龍平の目が、やめてくれといわんばかりに潤み始めていた。

 かわいくないからやめろ。


――そうよ。あなた、幻霧の森の領主になるの。もう決まってることだから、断ろうなんて考えても無駄よ――


 追い打ちがどんどんと積み重なっていく。


「ちょっと待ってくれよ。俺に領主なんてできるわけないだろ? それに、セリスがいるじゃねぇか。あいつ差し置いて俺がやれっかよ! どうしてもってんなら、おまえがやりゃぁいいじゃねぇか! 仮にも公爵家なんだろ!」


 どう考えても、一介の高校生に、それも生徒会長だの部活の部長だのすら経験のない人間に、領主などできるはずがない。

 その上治める相手は、先日会った幻獣たちだ。


 そんなの、その日のうちに食い殺されて終わりになる。

 龍平には、その未来しか見えなかった。


――何を言ってるのかしら。セリスは妖精で、私はドラゴンなの。そんな亜人でもない存在が、領主なんかに認められるわけないでしょ。まあ、あなたの不安も解らなくはないわ。対外的に貴族相手は、私。幻獣相手はセリスが受け持つから、あなたは堂々としているだけでいいわ。それに――


 一気にまくし立てたレフィが、そこでここからが一番重要だとばかりに言葉を切る。

 すべて承知しているのか、ミッケルが口を挟んでくることはなかった。


――あなたを守るには、これしかないの。王都なんかにいてみなさい、すぐに誘拐されて拷問にかけられて、知ってる知識を洗いざらい吐かされるわ。あなた、ニホンに帰るんでしょ? なら、幻霧の森で研究に没頭すべきよ――


 いくらミッケルとバーラムが後見人になるといっても、四六時中目を光らせておけるはずもない。

 ましてやバーラムはどんなに急いでも、二週間近くかかる距離にいる。


 ミッケルにしても、公務を放り投げているわけにもいかない。

 どうしたって龍平が孤立するケースは、避けようがなかった。


 もちろん、引きこもっていれば済む、という話ではない。

 日本へ帰る方法の調査のため、自ら出向かなければならないことも、当然あるだろう。


 それでも下手な役付きにされて、王都在住になるよりははるかにマシだ。

 龍平をどうこうしようとしても、幻霧の森へ侵攻するにはセルニアン辺境伯領を突破しなければならない。



 つまり、裏を返せば龍平の持つ知識には、それほどの価値があるということだ。

 たとえば、すぐれた政治体制を知っているなら、他国に先駆け進化することもできる。


 もし、現在の為政者にとって不都合な体制だと判断されたなら、不穏分子や危険思想を摘発する指針として利用すればいいだけだ。

 もちろん、その場合は知識をすべて引き出したあと、口封じが待っているだろう。


 龍平を守るには、幻霧の森を絶対の防壁として、不穏分子の侵入を防ぐしかない。

 そのためには、幻霧の森に住む唯一の人間である龍平を、領主にするしかなかった。



「解ったよ。でも俺に難しい判断なんて、まだ無理だぞ。金勘定だって、やったことなんかないんだからな。本当におまえに丸投げになるけど、いいんだな?」


 まだ逃げ道を探している龍平は、レフィに無理難題を押しつけるような物言いになっている。

 そこへ、やっとミッケルが口を挟んできた。


「安心したまえ。殿下とセリス殿だけでも充分だろうが、私が信頼できる者をつけよう。バーラム様からも、同様に援助があるはずだ。領地の経営は彼らに任せておきたまえ」


 ミッケルにしろバーラムにしろ、せっかく掴んだ利権をむざと渡す気はない。

 好意だけではない打算だとレフィも承知しているが、この場合は何よりも頼もしかった。


「いや、もうなんつっていいか解んないんですけど、お願いいたします、ミッケル様。でも、なんで先に教えてくれなかったんだ……」


 それは今の反応を見れば、言わずもがなであった。

 レフィもミッケルもバーラムも、長々と思い煩うより逃げられない状況で、一気に追い詰めた方がいいと判断してのことだった。


――とにかく、あなたは直臣の領主貴族になるの。セルニアンの陪審領主なんかよりはるかに格上なんだから、舐められないようにしてね。経済規模も爵位も違うけど、バーラム殿と同格になるんだから――


 それが理解できない。

 直臣というだけで男爵でしかないミッケルが、どうして辺境伯のバーラム相手に一歩も退かないのか、それが理解できなかった。


 龍平の理解では辺境伯と男爵は、会社における役員と課長のようなものだった。

 だが、実際には王国が本社で法衣貴族はその幹部、領主は子会社の社長といっていいかもしれない。


 もしくは、本店と支店か。

 かなり強引な解釈だが、そう考えればなんとか納得はできそうだった。



「本当に、俺はなんも解らないし、できないぞ。おまえに全部任せることになるけど、いいんだな? それより、セリスになんて言ってお願いすればいいんだよ」


 ただでさえ、セリスには迷惑をかけっぱなしだ。

 そこにまた多大な労苦を押しつけようとしているのが、龍平には耐え難く思えた。

 洗う前のパンツ漁るよりはマシだけどな。


――だから、あのときガルーダさんやリッチさん、ベヒーモスさんと会ったんじゃない? まぁ、ベヒーモスさんには改めて謝らないといけないけど――


 あのときの咄嗟の反応に、レフィは対応しきれなかった。

 そして、必死にベヒーモスを宥めるティランに割り込んでは、さらに混乱を招きかねないと控えていたが、今はそれも失敗だと思っていた。


 恐怖を以て幻霧の森に住む幻獣たちを従えようとは、レフィもティランも考えていない。

 あくまでも対等の関係を、ふたりは望んでいた。


 もちろん、ミッケルの思惑は別にある。

 ただ好意だけで、龍平をバックアップするわけではない。


 セリスの求心力にティランの暴威、そしてレフィの貴族としてのバランス感覚で幻霧の森を掌握し、その王都における利権を一手に握るつもりだ。

 そこに龍平の統治能力など、最初から期待すらしていない。


 龍平の人となりに好ましい感情を抱いていても、それだけで動くほどミッケルをはじめとした貴族どもはお人好しではない。

 そして、レフィもその程度のことは、充分理解の上だった。


「まあ、あれは酷かったよな。ティランに悪気はなかったし、ベヒーモスさんも誤解しかしてなかったにしてもさ」


 現代日本で親しんだゲームに登場した、ボスクラスのモンスターが実在したことには興奮を覚えたが、まさかあんなことになるとは思いもしなかった。

 ついでに、勝手に雄々しいキャラ付けをしていたのを、妖艶な女性キャラにひっくり返されたのも、想像の埒外だったが。


――うぅ、ボクも反省してるよぅ……――


 赤い龍の左目がエメラルドからルビーに変わり、幼い念話が届いてきた。


「いいのいいの、ティランは気にしなくて。あれは不可抗力だよ。きっとベヒーモスさんも分かってくれるって」


 龍平がティランを宥めながら、その頭を撫でまわした。

 鱗の滑らかさが、掌に心地いい。


――反省してるならいいわ、ティラン。私が偉そうに言うことじゃないかしら。次会えたら、もう一度謝りましょう――


 頭を撫でられながら、レフィはくすぐったそうに言った。

 誤解がすべてであり、ティランを責めるようなことではなかった。


「ま、この話はこれで終わりにしようや。ティランも知恵貸してくれよ、期待してるからな」


 誤魔化すわけではなく、龍平は本心からティランに言う。

 賢龍と呼ばれていたティランの知恵を、龍平は頼りにしていた。


――ありがと、ふたりとも。リューちゃん、もうボク大丈夫だよ。いつまでも落ち込んでるってわけじゃないから――


 ティランの言葉に、龍平は腕を離す。

 チビ龍が、馬車の中で小さくトンボを切った。



――……? ティラン、聞こえた?――


 チビ龍の動きが唐突に止まり、外の音を聞く素振りを見せる。

 だが、龍平とミッケルの耳には、何も聞こえてはこなかった。


――うん。女の人の悲鳴……。大勢で追いかけてる……。レフィ姉、助けに行かなきゃ!――


 そう言うや否や、チビ龍が馬車のドアを開けて宙に飛び出した。

 少し遅れてレフィの念話が、龍平とミッケルの脳裏に届いてくる。


――とにかく見てくるわ! 状況が分かったら念話で知らせる! 場所は、ブレスを空に撃つからそれを目印に!――


 チビ龍の姿は、あっと言う間に左前方の空へと消えていく。

 レフィとティランの短い念話のやり取りから、ミッケルは何が起こっているかおおよその見当をつけていた。


「ネイピア卿に伝令! 速やかにレフィ殿の後を追え! それから、アミア殿は我々に合流させろっ! 急げっ! アミア殿が合流したら、我々はここで待機。状況が分かり次第、可能な限り急いで後を追う。徒歩の兵は後からでいい。騎馬兵を先行させろ。ことは一刻を争うかもしれん。……無事でいてくれよ……」


 ミッケルは一旦馬車を止めると、矢継ぎ早に指示を出す。

 龍平は、いったい何が起きようとしているのか、まだ事態を把握できていなかった。


 もちろん、ミッケルはケイリーだけに任せるつもりはない。

 最低限の護衛を残し、騎乗兵はすべてレフィを追わせている。

 


「ミッケル様、いったい……?」


 不安に駆られた龍平がミッケルに尋ねようとしたとき、馬車のすぐ横をバッレを乗せた馬が全力で駆け抜けていく。

 そして、ケイリーとアミアを乗せた馬車が、すぐ横に急停車した。


「ミッケル様、何が起きましたか?」


 すべてを聞く前に、ケイリーはアミアに馬車を乗り換えるように言ってあったらしい。

 アミアはライカを伴って馬車を乗り移るなり、まずミッケルにそう聞いてきた。


「なに、ちょっとした人助けと街道の掃除です。じきに片がつきますので、しばしお待ちいただきたい」


 理由までは判らないが、街道を外れた女が盗賊に襲われたのだろうと、ミッケルは判断している。

 魔獣討伐の冒険者あたりだろうと、おおよその見当はつけていた。


 このような街道に近いところに冒険者の手に余る魔獣が出没していたら、宿場町に情報が流れている。

 そして、悲鳴すら上げる間もなく、食い殺されているはずだ。


 そして、今回はカナルロクの陥穽を、気にかける必要はない。

 セルニアン領はカナルロクと国境を接しているため、完全な侵入の阻止は無理だが、ガルジオンの領土奥深くに、部隊を展開できるはずもない。


 ここまで来れには、いくつもの関を越えなければならない。

 ひとりふたりならともかく、ミッケル一行を捕捉殲滅できる規模の部隊はいないと考えてよかった。


「ミッケル様、すぐに片づけてまいります。アミア、しばらく待っていてくれ」


 馬車の窓越しにケイリーが叫ぶ。

 そして、ネイピアの歩兵を引き連れて馬車を走らせた。


 向かう先は小高い丘に茂る林だ。

 ネイピアの山岳猟兵にとっては、最も力を発揮できる状況だった。




 女は必死だった。

 あとずさって逃げようとしているが、腰はもう立たなかった。


 あざだらけの身体が露わにされている。

 一緒にいた仲間がどうなったか、考える余裕すらない。


 男が、憎悪に燃える目で見下ろしていた。

 頭が真っ白になり、声の限りに悲鳴を上げていた。



――レフィ姉っ! あれっ!――


 ティランが森の中で向き合う男と女を見つけた。

 どう見ても微笑ましい状況には見えなかった。


――遠慮なんかいらないっ! ティラン、やるわよっ!――


 一瞬で状況を見て取ったレフィが、全力で突っ込んだ。

 今にも襲い掛かろうとした男の腹に、チビ龍が頭から激突する。


 もんどりうって倒れた男の顔面に怒りをたたえたチビ龍がしがみつき、そのまま力の限りに捻りあげた。

 骨がへし折れる嫌な音が、それを耳にした者すべての腹まで響いた。


――あなた、しっかりっ! もう大丈夫よっ!――


 一撃のもとに男を葬り去った龍が、女に向き合う。

 この世のものとは思えない凶相の口角を吊り上げ、龍がほほ笑んだ。


「……あ……ふぁ……」


 だが、女の耳にレフィの念話は、届くことはなかった。

 極限まで追い詰められた緊張と恐怖は、龍の笑みであっさりとその限界を超えていた。


 さらなる死の影が覆いかぶさったと感じた女は、その瞬間に意識を失った。

 心が崩壊から自衛した結果だった。


――もう……ま、みんなに教えなきゃね――


 やっちまった感を全身に漂わせたレフィが、現在位置を知らせるためにブレスを打とうとした瞬間。

 茂みから何人もの男たちが、血相を変えて飛び出してきた。


――ふん。まだ、いたみたいね。寄ってたかって女を嬲るなんて、死になさい。やるわよ、ティラン――


 男たちの命を刈り取る号砲のように、ブレスが天空を貫いた。

 次の瞬間、チビ龍の姿が身の丈二メートルに巨大化し、人の目が追えない速度で飛び出した。




「よし、あそこだっ! 急げぇっ!」


 立ち木に遮られ、馬を乗り捨てたバッレが林に走り込む。

 悲鳴と怒号、そして龍の咆哮が響く方向に向かって、バッレは走り続けた。


――バッレさんっ! その人お願いっ! 連れて行ってっ! 見せちゃだめぇっ!――


 バッレが走りこんだとき、ことは決していた。

 辺り一面が血に染まり、元は人間だったとはとても思えない肉片があちこちに転がっている。


 悪魔という言葉を受肉化させたような赤い龍が、最後に引きちぎった男の首を地面に投げ捨てた。

 確かに、並の神経の持ち主には、とても見せられない光景だった。


 たいていのことには動じないと思っていた自信を、粉微塵に打ち砕かれたバッレがその場に立ち尽くす。

 さすがに赤龍の凶暴性は恐ろしかったが、それでも一度目にしたことがあるだけに立ち直りも早かった。


「レフィ様、この女が?」


 女が全裸であることを見て、咄嗟に外套をかぶせたバッレがレフィに聞いた。

 今は女の安全確保を優先するべきだ。


 戦いの状況などは、あとで聞きけばよい。

 一刻も早く、ケイリーが率いる後続部隊に渡し、治療を施さなければならなかった。


――ええ。生きているわ。生きているだけかもしれないけど……。とにかく、連れて行ってあげて。まだその娘の仲間がいるかもしれないし、賊の仲間もいるかもしれない。兵たちを早くここへ。私は、この先を探してくるわ――


 怒りがまだ渦巻いている。

 このまま放っておくわけにはいかなかった。


 冒険者の仲間がいるなら、救出しなければならない。

 盗賊団の仲間がいるなら、殲滅しなければならない。


 血のにおいが漂ってくる方向に、レフィは飛び立った。

 兵たちには、改めてブレスで知らせればいい。


 冒険者が殺される前に。盗賊団が逃げ散る前に。

 一刻の猶予もならなかった。




「……んあ……。はっ?」


 馬車の中で、女が息を吹き返した。

 そして最後に残った記憶を手繰り、あってはいけなき光景を思い出す。


「はっ! ドラゴンがっ! 逃げてっ! もうおしまいよぉっ! あなたたちも逃げてぇっ!」


 上体を跳ね上げ、女が声の限りに叫ぶ。

 女は恐慌状態に陥っていた。


「大丈夫だっ! しっかりしろっ! もう大丈夫だっ! あのドラゴンは敵じゃないっ!」


 バッレが大声で叫び、女の肩を掴んで強引に揺さぶった。

 それでも状況が飲み込めない女は、力の限りバッレを振りほどこうとする。


 滅茶苦茶に振り回された女の腕が、バッレの顔面を何度も打ち据える。

 だが、バッレは女の肩を離さない。


 放してしまえば馬車を飛び出しかねない勢いに手こずるが、バッレは辛抱強く声をかけながら女が落ち着くの待った。

 やがて、ようやく状況を理解したのか、女から力が抜けていく。


 同時に助かった安堵からか、大粒の涙が両目からこぼれ始めた。

 そのまま女はバッレにしがみつき、声を上げて泣き始めてしまった。



 同じ頃。

 洞窟に残った盗賊団を殲滅したレフィは、兵が運び出してきた明らかに身なりの違う二つの遺体を前に、悄然と立ち尽くしていた。

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