42.フィジカルトレーニング
「パラシュートを作ろう」
宿の部屋で、唐突に龍平が言った。
昨日レフィに試乗して以来、考えに考えたことだった。
――なに、それは?――
当然、初めて聞く単語に、レフィは首を傾げて尋ねる。
未知の知識に、左の瞳が薄く光を帯びたようにも見えた。
「そうだなぁ、説明が難しいから、作ってみるか。ちょっと待っててくれ」
そう言うと、龍平は宿の受付へ行く。
そこで使い古したシーツの切れ端と、煮込み料理に使う太い木綿糸をもらった。
そしてハサミを借りた後、裏庭から小石を拾って部屋に戻ってきた。
レフィは既に、アーリを呼んでいた。
「何やってんだよ。アーリさん忙しいだろうに。いいの? こんなとこ来てて?」
龍平がレフィを咎め、そしてアーリに確かめる。
昼食時のピークも過ぎ、従業員たちが三々五々休息に入っているとはいえ、アーリに仕事がないとは言い切れなかった。
「どうぞ、ご心配なく。リューヘー様のお話を聞けるなら、何をおいても馳せ参じますので」
瞳をキラキラさせながら、アーリは答えた。
そして、従業員の福利厚生用なのか、客用ではない茶葉を用意している。
――ほら、ご覧なさい。手際のいい人なんだから、そこは心配ないわよ。無理強いするようなマネはしませんから――
アーリにサーブされたカップを両手に、レフィはなぜか得意げに答える。
女の子同士の仲良さげな光景に、龍平も思わず笑みがこぼれた。
シーツの切れ端を直角二等辺三角形に折り、まずは正方形に切り取る。
再度半分に折って直角二等辺三角形を作り、そこから三回折り込む。
シーツの切れ端は、頂点が一二,二五度の二等辺三角形へと変えていた。
底辺に丸みがつくように、ハサミで切り取ってから広げる。
底辺にかたどられた丸みの頂点に糸を縫いつけ、適当な長さに切りそろえて端を束ねる。
さらに一本糸を継ぎ足し、そこに小石を結びつけた。
そして、丁寧に畳んで糸を折り返すと、龍平は立ち上がった。
不思議そうに龍平の手元を見ていたふたりには、これから何が起きるのかまったく予想もつかず、きょとんとした顔で見上げている。
「さあ、庭に行こうか。ここでは天井が低すぎるからな」
そのまま部屋を出ていった龍平を、ふたりは慌てて追いかけていく。
そして、庭に出た龍平は、ふたりに向きなおった。
「では、問題。この包みを上に投げると、どうなるでしょうか? はい、レフィ君」
――そんなもの、普通に落ちてくるだけでしょ――
いきなり指名されたレフィは、慌てながらも答える。
「はっずれ~! まあ、見てなって」
そう言うなり、龍平はおもちゃのパラシュートを空高く投げあげる。
空中で小石に引かれたシーツの切れ端が広がり、おもちゃのパラシュートはゆっくりと降下してきた。
――……。……何これぇっ? 面白ーい!――
ゆらゆらと風に吹かれながら、ゆっくりと流されていくパラシュートを見たレフィが、子供のような歓声を上げた。
もっとも、傍目には龍が突然吼えたようにしか見えないが。
「……」
空に投げた包みが石のように落ちてくると疑わなかったアーリは、唖然とした表情で降りてきたパラシュートを見つめている。
「こんな小さなおもちゃに魔法を使うなんて、なんて無駄なことをするんですか!」
再起動したアーリが、突然叫んだ。
風属性の魔法で、小石の落下速度を遅くしたのだと、アーリは考えていた。
たしかに魔力の無駄遣いは、身体に悪いと言われている。
こんなことで魔力を使うなど、たとえ客であってもやめさせなければと、アーリは真剣に思っていた。
「いやいや、魔法なんて使ってないって。第一、俺は四属性使えないんだからさ。ほら、自分でやってみれば分かるだろ?」
そう取り繕った龍平は、アーリにパラシュートを畳ませ、そして投げさせた。
今度もゆっくりと降りてくるパラシュートを、アーリは信じられないような目で見つめていた。
「リューヘー様っ! これ、私にいただけませんかっ! 弟と妹に見せてあげたいんです! 世の中にはこんな不思議なものがあるよってっ!」
我に返ったアーリが、龍平に向かってまくし立てた。
初めて目の当たりにする不思議を、自分ひとりのものになんかしたくなかった。
龍平たちと話すうち、知識の大切さに気づいたアーリは、弟や妹がそれに気づくきっかけになればいいと考えていた。
いくら言葉を重ねても、目の前で起こる現象に勝てるはずもない。
「あ、ああ。構わないよ。こをなんでよければ、材料さえあればいくつでも作っちゃるけど」
アーリの勢いに押され、龍平はつい一歩退いてしまう。
「これの名前教えてください! なんていうんですか、これ! リューヘー様、お願いします!」
どうやら、ここしばらくの会話で芽を吹きかけていたアーリの知的好奇心は、パラシュートと一緒に一気に開いてしまったようだった。
「パ、パラシュートっていうんだけど……」
再度アーリの勢いに押され、今度はどもってしまった。
「パッパラシュートですね! パッパラシュート……。ありがとうございますっ!」
バネ仕掛けの人形のようにアーリは一礼する。
そして、またパラシュートを投げ上げた。
「違うよっ! パラシュートだよパラシュート! よりにもよって、何だよパッパラシュートって! ものすごく莫迦っぽくなっちゃったよ! アーリさんの笑顔がまぶしすぎて、ものすごく申し訳ないよっ!」
パラシュートを投げ上げあとの、嬉しそうな笑顔が見ていられない。
思わず龍平は全力で突っ込んでしまった。
自分がどもってしまったせいかと思うと、申し訳なさが先に立ったが我慢できなかった。
この世界に転成して以来、これほどいたたまれない気持ちになったことは初めてだった。
「あうぅぅ……ごめんなさい。パラシュート、ですね」
聞き間違えの恥ずかしさで、アーリの顔が真っ赤に染め上げられた。
地球においては中世が終わり、ルネサンス最初期の一四八五年頃に、レオナルド・ダ・ビンチによるパラシュートのスケッチが残されている。
さらに一四七〇年頃のイタリアで、名も知れぬ人がパラシュートの図面を書き残していた。
そして、実際にパラシュートの原型が作成されたのは、一六一七年だった。
つまり、この世界においては、まだ着想すら得られていない技術だった。
ゆっくりと降りてくるパラシュートを、宙に浮いたレフィが不思議そうに眺めていた。
そして、一緒に降りながら、翼で風を送って吹き流していく。
パラシュートにまとわりつくチビ龍の姿は、その凶相に反してかわいらしく見えていた。
――すごいわね、これ。で、リューヘー。これを何に使うの?――
レフィがパラシュートを弄びながら、リューヘーに聞いた。
たしかに偉大といっても過言ではない技術だが、何に使うのかがさっぱり分からない。
「何って、そりゃあ、おまえに振り落とされたときとか、脱出するときにだろ、常識的に考えて」
しれっとした顔で、龍平は答えた。
それ以外の何に使うんだと、その表情は物語っている。
――失礼しちゃうわねっ! いつあなたを振り落としたのよっ! それに、脱出って何よっ!――
それなりに気を使って乗せていると自負していたレフィが、当然のように激昂する。
「だって、しょうがねぇだろ! おまえ、夢中になると無茶な飛び方するし! ベルトが外れたらどうすんだよっ!」
龍平も負けずに言い返す。
どうもこのお姫様は、熱中すると我を忘れる悪い癖があるようだ。
――そんなの、ベルトを頑丈にしてしっかり締めとけばいいじゃないのっ! そう簡単にベルトが切れたりなんかしないわよっ!――
レフィの言い分も、まあ、まともではある。
人体の限界というものを知っていればだが。
「んなもん、ベルトが切れる前に俺の身体がぶった切れるわっ! いきなり急制動かけられてみろ! おまえは止まれても俺の身体は止まらんわっ!」
確かに飛行機事故では、墜落時の衝撃によりシートベルトで身体が切断された事例の報告がある。
レフィの急降下からの急制動は、墜落とは比べものにはならないが、かなりの慣性の力がかかっていた。
もっとも、その時点で龍平が飛び出しても、パラシュートがまともに作動する保証はない。
ドローグシュートと呼ばれる小型のパラシュートがついてなければ、メインパラシュートはまともに開かない。
まず、姿勢が安定していないと、メインパラシュートの索が絡まってきれいに展開しない。
そして落下速度が速すぎるときにいきなりメインパラシュートを開くと、風圧で裂けて破損する。
ドローグシュートは、姿勢の安定と速度の抑制に必需だった。
さらに、メインパラシュートを収納部から引き出すためも、なくてはならない。
パラシュートのことは知っていても、ドローグシュートを知らない時点で龍平の考えは絵に描いた餅でしかなかった。
その上、レフィが飛ぶ高度では、パラシュートで充分に減速する前に地上に激突する。
風の魔法で減速するにも、龍平には使えなかった。
いずれにせよ、パラシュートがまともに開かない時点で、この話は終わりだった。
「おまえが急に壁にぶつかったとしよう」
まだやってたの、君たち。
まあ、慣性の法則は重要だね。
――失礼ねっ! そんなの、ぶつからないわよ!――
「ぶつかったとしようっ!」
仮定を否定されては話が進まない。
龍平は強引に話を進めた。
「そのとき、俺はどうなる?」
聞くまでもないが、一応聞いてみる。
――一緒にぶつかるでしょ。そんなことも解らないの?――
レフィは苛立ち混じりに、龍平の言葉を混ぜ返した。
「そうだ。一緒にぶつかる。当たり前だな。じゃあ、おまえがいきなり、壁にぶつかったように、止まったら?」
――あなたも止まるに決まってるでしょう! 私と一緒に止まるんでしょ? だったらそれでいいじゃないの! 降りるときだって一緒じゃない!――
「ああ。俺も止まる。いきなりな。おまえは魔法なり羽ばたきなりで、自分で止まれるけど、俺はそうじゃない。走ってて誰かにいきなり止められるようなもんだ」
――……――
「いいか、おまえは勢いを殺しきっても平気な身体だ。でも、俺の身体はそうじゃない。おまえが止まる勢いがベルトに全部かかってくるんだ」
レフィは頭がこんがらかったのか、黙ったまま考え込んでしまった。
「分かりにくいか? じゃあ、馬に乗って走ってるとき、目の前に急に木の枝が現れたら? 馬車が急停車したときはどうなる? そんなとき、ベルトを腹に締めていたら?」
分かりやすいと思える例を、龍平が提示した。
――そんなの避けるし! そんな下手くそな御者なんてクビよっ!――
「今はそんな問題じゃねぇっ!」
癇癪を起こしたレフィに、龍平は噛みつくような剣幕で言い返す。
そして、頭を抱えるようにして、大きな溜め息をひとつついた。
「えっと、リューヘー様。そうなると、たとえば全力で走ってる馬が転んで、放り出されたあと何かにぶつかったときのような衝撃が、ベルトからくるってことですか?」
アーリが恐る恐る聞いてきた。
実家近くの牧場で、調教中の馬が柵を飛び越え損ねたときに、乗っていた騎手が前方に飛ばされた事故を見た覚えがあった。
飛ばされた騎手は全身をしたたかに打ちつけられ、何本か骨折する大怪我を負ったのを覚えている。
身体全体で受けた衝撃がそうなら、それが一点に集中したらどうなるかは、残念ながら想像もつかなかった。
「正解。速度と止まる勢いにもよるけど、まあ、身体がぶった切れるわ。だから、これを使おうってんだよ」
なんとか説明し切れたと、龍平は何度目になるか分からない大きな溜め息をついた。
それでもまだ、レフィは納得しがたいようだ。
――理屈は解ったわ。でも、それで飛び出すのも危ないことには変わりないわね。私が気をつけなきゃいけないってことね。そうでしょ、リューヘー?――
そうです。その通りです、トカゲ姫。
あんなパラシュート使わせたら、まず間違いなく龍平君が大怪我か死にます。
「そうなんだけどさ。大丈夫か? おまえを信じるしかないんだぜ、俺は」
すごい殺し文句ですね。
挙式はいつにしましょうか。
――ええ。任せて、リューヘー。その信頼に応えてみせるから――
おあついですね、おふたりさん。
なに手に手を取って見つめ合ってるんですか、あなたたち。
アーリさんがすっかり蚊帳の外です。
「あの~、もしよろしかったら、アーリさんも飛んでみます? ゆっくり飛べば問題ないはずですし」
すっかりふたりの世界に浸っていた龍平が、やっと現実に帰ってきた。
中身が女の子でも身体が龍じゃぜんぜんどきどきしないよねっ!
「ええっ? よろしいんですか? リューヘー様以外が乗せていただいて?」
まさかの申し出に、アーリは飛び上がらんばかりに驚いた。
騎士が自らの乗馬の背を他人に任せるなど、あり得ないことだった。
――馬と人間の信頼関係とは違うから、私たちは。私と龍平が信用してる人なら、私は一向に構わないわ――
アーリの顔が、ぱっと輝いた。
だが、次の瞬間には、残念そうな表情になってしまう。
「嬉しいんですけど、私、今スカートですぅ。着替えたりしてると、夕食の支度が……」
さすがに仕事の邪魔はできない。
アーリの遊覧飛行は、またの機会にお預けとなってしまった。
おい、ちっとか言わない。
下から覗くチャンスだと思ったろ。
だいたい、現代日本で誤った認識の元に作られてるメイド服じゃねぇんだよ。
乗りにくいだけで、見えねぇからな。
――そうね。残念だけど、またの機会にしましょ。あなたのお休みの時に、どこまでも飛んであげるわね――
無理強いしてはアーリの立場を悪くするだけと、レフィはわきまえている。
あっさりと次の約束をして、この日は終わることにした。
「じゃあ、アーリさん、また今度ね。レフィ、いくつか注意しておくことがある。あとは部屋に戻ってからな」
アーリを乗せるに当たって、ハミルが失神した件を反省しておかなければならない。
あのときレフィはハミルの失神を恐怖によるものと考えていたが、違う要因があった。
たしかに急機動による恐怖もあったのだろうが、龍平は重力加速度による失神を疑っていた。
体軸に対して下方に作用する、急激な重力加速度によって起きる脳虚血だ。
一般にブラックアウトが失神と思われているが、これは誤解だ。
ブラックアウトは単に視界が暗転するだけで、重力加速度が弱まれば回復する。
もちろん、そのまま過剰な重力加速度がかかり続ければ、ブラックアウトしたまま失神する。
ブラックアウトは失神の予兆であり、パイロットはそれを防ぐため様々な手段を講じている。
だが、レフィと飛ぶ場合、ブラックアウトが起きてもレフィは気づかない。
それを防ぐためには、レフィが気をつけるしかなかった。
部屋に戻ってから龍平は、糸に結んだ小石を使って遠心力から説明を始めた。
そして以前魚の呼吸で説明した血液の役割の復習から、チョークスリーパーによる失神の原因など、レフィが半泣きになるまでレクチャーは続いたのだった。
「そろそろ夕食にするか。レフィ、生きてるか?」
テーブルに突っ伏したレフィに、龍平は声をかける。
短時間ではあったが、かなり高密度のレクチャーになっていた。
――やー。もうお家帰るー――
脳が拒否しているのか、すっかり幼児退行しているようだった。
決してレフィの理解力が劣っているわけではなく、教え方の問題だった。
いくら高校一年生レベルで止まっているとはいえ、龍平は現代科学の基礎をそこそこ理解している。
だが、その基礎をすっ飛ばし、教えるテクニックもなしに詰め込んだせいだった。
――リューちゃん、しょうがないよ。知るために知らなければならないことを、知らないままに詰め込んでるんだもん。リューちゃんも知らないことあるから、そこがあやふやになってるんだよね――
赤い龍の左の瞳が、ルビーのような輝きを取り戻していた。
レフィが幼児退行したせいか、ティランの意識が浮き上がってきたようだった。
「ん、ティランか? 痛いとこ突くなぁ。そうなんだよな、これからもっと教わるってときに、こっちに来ちゃったからなぁ」
龍平は素直に認め、頭を掻いた。
生兵法ではないが、このままではきっとパラシュートで大怪我を負う危険性も気づいていない。
――でも、ボクはリューちゃんの話、好きだよ。もっといろんな話聞きたいな。足りないとこは、一緒に考えようよ。これでもボク、前の世界では青龍ほどじゃないけど、賢龍って言われてたんだから――
少しだけ悲しそうな瞳で、ティランは龍平に言った。
かつて討ち倒してしまった同胞への、惜別の哀と限りない敬意がそこにはあった。
「そうだなぁ。俺だけじゃ足りないとこは、ティランに助けてもらうとするよ。あのときみたいに暴れられると困っちまうけど、こうしてくるなら歓迎だぜ、俺は」
初めて対峙したときの狂気は、今のティランからは微塵も感じ取れない。
龍平は、素直に歓迎の意を示した。
――レフィ姉、寝ちゃったかな。ねぇねぇ、ふたりともずいぶんと仲いいよね。見てると楽しくなっちゃう――
いたずらっぽい笑みが、赤龍の凶相に浮かび上がった。
かつての夢の跡、赤龍の梁山泊に集うひとびととの交流で、ティランは人間の心の機微を多少は理解している。
「そうだな。俺、レフィにはかなり助けてもらったからなぁ。面と向かってだと恥ずかしくなっちまうけど、恩返しはきちんとしたいと思ってる」
エメラルドの瞳は開いているが、今はその光を失っている。
レフィは完全に眠っているのか、龍平の言葉に反応することはなかった。
――うんうん。その気持ち、ボクにも解るよ。仲良くしていくことが、一番の恩返しだからね。リューちゃん、それ忘れないで――
喋り口からは、まだ未成熟な女の子を彷彿とさせている。
確かにティランは異世界転移の原因となった激闘の後遺症で、幼児退行を来していた。
しかし元はといえば、悠久の時間を生き抜いてきた存在だ。
精神的には老成した大人の部分が復活しつつあり、多少の歪みをみせてはいるが、賢龍の片鱗を取り戻しつつあるようだった。
そして、たとえ片鱗であっても、一七、十八の人間が逆立ちしたところで、その精神性には及ぶべくもない。
龍平は、その点も素直に認めていた。
「どうする? レフィ寝かしたまま夕食にするか? たまには食いたいだろ?」
いたずらっぽく笑い、龍平が提案する。
それに応えるルビーの瞳が、楽しそうに細められた。
――いいね。たまにはボクが食べてもいいよね。レフィ姉、ごめんねー――
旧来の友人のように、龍平とティランは食堂へと連れ立っていった。
あとでどうなっても知らねぇからな。




