41.龍騎士
窓板の隙間から射し込む光で、龍平は朝が来たことに気づいた。
まだ頭は、疼痛に揺らいでいる。
いつもならとっくに起き出している頃合いだが、気怠い不快感にベッドから出られないでいた。
かすみがちな目を擦り、昨夜の記憶をたぐっていく。
しばらく記憶をたぐった龍平は、どう遡っても逃れ得ない一点にたどり着いた。
そのときの光景を思い出し、枕に顔を埋めた龍平は両足をばたつかせる。
――なにをしてるの、あなたは?――
閉め切った窓のせいでまだ暗い部屋の隅から、冷ややかなレフィの念話が飛んでくる。
枕から顔を上げてその方向を龍平はにらむが、また枕へとうつ伏せてしまった。
「……なんで、あんなこと言っちまったんだ、俺は……」
昨夜の光景をはっきりと思い出し、レフィの顔をまともに見られない龍平は、ベッドの上でのたうち回る。
一瞬、部屋の気温が下がったような気がした。
――あんなこと? あなたにとって私はそんなものなのね? 酷いわ、リューヘー――
レフィがハンカチをくわえて泣き崩れる。
あ、意外とかわいい。
目が笑ってるのバレバレです。
絶対、遊んでますね? トカゲ姫。
――おまえしかいないって、あれは嘘なのね!――
「おまえしかいないって、恥ずかしすぎるぅっ!」
「……ぅぅ……まだ頭痛い……水くれ……水」
龍平は、二日酔いに苦しめられていた。
気力を振り絞ってレフィの冗談に乗ってみたが、やはり何の解決にもなっていない。
――まったく、仕方ないわね。あれだけ飲めばどうなるかくらい、分かるでしょうに――
珍しくレフィは、甲斐甲斐しく世話を焼いている。
責めるようなことを口にしているが、どことなく嬉しそうだった。
昨夜のうちに汲み置き、火の魔法で一度沸騰させておいた湯冷ましに、氷の魔法を掛けて冷やした冷水を龍平に差し出す。
二日酔いにはありがたい冷たさだった。
「まさか途中からウイスキーに代わっているとは……不覚だ。いや、あれは本心だから。決して酔った勢いなんかじゃないから」
さっきの冗談を、真に受けたわけではない。
だが、また誤解を招きそうな言葉を龍平は慌てて取り繕う。
――大丈夫よ、リューヘー。嬉しかったわ。あんな人前ではっきり言ってもらえて――
ぱたぱたと翼をはためかせ、レフィは龍平の周りを飛び回っている。
身の丈の倍ほどもある尻尾までが、まるで犬のように振られていた。
「いや、だってそうだろ? いまさら新しく馬をもらったって、王都に行くまでに乗れるようになんて。無理無理。やっぱりおまえしかいねぇよ」
少しずつ楽になってきたのか、ベッドから起きあがった龍平がレフィに言う。
やはり、二日酔いの特効薬は、時間が一番だった。
――そうよね。せっかくの厚意でも無駄にするよりは、はっきりと理由を告げて断った方が角は立たないわ。みんな納得してくれたし、ね――
くるくるとトンボを切りながら、レフィが答える。
ちょろいんですね、トカゲ姫。
ことの顛末は、王都への出立に当たり、バーラムが馬を贈ろうかと言いだしたことだった。
もちろん、この時代、この世界における貴族の標準として、騎士が馬を持たないなどあり得ないからだ。
だが、乗馬の経験などない龍平が、今から馬に馴染めるかといえば、無理としかいいようがない。
現代日本で馬に接する機会など、よほどの馬好きでもなければ観光牧場がいいところだ。
以前、遠乗りに誘われた際にも、乗馬経験がないことを理由に断ろうとした。
実は、観光牧場でのトラウマが根底にあったからだった。
幼い頃に連れて行かれたとき、乗せられようとした馬に恐れが伝わったのか、それとも龍平の思い込みなのかは判らない。
だが、反芻しながら寄せられてきた馬の顔に、言いしれぬ恐怖を感じて以来、龍平は馬が苦手になっていた。
だからといって、馬が苦手で片がつく話ではない。
かえって、騎士が馬を怖がってどうすると言われるだけだ。
だが、龍平にはレフィがいる。
騎馬ならぬ騎龍は、他に代え難いと言えば角は立たなかった。
どう断っても角が立ちそうな難題を、龍平はレフィのおかげで華麗に切り抜けていた。
その際に酔った勢いで叫んだ言葉が、あの殺し文句だった。
やっぱり酔った勢いじゃねーか。このへたれめ。
――もう少し休んだら、ヴァリー商会に行きましょう。ハミルさんのこと、あまり待たせたら申し訳ないわ――
いつもに比べてずいぶんとお優しいですね、トカゲ姫。
もう王都に行ったときに、ケイリーさんたちと合同で挙式やります?
「ああ、そうしよう。悪いがもうひと眠りさせてくれ。たぶん、それで治ると思う」
こなれた夫婦のような台詞を吐いた龍平が、ベッドに倒れ込んで毛布にくるまった。
――じゃあ、私は朝食に行ってくるわ。あなたの分はもらってくるから、起きてから食べればいいわ――
動かなくなった龍平の枕元にサイドテーブルを寄せ、そこに氷水を満たした水差しとカップを置く。
それからレフィは静かにドアを開け、朝食へと飛んでいった。
――もう具合はよろしくて? 悪いわね、私ばかりいただいて――
ヴァリー商会への道すがら、遅い昼食となったサンドイッチをかじりながらレフィが聞いた。
昼過ぎにやっと起きた龍平は、取ってあった朝食でブランチにしたため、今は腹が満たされていた。
「ああ。もうすっかり。気にすんな。好きなだけ食ってくれ」
さんざん世話を焼いてもらった龍平は、手にサンドイッチを抱えている。
宿の厨房に頼んで、レフィの昼食用にこしらえてもらったものだった。
いつもは串焼きを巡って熾烈な闘いを繰り広げている二人を、町のひとびとは生温かい目で見送っている。
平穏な日常が静かに流れていた。
「ごめんください。ハミルさんいらっしゃいますか? お願いしていた鞍をいただきにきました」
ヴァリー商会の入り口で来意を告げ、ふたりはハミルを待っていた。
町に無用の騒乱を引き起こさないように、まだレフィはチビ龍のままだった。
「いらっしゃいませ! お待たせいたしました! リューヘー様、レフィ様、お待ちしておりました! 早速微調整に入りたいと存じますので、どうぞ奥へお入りください! カタストも首を長くして、お待ちしております!」
勢いよく飛び出してきたハミルが、からくり仕掛けの人形のようにお辞儀をした。
そして、ふたりの手を引き店の奥へと、強引に連れて行こうとする。
「ご無沙汰っ! って、ハミルさん、慌てすぎだって」
――逃げないからっ! 逃げないから落ち着いてっ! 待たせたのは謝るわ!――
本来であればとっくに引き取りにくるはずが、暗殺未遂事件の後始末やアルマートの一件などが重なり、押し押しになっていた。
ハミルにしてみれば、やっと完成した特注品の出来映えを早く見てほしいとの一心だった。
「ああっ! ごめんなさい。私ったら浮かれてしまって。申し訳ございません。では、改めてご案内いたします」
ばつの悪そうな表情で、ハミルはふたりの手を離した。
そして、ふたりの前に立って奥へと案内していく。
「もうリューヘーさんなんてお呼びしたらいけないんですよね。クマノ卿、本日はお越しくださいまして、真にありがとうございます。レフィ様にぴったりの騎乗具をご用意させていただきました」
少し寂しそうな表情で、工房に入ったハミルが改めてお辞儀する。
龍平は思わぬ叙爵の弊害に、今更ながら気づかされていた。
「ハミルさん、できれば今まで通りにお願いしたいんですけど……。難しいんですよね?」
盛大な溜め息とともに、龍平は聞かずにはいられなかった。
下手に強要すれば、ハミルの立場が悪くなるだけだ。
そして、以前のような気軽さで、食事になど誘えない。
そんなことをすれば、即妾だのなんだのと面倒なことになること間違いない。
結婚前から妾など普通ではあり得ないが、貴族と庶民での結婚自体があり得ない。
正妻はおろか側室にもなれる可能性はなく、どうがんばっても妾にしかなれなかった。
昔から身分を越えた恋愛は物語のいいネタになっているが、あり得ないからこそネタになる。
そして、たいがいが悲劇的な結末を迎えるお約束になっていた。
ミッケルからのレクチャーで、その辺りをしっかりと叩き込まれていた龍平は、暗澹たる面持ちになっていた。
レフィも落ち込むほどではないが、寂しそうな表情は隠せないでいる。
「はい……。さすがに今まで通りというわけには……。ですがっ! 不敬と言われようと、私には大切なお友達って! その気持ちは変わりませんっ!」
意を決したようにハミルが宣言し、そして弾けるような笑顔をふたりに向ける。
龍平とレフィには、そんなハミルがまぶしく見えていた。
「はいはい、ハミル、私は聞かなかったことにしますから、せいぜい節度を持ってお付き合いさせていただきなさい」
カタストの横に立っていた初老の男が、ゆったりとした口調でハミルをたしなめた。
そして、龍平とレフィに向き直り、深々と一礼する。
「クマノ卿、レフィ様。本日はようこそおいでくださいました。当商会の代表を務めております、ヴァリー・エンバージでございます。どうかお見知り置きを。この度はわたくしどもにご注文を賜り、真にありがとうございます。おかげさまで、年甲斐もなく興奮してしまいました」
柔和という言葉を受肉化したようなヴァリーは、作業台に置かれた鞍を見ながら軽く叩いてみせる。
今でこそ商会の代表に収まってはいるが、腕の良い職人であろうことが窺い取れるまなざしだ。
「私が手掛けるはずだったのですが、すっかり奪われてしまいました。その分できの良さは折り紙付きでございます。まだまだ私も修行が足りぬと、思い知らされた次第でございます」
ヴァリーの隣に控えていたカタストが、楽しそうに言った。
どうやらレフィの鞍は、代表自らが心血を注いだ逸品に仕上げられたようだった。
「え? 代表自ら、お作りに? 予算は大丈夫でしたか?」
根が小市民な龍平は、思わず聞き返してしまった。
どうやら、普段は王都にある本店で経営に専念しているらしいが、商会始まって以来の珍しい注文に職人の血が騒いだようだった。
当然一流の職人が手掛ければ、工賃技術料は跳ね上がるのが道理だ。
しかし、ヴァリーは笑いながら手を振った。
「ご心配はご無用でございます、クマノ卿。最初にご予算を提示させていただきましたので、追加料金などいただくわけには参りません。と申しましても、本音は先行投資とでも申しましょうか。王都の本店でお目にかかることもございましょう。その折りには、よろしくお願い申しあげます」
不必要におもねることもなく、ヴァリーは本音を語った。
さりげなく本店の宣伝までしているあたり、さすがというか、商売上手と言うべきか。
――それは心強いわ。点検や微調整があれば、いつでもお願いできるってわけね。早速着けてみてよろしいかしら――
この日を心待ちにしていたレフィが、待ちきれないとばかりに巨大化する。
身の丈二メートルに及ぶ龍が、作業台の横に身を屈めた。
「これはお待たせをして申し訳ございません。では早速」
ヴァリーはレフィの肩に鞍を乗せ、ベルトで首もとに固定する。
注文にはなかった背もたれが、折り畳み式で取り付けられていた。
当初のイメージがヨーロピアンスタイルのバイクだとすれば、できあがったものはアメリカンタイプのバイクのようだった。
首にまたがるような設計が、肩に腰掛けるように変更されている。
あぶみの位置も、それを如実に現していた。
設計時は後ろ向きに踏ん張るところが、前方向に踏ん張るようになっている。
この変更で首の自由度が上がり、レフィの動きを阻害することが減っていた。
そして、龍平の視野も前傾姿勢に比べ、自由度が高くなっている。
当初の設計では真上を見る際には身体を捻らなければならなかったが、これならばただ見上げればいい。
龍平もレフィも、できあがりには充分満足していた。
――いいじゃない、これ。以前貸してもらった鞍より、断然動きやすいわ。リューヘーはいかがかしら?――
龍平を乗せたまま、工房の中を歩き回ったレフィが満足そうに頷いた。
四足歩行と二足歩行のどちらにも対応している辺り、ヴァリーの非凡さの現れだった。
「うん。いいんじゃね? 立ち上がられると鞍がいらなくなるけど、肩車してるようなもんだし。最初の設計だと、鞍が邪魔になってたな。でも、これなら邪魔にはならないから」
龍平も乗り心地には満足がいったようだ。
あとは、実際に走り回り、飛び回って不具合を確認するだけだった。
――じゃあ、外に行きましょうか。ヴァリーさん、カタストさん、ハミルさん、ご予定がなければご一緒してくださるかしら?――
龍平を下ろし、一旦鞍を外したレフィが、チビ龍に戻ってから言った。
まだ周囲に認知されていない人間大の姿で町を歩くことは、さすがにはばかられるようだった。
「もちろん、ご一緒させていただきますが。わたくしどももお供いたしますので、先ほどのお姿でもよろしいかと存じます。町の皆様にも、早く慣れていただきませんと」
確かにそれは常々考えていたが、龍平とレフィのふたりは実行に移す勇気が持てなかった。
万が一パニックでも引き起こしたらと思うと、どうしても二の足を踏んでしまう。
たとえばバーラムから布告を出してもらったとしても、その不安は拭えなかった。
バーラムの顔に泥を塗るようなことになっては、申し訳ないどころの騒ぎではない。
だが、ヴァリーの柔和な目に見つめられると、その不安が嘘のように溶けていく。
これも、人柄というところなのだろう。
「是非、是非ともお願いいたします、ヴァリーさんっ! ハミルさんもカタストさんも、是非にっ!」
作業台に頭を叩きつけんばかりの勢いで、龍平は三人に頭を下げる。
まだ慣れていないということで、笑い話で済むだろうが、騎士爵を持つ者がやっていい振る舞いではない。
――リューヘー、それ以上は控えなさい。それではお願いの形を取った命令になってしまうわ。あなたの領民ならともかく、それは閣下の顔を潰すことになるのよ。それに……――
龍平をたしなめたレフィは、そこまで言ってヴァリーにバトンを渡す。
バトンを受け取ったヴァリーは、相変わらずにこやかな表情をたたえていた。
「ええ。わたくしどもからのご提案でございます。喜んでお供させていただきますとも」
龍平の失態を侮るような表情を欠片も見せず、ヴァリーたち三人は頷いてみせる。
ヴァリーの人柄もさることながら、カタストとハミルも人の良さがにじみ出る笑顔だった。
また身の丈二メートルに巨大化したレフィに、騎乗具を取り付ける三人を見ながら、龍平は心の中で最敬礼している。
この世界に移転して以来出会ったひとびとの心根に、龍平は深い感謝の念を抱いていた。
――すごかったわね、人混みが……。まさか、あんなことになるなんて、思いもしなかったわよ――
セルニアの城門を出てしばらく歩いた野原で、レフィは肩に乗せた龍平に呟いた。
まだ試験飛行もしていないうちから、すっかり疲れたような雰囲気を漂わせている。
「まあ、それについては俺も同感だ。ヴァリーさんたちの人望って、想像以上だよ」
多少の混乱は覚悟していた龍平だが、違う方向に混乱するとは思わなかった。
まさか、レフィを恐れて人が逃げまどうのではなく、その姿に人が寄ってくるとは想像の斜め上だった。
ヴァリー、カタスト、ハミルの三人が、まず近隣の商会に声をかけた。
それも、多少ではあるが、大げさに伝説の龍騎士を宣伝した。
その上でヴァリーが先頭に立ち、革製の軽鎧とヘルメットに身を固めた龍平を乗せたレフィが続く。
カタストとハミルが両脇を固めて町に繰り出した途端、周囲の建物から歓声が上がったのだった。
伝説や寓話でしかなかった龍騎士が、今目の前を歩いている。
瞳を輝かせた子供たちが、一斉に群がってきた。
それからしばらくは、龍平もレフィも揉みくちゃにされてしまった。
レフィがおとなしい龍だと、馴染みのひとびとは知っている。
一瞬凶相に身を引く者も多いが、いつも龍平とじゃれ合っているチビ龍だと判れば怖がる者はいなかった。
群がる子供たちを交代で肩に乗せ、ひとしきり歩き回ってから、乗りたそうにしている大人たちを置き去りにしたのだった。
これが知れたら、バーラムが乗せろと騒ぎ、ラーニーとヨークが駄々をこねることは間違いない。
バーラムはともかく、ラーニーとヨークを断ることは不可能だと、龍平もレフィも諦めていた。
「じゃあ、一丁飛んでみるか。頼むぜ、レフィ!」
龍平がレフィの肩に乗り、手綱を握った。
鐙に足をかけ、しっかりと踏みしめる。
――いいわね? いくわよっ!――
風の魔法を翼にまとい、赤い龍がふわりと舞い上がる。
ゆっくりとした動作で高度を取り、ヴァリーたちに見せるように緩やかに旋回を繰り返す。
やがて、龍平が乗り心地に慣れた頃合いを見計って、レフィが翼を大きくはためかせた。
加速、旋回、降下、そして、上昇と、考え得る機動を試していく。
風属性の魔法で作られた風防は、龍平を空気抵抗と摩擦熱から見事に守りきっている。
しばらく天空を縦横無尽に駆け巡ったレフィは、満面の笑みをたたえて帰ってきた。
ふわりと舞い降りたレフィから、心なしかげっそりとした龍平が大地に降りた。
やはり、手加減していたとはいえ、遊園地のジェットコースター並のGを耐え続けることは、相当な疲労を伴っていた。
「一応、俺には不具合とかは感じられなかったんですけど、試しに乗ってみます?」
龍平がヴァリー、カタスト。ハミルに聞いた。
プロの目であれば、自分が見落とした不具合を見つけられると考えたからだ。
一人だけ酷い目に遭わされるんじゃ不公平だなどとは、決して考えていない。
考えてないったらない。きっと。
「はいはい! はぁいっ! 私、是非乗ってみたぁいっ!」
元気よくハミルが手を挙げた。
龍平の目が、鋭く光った。
店での態度とは違い、明らかに友達に接するときのそれになっている。
ヴァリーもカタストも、あえてそれを咎めだてするようなことはしなかった。
「よし。じゃあ、ハミルさん乗ってみてください。何か気になることがあれば、改良をお願いしますね。当然、馬の扱いには自信をお持ちで?」
この世界で、最も速い乗り物は馬だ。
その扱いに自信がないようでは、レフィの速さに耐えきれないだろう。
下手をすれば、振り落とされる危険性もある。
いざとなればレフィが掴み止めるだろうが、それでも一応は確認しておくべきだった。
「大丈夫ですよぅ。これでも王都と往復とかしてるんですからぁ。レフィちゃん、お手柔らかに、ね」
自信満々でレフィに乗り込んだハミルは、手を振りながら天空へと駆け上がった。
そして僅か数秒で失神し、大地へと下ろされたのだった。




