46.王都へ
二泊三日の里帰りから、龍平とレフィはセルニアに戻っていた。
そして、翌日ミッケルとケイリー共々バーラムに謁見し、王都への出立を告げている。
その夜、出立を前にした壮行会で、珍しく酔い潰れたバーラムの姿があった。
いつの世、どの世界でも、娘を嫁に出す父親とは、変わりないものらしい。
ティランはベヒーモスが失神するほど恐怖を覚えたことに、すっかりとしょげ返っていた。
だがうっかりとはいえ、世界を破壊し尽くした赤龍のオーラを全開にした不手際は、さすがにフォローしきれることではない。
なぜかバーラムとともに杯をあおるチビ龍を、誰もが生温かい目で眺めていた。
もっとも、下手に近づいて巻き込まれでもしたら、翌日いっぱいを二日酔いに苦しめられそうだったからだが。
「それでは閣下、またしばしのお別れです。またお目にかかるその日まで、どうか壮健たれ」
短く挨拶したミッケルが、馬車に乗り込んだ。
どうせ近く王都で執り行われる、ケイリーとアミアの挙式で会うことになる。
長々とした挨拶など、ふたりの間には不要な儀礼だった。
バーラムも同じことを思ったか、素っ気なく目礼を返すだけだ。
「義父上、ひと足先に王都にてお待ちしております。アミアのことは、お任せください」
ケイリーも短く挨拶を切り上げ、続く馬車に乗り込んだ。
「おう。ことが片づき次第追いかけよう。のんびりしておったら、追いつくからな。婿殿、娘をよろしく」
本来ならバーラムも同行するはずだった。
だが、ケイリー暗殺未遂事件の後始末がすべて終わるまでは領地を空けるわけにはいかなかった。
「お父様、お母様……」
アミアは、バーラムの顔が涙でにじんでよく見えなかった。
まだネイピア領に旅立つまで何度も顔を合わせるというのに、これが永の別れに思えて仕方がない。
「なに湿っぽい顔をしてるんだ。めでたい話じゃないか。笑って行け」
「そうよ、アミア。笑顔で行きなさい。旦那様に失礼よ」
バーラムが無理矢理作った笑顔で、ラナイラは寂しさを少し含んだ笑顔で見送ろうとしている。
「兄様、義姉様、姉様、お父様とお母様をお願いします。ウィクシー、ヨーク、ラーニー、皆の言うことをよく聞いて、立派な大人になりなさい」
アミアは兄弟姉妹の手をひとりひとり握り、別れの挨拶を告げていく。
もう一度セルニアに戻ってくるが、やはりこれが別れなのだと思えてしまった。
「任せておけ。といっても、本来なら僕が留守を守れなければならなかったんだが。すまないな、アミア」
ロドニーとジル夫妻が、揃って頭を軽く下げる。
既に大領を背負って立つ気概に溢れているが、外交まで絡むとなると迂闊なことはできなかった。
バーラムには王都にいる間、この件に関する調査報告や、国家としての細かい事後対策もしなければならない。
そのためには、ギルドからの報告なども直に聞いておく必要もあり、アミアに同行することができなかった。
「あなたには先を越されちゃったわね。リューヘーさんにでも拾っていただこうかしら」
茶目っ気たっぷりに、チェルシーが言う。
湿っぽい雰囲気が、一気に吹き払われた。
まだ龍平が幻霧の森を拝領することは知らされておらず、今のところ冗談で済んでいる。
人混みの中から、盛大にむせかえる龍平のうめきが聞こえてきた。
「姉様もお元気で」
「また会えるんでしょ? 私も王都に行きたかったなぁ」
「王都のおみやげ楽しみにしてるね、姉様!」
ヨークとウィクシーはともかく、まだ幼いラーニーはそれほど深刻に考えていない。
周囲に比べ無邪気な発言が、大人たちの笑いを誘っていた。
「閣下、それではお先に失礼いたします。王都にてお目にかかりましょう」
――では、閣下。しばしのお暇ですわ。また王都でお目にかかれる日を、楽しみにしております――
バーラムに挨拶した龍平とレフィが、ミッケルの馬車に乗り込む。
ふたりは龍騎士で行きたかったが、馬たちが怯えて動かなくなる可能性があるため、やむなく馬車での移動となっていた。
「おう。またすぐに会おう、リューヘー。ドラゴン殿も、その日まで壮健たれ」
大勢の前でレフィの正体をばらすわけにもいかず、バーラムは言葉を濁して挨拶を返す。
それが合図になり、馬車二台を中心にした隊列が、ゆっくりと動き出した。
領主館前の広場を埋めた住人から、歓声が上がる。
龍平には大げさに思えたが、彼らにしてみれば騎士の行進は貴重な娯楽のひとつだ。
ひとびとは領主館前からセルニアの城門まで、どこにこんな人がいたかというほど集まっていた。
そして、沿道にならぶ屋台の店主たちからは、次々と差し入れが従士たちに渡されていく。
「殿下への差し入れでしょう。いつもはこのようなことはありません。うらやむほどの人気ですな」
窓からその様子を眺めたミッケルが、楽しそうにレフィに言った。
他にも差し入れを行うひとびとがいたが、その多くは花束であり、後ろを行くアミアが乗った馬車に対するものだ。
後ろを眺めれば、アミアが窓から住民たちに手を振っている。
ならばとレフィは、窓から飛び出していった。
――ねぇ、ボクが出て行くのを喜んでるんじゃないよね?――
セルニアのひとびとに、ティランはまだ認識されていない。
だが、レフィがその姿から恐れられているのではないかという心配は、常に抱いていた。
――ご安心なさい、ティラン。みんな、別れを惜しんで見送ってくれてるの――
ひとびとからは、惜別の情が伝わっている。
赤い龍の左の瞳はルビーの赤が涙に濡れ、よりいっそう輝きを増していた。
街道には、既に冬の空気が漂っている。
魔獣討伐に向かう冒険者たちや、行商に向かう商人たちも、厚手の外套に身を包み冬の気候に備えていた。
町の出口には、質素な身なりの旅人たちが、集団を作って待っている。
護衛を雇うことができない貧しいひとびとや、巡礼の修道士に修道女といった面々だ。
龍平は幻霧の森からセルニアまでの道中を思い出し、僅かに表情を歪めた。
やはり、夜の闇に乗じて盗みを働くような輩に、いい感情を持てるはずもない。
彼らは馬車が通り過ぎるのを待ち、その後ろをつかず離れずの距離を保って歩いている。
龍平にはその姿が、たちの悪い送り狼にしか見えなかった。
「リューヘー君、いつものことだ。気にするな。我々は彼らに罪を犯ささせなければいい。それでもという輩は、そう扱えばいいだけだ。君が住んでいた世界から見れば野蛮に映るのだろうが、こればかりは慣れてくれと言うしかない」
龍平の表情に気づいたミッケルが、感情のこもらない平坦な口調で言った。
龍平に対して常識の違いを咎めることなく、気を使ってのことだ。
「お気遣い、ありがとうございます。解ったつもりでいるんですけど、やっぱり慣れないもんですね」
心の弱さを見透かされたように感じ、龍平は恐縮してしまう。
人権と安全を保障された現代日本の常識からは、そう簡単に抜け出すことはできなかった。
約一五年の年月に刷り込まれた常識は、そう簡単に捨てることはできない。
理屈は理解できても、感情は別だった。
なにも殺すことはないだろう。パンのひとつで腕を切り落とすなど、野蛮な行いだ。
そう非難することは簡単だ。
だが、甘い顔を見せれば、次はそれ以上踏み込んでくる。
今夜はパンひとつで引き下がった者が、次の夜には金に手を出してくる。
そして次の夜には根こそぎかっさらい、夜の闇へと消えて行く。
それだけなら、まだマシな方だ。
追っ手がかかる憂いを絶つために、皆殺しにする者もいる。
実に合理的な思考だ。
その際に女がいれば犯し、あわよくば連れ去る。
その女がどうなるか、考えるまでもない。
もちろん、善良な人々もいるだろう。
だが、だからといって警戒を緩めることは、即、死につながる世界だった。
――リューヘーが甘いのか、あなたの世界が甘いのか、判断に苦しむところね。私も実際目にしたのは、あのときが初めてだけど。それでもやるべきことだとは、理解していたつもりよ――
これが教育の成果なのだろう。
常識など、時代や国、極端な話地方によっても違ってくる。
物心ついた頃からそう教えられていれば、ある程度の年齢に達したときには強固な常識として完成されている。
人ひとりの命にどれほどの価値を持たせるか、龍平とこの世界の人間の間に乖離があってもおかしくはかった。
「俺の世界がってより、俺の国がそういうことに極端なほど甘くて、そこで育った俺が甘いのも、そうなるべくしてなったんだろうなぁ」
地球でも治安が悪いところは、腐るほどある。
日本の治安が余りにもよすぎる上に、信じられないほど刑が軽い。
――前にも聞いた気がするけれど、鞭打ちも強制労働もないんですって?――
肉体に苦痛を与える刑は、たしかに死刑以外にはなくなっている。
拘束衣を用いることもあるらしいが、あくまでも危険防止を建前としていた。
「一応犯罪を犯して警察に逮捕されたあと、検察が起訴して裁判所が有罪と判断すれば、それに従って刑務所に収監されて、日中は労働があるらしいよ。やってることは、木製家具作ったり、いろいろあるらしいけど」
龍平の知る範囲で、犯罪を犯した者がどう扱われるか説明する。
「ずいぶんと面倒な手続きを踏むんだな。捕まえたらその場で刑を決めるのでは、不都合があるのかね?」
ミッケルが、当然の疑問を呈した。
軽犯罪に至るまで、領主や司法担当の重臣の判断を要するのでは、非常に効率がよろしくない。
「ええ。まずは誤認逮捕の防止でしょうね。警察はあくまで捕まえるだけで、その罪状をあらためた検察が刑の申請を裁判所に上げるんです。現行犯ならともかく、捜査の結果が間違うことが絶対ないとは言えないですから」
複雑な手続きなどはすっ飛ばし、逮捕から起訴までの流れを龍平はざっくりと話していく。
――そこまで手間をかけるなら、ケンサツとかの時点で刑が決まってもいいのではなくて? ――
レフィの疑問も、もっともなことだ。
この世界、この時代には、まだ権力分立が不完全であり、人材も余裕があるとはいえなかった。
「検察は、あくまでも罪状に対して法に則った刑量を提案するだけなんだ。で、それが妥当かどうかを判断するのが裁判所」
そこで龍平は言葉を切り、少し考え込んだ。
「ミッケル様。たとえば定職にも就かず遊び歩いてる男が、遊ぶ金ほしさにどこかの店から売り上げを盗んだとします。それに対して、年老いた親が病気で働けなくなった貧しい子供、まあこちらも大人とします、が、薬を買う金に困って店から売り上げを盗んだ。どうご判断を下されますか?」
厳格で冷徹な者であれば、同じような罰を与えるだろう。
だが、ミッケルであれば情状酌量するだろうと、龍平は判断していた。
「なるほどな。常に第三者の目を用意し、一方的な断罪を防ぐための仕組みか。しかし、そのためには多くの人材と、高度な教育が……。うむ、理解した。君のような年齢であれ、さらに上の年齢であれ、教育を施すということは、そういうことだな?」
やはり、一定以上の教育を受け、深い教養を有する者は理解が早い。
当然のことだが、ミッケルは龍平が説明したシステムを、そのまま導入することは無理だと理解している。
総人口も少なく、一〇歳に満たない子供まで労働人口としてカウントしている世界では、義務教育など無理な話だ。
国家に力がなければ、労働者を巻き上げられた家は、早晩経済的な破綻に追い込まれる。
子供が抜けた分の収入を補い、教育費を捻出するには、何よりも金が回らなければならない。
かといって、必要以上の金が市場に出回れば、ハイパーインフレが起きるだけだ。
総人口を増やし、経済を発展させ、地道に国力を上げるしか、解決策はない。
そのためにも、庶民への教育が必要だという矛盾がついて回るが、今はまだそこまでを解決する余裕はなかった。
ノブレスオブリージュの概念を、さらに広く解釈することが重要だ。
公共の福祉という概念をより深く浸透させ、貴族社会全体の底上げが必要だった。
――庶民がそうやって教養を得て、社会の重要な役割を担ってきたのね、リューヘーの世界は。そうなれば、私たち貴族階級は、お役御免、と。で、今まで虐げられてきた庶民に、皆殺しになって今に至るということ?――
レフィは庶民が力を付けたあとの、貴族の立場について想像してみた。
「当たらずとも、ぜんぜん遠くもないな。一部にはそんなこともあったろうけどさ。専制政治は恨みを買いやすいから、権力の極端な集中は危険だよ。って、危険思想だよね、俺の言ってること。この場限りのことと忘れてくれ。俺は、この世界を俺の世界みたいにしようとは思わん。ひとりでなにができるっちゅうねん。この世界の人が選択することだよ」
確かにフランス革命やロシア革命で、絶対王政や専制政治を敷いた王族皇族は皆殺しに遭っていた。
だが、貴族階級が消滅したかといえば、そうではない。
貴族階級は民主主義や資本主義の発達に伴い、没落と発展的解消ののち、名誉称号として落ち着いている。
もちろん、共産主義や社会主義によって、強制的に消滅させられた場合もあるが。
「いずれは君の世界のようになっていくのだろうが、それにはまだ数百年以上の時間が必要だろう。それがより良い世界というのであれば、我々はその種まきということにもなるな。ま、性急な変革は混乱しか起こさない。君の知識を本当に生かせるのは、後世のひとびとになるのだろう」
どう考えても危険思想でしかない会話を乗せて、馬車は王都への道を進んでいる。
もう一台の馬車は、なにやらピンク色の雰囲気を漂わせていたが、龍平は何も見なかったことにした。イケメン死すべし。慈悲はない。
もちろん、ケイリーとアミアが馬車の中で、ふしだらな行為に耽っているなどあり得ないことだ。
まだ街道の安全が確保されていないこの時代において、賊による襲撃に即応できる体制は常に整えていなければならなかった。
それ以前に、ふたりのお付きであるサリサとライカ、そしてデイヴが御者席に同乗している。
これで行為に及んでいるならば、逆にその図太さを賞賛してもいいくらいだった。
デイヴは右腕の肘から先を失ったことで騎乗が不可能になり、最後の肉壁を買って出ていた。
その役どころであれば馬車の中にいるべきだろうが、さすがにふたりの世界を邪魔したくはなかった。
お姫様育ちのアミアのため、サリサとライカは中に置いている。
だが、デイヴとしては、ふたりとも御者席に連れて行きたかった。
もちろん、ケイリーとアミアをふたりきりにしたところで、正式な挙式を挙げていない以上間違いは起こりえない。
この世界、この時代、地球のキリスト教とは違う文化でも、処女性は重視されていた。
貴族のしきたりなんぞ面倒なものだと、デイヴは考えている。
そして、その窮屈さに縛られている主を、哀れだとも思っていた。
「おい、ミッケル様に伝令だ。後ろからついてくる旅人どもが遅れ始めた。少し速度を落とされたし、とな」
馬車のそばに付き従う従卒に、デイヴは伝令を命じた。
隊列から脱落すれば、それは盗賊に食われることを意味している。
「ったく。何度来ても減りゃぁしねぇ。どっかに盗賊の斡旋所でもあるのか、この領地は」
誰に言うとでもなく、デイヴは毒づいた。
街道警備を疎かにしているわけではないのだろうが、盗賊の数が減った実感が持てない。
セルニアン辺境伯領が豊かな土地であり、それだけ稼ぎを期待できるということでもある。
周辺の直轄領やカナルロクから、越境してくる流れ者が多いということもあった。
もちろん、セルニアン領内で土地や店を継げない農家や商家の三男四男が、手っ取り早く食うために盗賊に身を落とした例も多数あるだろう。
盗賊団をひとつ潰しても、あとから食い詰めた者がすぐに入り込んでくる。
いくら山狩りをしたところで、土地勘がない者にはすべてを狩り出すことは無理だ。
仮に土地勘があったとしても、動員できる兵の数には上限がある。
結局殲滅できない上に潜在的な供給源がなくならない以上、定期的に目立つ集団を間引くしかない。
社会構造を根本的に変えなければ、盗賊団の問題は解決できなかった。
「まあ、愚痴を言っても奴らが減るわけじゃございません。我々はできる範囲で全力を尽くすといたしましょう」
アミアにつけられた家令が、手綱を握りながらデイヴに言った。
洗練された物腰に、デイヴはどうしても気後れしてしまう。
辺境伯二の姫が侍女をひとりしか連れて行かないのでは、沽券にかかわるとつけたられた者だ。
だが、デイヴにはネイピア領を掻き回されるのではないか、との危惧が強かった。
今のところ態度は控えめだが、正妻の権限と辺境伯領の威光を背景に、いつ領地経営に口を出してくるか解ったものではない。
田舎者らしい偏狭さだと自覚しているが、デイヴはどうしても気を許せなかった。
「馬車であれば王都まで一度も野営なしは、いつ来てもありがたいな。義父上の経営手腕の賜物といったところか」
セルニアと王都の間には、馬で一日の行程ごとに宿場町が整備されている。
その多くは元からある村落に宿泊施設を整備しただけであり、わざわざ新たに宿場町を作ったところは少ない。
当然だが、馬車の行程が優先され、徒歩での行程には、避難小屋程度が置かれているだけだ。
それでも屋根があるだけ、ネイピア王都間よりははるかにマシだった。
セルニアン辺境伯領を出たあとも、直轄領や他の有力な領地を経由していくため、宿に困ることはない。
ネイピアからも王都が近くなればそれなりに宿はあるが、ネイピア山塊を出るまでは野営しかなかった。
「私、野営が楽しみですわ、ケイリー様。今までの生活ではできなかったことがたくさんで、私、生まれ変わったような気分です。ネイピアに行くまでに、少しでも足を鍛えておかなければなりませんね」
アミアは王都からネイピアまでの行程を、夢のように描いていた。
そして、馬車が途中までしか使えないことも、理解していた。
「ああ。アミアには苦労をかけるな。セルニアで遠乗りはしていたろうけど、山は初めてだろう? 春になったら王家の狩り場を借りて、野営と山歩きの訓練だな」
さすがに冬となった今では、ケイリーですら野営はためらう季節だ。
春までは雪で移動も制限されるため、王都に滞在しなければならず、その間は野営の練習など自殺行為だった。
春になれば、すぐにセルニアでの披露宴が待っている。
そのあと一旦王都に戻り、ネイピアへの凱旋だ。
その間に、アミアを山歩きと野営に慣れさせなければならない。
そして冬の間は、王都で顔つなぎの宴席が目白押しだ。
社交に慣れていないケイリーと、山に慣れていないアミアにとって、忙しい日々になりそうだ。
ケイリーはそこはかとない不安を、胸の奥に感じていた。




