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転生龍は人と暮らす  作者: くらいさおら
第二章 セルニアン辺境伯領
30/98

30.遠乗りそして平穏な日々

 セルニアの西に広がる平原には、秋の気配が濃厚だった。

 空は高くなり、筆ではいたような雲が浮かんでいる。


 じりじりと照りつけるような陽射しはすっかりなりを潜め、涼しく吹く風が吹き抜ける

 その風に冷やされた肌を、やさしく陽射しは暖めていた。



 その空の下、龍平たちは遠乗りを楽しんでいた。

 ケイリーとアミアを乗せた馬車に、龍平とレフィも同乗している。


 ワーデビット家所有の二頭立て馬車は空間に余裕があり、彼らの他にお付きの侍女もふたり乗り込んでいた。

 対面式の座席にケイリーとアミアが並び、両脇にそれぞれの侍女であるサリサとライカがつき従っている。


 対面に座る龍平とレフィは侍女たちの接待を受けながら、とてつもない居心地の悪さを味わっていた。

 申し訳なさそうな侍女の視線も、この状況下では何の慰めにもなりはしない。


 かといって、幸せいっぱいのふたりを打ち捨てて、馬車から出るわけにもいかない。

 なぜ、デイヴが龍平たちを誘うように仕向けたか、その意図を今更ながらに思い知らされていた。


 せっかく急いで作ってもらったレフィの鞍も、馬車の荷台に積んだままだ。

 レフィは、どこかで無理矢理にでもデイヴと交代することを、密かに企んでいた。


 その馬車の周りを、四騎の護衛が取り囲んでいる。

 ネイピアとセルニアンから、それぞれふたりずつだ。


 デイヴは隊列の後ろに付き、後方警戒に当たっている。

 その両脇を、ふたりの従者が固めていた。


 これに交代要員を含む御者二名を加え、総勢一八人の遠乗りになっていた。

 龍平の感覚では多すぎるように思えるが、貴族社会では当たり前のようだった。




 ほどなくして、小さなせせらぎが見えてくる。

 ここで馬車を止め、しばらくのんびりする予定だった。


 馬車が停まり、龍平とレフィが先に降りて、ドアの横に警備として待機する。

 そして、サリサとライカに先導されてケイリー、アミアの順に降りてきた。


「リューヘー様、レフィ様、お疲れさまでやす」


 満面の笑みをたたえたデイヴが、ふたりに声をかけてきた。

 気楽な警備の役割に、心の底から感謝しているかのようだ。


「デイヴさん、そろそろ交代してくださいよ。せっかくレフィの鞍を作ってきたのに、これじゃ使う機会がないじゃないですか」


 意訳すれば、以下の通りだ。

 バカップルをなんとかしてくれ。


「そんなこと仰らずに、おふたかたのお相手をお願いいたしやす、リューヘー様。おふたかたとも幻霧の森のお話を、そりゃぁ楽しみにしておりやしたんで」


 当然、デイヴにそんなこと、できるはずもない。

 毎日見せつけられるバカップルに、他の生け贄を捧げたかっただけだ。


 たしかにその話はトップシークレットといってもいい。

 不特定多数が行き交う屋敷の中や、どこに話が漏れるか判らない晩餐会でしていい話ではない。


 龍平とレフィが幻霧の森から来たことは、ある程度の地位の者には周知の事実であり、屋敷に働く者には公然の秘密だ。

 だが、幻霧の森に何があるのか、中はどうなっているかまでを知る者はほとんどいない。


 それを知っているのは、実際に入り込んだ経験を持つミッケルと、利権について話し合ったバーラムにロドニーくらいの者だ。

 ケイリーですら、詳しい話は聞かされていない。


 この日、ケイリーとアミアに付き従う者たちは、いずれも譜代の家臣であり、口の固さには信のおける者たちだ。

 ふたりは、龍平とレフィの話を楽しみにしていた。

 だったら話振ってやれよ、バカップル。



「リューへー様、ケイリー様からずいぶんと不思議な計算術をご存じと伺いましたが、私にもご教授願えませんか?」


 好奇心に満ちた目で、アミアが言い出した。

 どうやら賠償金の計算を、ミッケルが誇張して伝えたらしい。


「あれは、別に不思議でも何でもないんです。単に慣れているのと、ひと桁の掛け算はすべて暗記してるからできただけですよ」


 小学校入学以来、六年間はひたすら計算ばかりだ。

 筆算で効率よくはなるが、九九と足し引きの組み合わせがすべての基本だ。


 いってみれば訓練の賜物だ。

 方程式や因数分解などの複雑な理論は一切使っていない。


 だいたい、普通に暮らしていて、どこで因数分解など使う機会があるというのか。

 あれは理論的な思考能力を磨くための訓練だと、龍平は無理矢理納得していた。


 そして、あのときの賠償金を計算した式を、拾った木の枝で地面にいちいち解説しながら書いていった。

 そのなかで、割り算の筆算が最も興味を引いていた。


 幸いにして、ゼロの概念は既にあったため、最もややこしい解説が必要なかった。

 この世界の文字に置き換えれば、因数分解も思考パズルとして流行るのではないかと、龍平は考えていた。



「この計算方法と記号は便利ですね。基本的な掛け算を覚えておくのが大変ですが、それは何かに書いておけばいい」


 この時代、プラスやマイナスなどの記号は、まだ普及していない。

 地球でもの同じような時代ではわアルファベットで書かれていた。


 だが、これだと文字が増えすぎて式が見にくくなる。

 どうしても最初から記号に慣れた龍平は、そちらをつい使ってしまっていた。


 加減乗除の概念があるならば、あとは応用していけばいい。

 そうして慣れていけば、龍平がやった暗算などすぐにマスターできるはずだ。


「では、こんなのはいかがですか?」


 調子に乗った龍平が、地球の文字で因数分解と展開の例題を書いた。


例(x+y)^2=x^2+2xy+y^2

解(x+y)^2=(x+y)*(x+y)

     =「x*x」+「x*+y」+「x*+y」+「+y*+y」

     =「x*x」+「x*y」+「x*y」+「y*y」

     =「x*x」+「x*y」*2+「y*y」

     =x^2+2xy+y^2


例(x-y)^2=x^2-2xy+y^2

解(x+y)^2=(x-y)*(x-y)

     =「x*x」+「x*-y」+「x*-y」+「-y*-y」

     =「x*x」-「x*y」-「x*y」+「y*y」

     =「x*x」-「x*y」*2+「y*y」

     =x^2-2xy+y^2


例(x+y)*(x-y)=x^2-y^2

解(x+y)*(x-y)=「x*x」+「x*-y」+「x*+y」+「+y*-y」

       =「x*x」-「x*y」+「x*y」-「+y*y」

       =x^2-y^2


 三つの例題を書いた龍平は、プラスとマイナス記号の関係や、矢印を使って括弧の展開の仕方を説明する。

 そして、xとyにそれぞれ適当な乗数を加え、いくつかの問題を作った。


問一 2(x+y)^2を展開せよ

問二 2x^2+6xy+4y^2を因数分解せよ

問三 3(2x-y)^2を展開せよ

問四 3x^2-3xy+6y^2を因数分解せよ

問五 (2x+3y)(2x-3y)を展開せよ


 加減乗除すべてを使った数式パズルだ。

 それを四人でああでもないこうでもないと、お喋りを交えながら解いていく。


 調子に乗って知識自慢をしてみたくなったのは、ちょっと秘密。

 まだガキだから仕方ないと、心の中で言い訳していた。



 それから、龍平は地面に木の枝でいくつかの線を引き、幾何の定理を説明した。

 もちろん、既にこの世界でも三平方の定理などは発見されている。


 だが、それらの知識は、神官などごく一部の特権階級に独占されていた。

 そのため、貴族階級でも知っている者は少なかった。


 龍平は思い出せる限りの定理を書き連ねていく。

 三角形、四角形、平行線、各種の角度、内接円、外接円等々。


 そして、面積や体積の公式。

 レフィが呆れかえったような表情で固まり、ケイリーとアミアは興味津々といった顔で龍平の描く図形を見つめていた。



「ね、おもしろいでしょ?」


 ひとしきり図形を描き散らした龍平は、そういって木の枝を放り投げた。

 レフィが困ったような顔になり、アミアは不思議そうに龍平を見ている。


「……あの、リューヘー様……」


 アミアがケイリーにすがるような視線を送り、それを受けてケイリーがレフィに目で承諾を求めた。

 レフィが肩をすくめて首を横に振り、承諾の意を返す。


 ケイリーは龍平をちらりと見て、アミアに頷いて見せた。

 一連の流れを、龍平はまるで理解していない。


「リューヘー様……あなたは、どこからいらしたのですか? 先ほどからお書きになっている文字。わたくしは初めて目にしました。それにその知識。神官様でなければご存じないようなことばかり。それをリューヘー様は常識であるかのようにお話になって。……あなたは、どこの世界の方なのですか?」


 いみじくもアミアが言った通り、龍平はこの世界の人間ではない。

 もちろん、アミアはそれを看破したわけではない。


 ただ、龍平が持っている知識が、異常すぎた。

 それを指して、どこの世界かと聞いただけだった。



 それに気づいた龍平が掌で顔を覆い、やっちゃったという表情になる。

 レフィは、何を今さらという表情に、苦笑いを張り付けていた。


「さすが、アミアだ。よく気づいたな。これだけやっておいて、今さらですな、リューヘー殿。よろしいですね?」


 まず、そこかよ。

 婚約者誉めるとこからかよ。


 全力で突っ込みたい衝動を、龍平は必死にこらえた。

 そして、ケイリーに頷いてみせる。


「ありがとうございます、リューヘー殿。この件は王国からの発表があるまで、必ず伏せておくことを、我が剣にかけて誓いましょう。……アミア、察した通りだ。リューヘー殿は、この世界の人間、ではない」


 ひと言ずつ区切り、言い聞かせるようにケイリーが言う。

 アミアは息を飲んだまま、言葉が出てこなくなっていた。


 そして、誤召喚された龍平を幻霧の森付近でケイリーたちが保護するまでの顛末を、アミアに話した。

 当事者である龍平は、これ以上よけいなことを言わないようにと、黙って聞くだけだった。



「酷い……話です」


 アミアが、ぽつりと呟いた。

 何の落ち度もなく暮らしていた人間を、何の断りもなく、強制的に連れ去り、家族や友人と引き剥がし、なおかつ送り返す手段もない。


 こんな酷い話を、アミアは聞いたことがない。

 もちろん、この世界でも誘拐といった犯罪はある。


 犯罪を犯した者は、相応の罰を受けなければならない。

 賠償金がそれに当たるのだろうが、それで済ませていいものなのだろうか。


 彼の世界において、龍平は消滅した。

 これは彼の世界においては、殺人と同じではないのか。


 龍平には何の落ち度もない。

 何か悪事を働いてもいない。

 アミアは、その理不尽さに心が張り裂けそうになっていた。


 たしかに犯罪行為は、やっていなかった。

 ついでに宿題も、やっていなかったけどな。



 龍平は小さく笑みを浮かべ、そっとその場を離れた。

 龍平の境遇に憤慨し、悲嘆に暮れているアミアには申し訳ないが、あまり深刻にされるとかえって落ち込みそうだった。


 日々の暮らしの中で日本を思い出し、落ち込むことがないとはいわない。

 だが、現状で帰る手段がない以上、その日その日を生き抜かなければならない。


 なにも睡眠時間を削てまで、時空移転魔法を完成させようというのではなく、毎日の暮らしは待ってくれないからだ。

 端的に言えば、腹は減るし、眠くもなる。


 トイレだって、行かないわけにはいかない。

 何より、あまり神経を張りつめすぎていては、心が保たない。


 日々の暮らしをそれなりに楽しみながら、時空移転魔法の研究を継続する。

 龍平はこの世界に対して、そのようなスタンスでいることにしていた。


 だから、事故を起こしたのが誰かは知らないが、当事者以外から同情されるとかえって申し訳ない。

 なんとなく、いたたまれない空気に耐えかね、龍平はその場から離れていた。




 川のほとりに腰を下ろした龍平は、陽光に輝く水面を見つめていた。

 手元にあった石を、軽く投げてみる。


 波紋が広がりながら、下流に向かって流れていく。

 次はその波紋に向かって、石を投げつける。


 波紋の中心に命中すると、なんだかすっきりした気分になった。

 また新しく石を広い、少し上流に投げる。


 そして、石が届かなくなるまでにいくつ投げられるか、いつの間にか夢中になっていた。

 さらに次の波紋を作るため、新しく石を拾うと、今度はずいぶんと平べったい石だった。



「これは……」


 石を掌で弄びながらおもむろに立ち上がった龍平が、鋭いサイドスローでその石を投げる。

 石は沈むことなく水面を連続して跳ね、五回目の着水で勢いを失い川面に消えた。


 次の石を探そうと水面から視線をはずす直前に、別の石が軽快に水面を跳ねていった。

 石が飛来した方向を見ると、デイヴが得意げな顔でこちらを見ている。


「その挑戦、受けましょうっ!」


 龍平が新たな石を投げる。

 今度は角度が悪かったか、二段で水没してしまった。


 デイヴが慣れた手つきで、新しい石を投擲する。

 得意げな顔をしただけのことはあり、六段まで回数を伸ばした。


 そこへ、また新たな石が飛来する。

 今度はケイリー付きの侍女が、参戦してきた。


「サリサさん、お上手なんですね。村ではいつも?」


 龍平が石を探しながら、侍女に話しかける。

 馬車の中ではケイリーの世話を邪魔しないように、ほとんど話していなかった。


 いや、ケイリーとアミアの世界を、他人の会話というノイズで邪魔しないようにだった。

 そのせいで、侍女たちとは挨拶だけで、名前も聞きそびれていた。


「ええ。娯楽の少ない村ですので。ネイピアの誇りにかけて、遅れは取りません」


 サリサは一礼すると、また石を川面になげる。

 今度は力みすぎたか、石は二段で水面に消えた。


 三人で異様な盛り上がりを見せる水切り合戦に、腕に自身のある者たちが次々参入してくる。

 いつの間にか、ケイリーまで石を探している始末だ。


「リューヘー様、石が飛ぶ魔法でしょうか? わたくしにもぜひ、教えてくださいませ」


――リューヘー、私もやるっ! 石が沈まないなんて、風? 土? それとも水? いつの間に四属性使えるようになったのよ?――


 さすがにお嬢様育ちは知らないか、アミアとレフィが投げ方を聞いてきた。

 普通に考えて水に沈むはずの石が水面を跳ねるのだから、魔法だと勘違いしてもおかしくはなかった。


「違います。魔法ではありません。一定の角度で水面に当たると、跳ね返されるんです。ケイリー様がお上手ですので、ぜひ教わってください。レフィは投げられるの?」


 さすがにお嬢様、それも人の婚約者に手取り足取りというわけにはいかない。

 だいたい投げ方を知っているケイリーがいるのだから、アミアはそっち丸投げでいい。


 そして、もうひとりのお嬢様であるレフィに、石の持ち方から始め、肩の動かし方、腰の切り方、手首のスナップと教えていく。

 後ろからレフィを抱え、肩や腰の動きを両手でフォローしてやる。

 中身が女の子でも、身体が龍じゃこれっぽっちもドキドキしねぇよ、よかったね!



 やはりというか、さすがというか、ネイピア勢は、自然の中で育ってきただけのことはある。

 お付きの侍女としてお淑やかにしていたサリサまでが、五段六段は当たり前に切っている。


 意外だったのは、アミア付き侍女のライカだ。

 きれいなフォームから、こちらも五段六段と石を切り跳ばしていた。


「ライカさん、すげぇ~。俺より上手いじゃないですか」


 龍平は素直に賛辞を送った。


「はい。両親が領地持ちの陪臣ですので、小さな頃は領民の皆さんと遊んでおりました。領地と申しましても、とても小さな村ですけど」


 ネイピアほどではないが、自然豊かな小さな村の出身らしい。


――きぃぃぃぃぃっ! なんで跳ねないのよぉぉぉっ! 今度、こそぉぉぉっ!――


 レフィはフォームこそきれいだが、力任せに石をぶん投げすぎだ。

 角度は悪くないのだろうが、石は鈍い音を立てて川面に突き刺さるだけだった。

 龍のお嬢さん、いつの間にオチ担当にしましたっけ?



「よし、解った。レフィ、おまえに手先の器用さが必要な遊びは、向いてない。圧倒的に向いてない。まったくもって向いていない。新しい遊びを教えてやろう」


 レフィが暴れ出す前に回収し、近くの竹林から太めの竹を一本切り出す。

 レフィの足のサイズに合わせた位置で、二〇センチほどの長さに二本切り出した。


「レフィ、爪でこことここに穴開けて」


 レフィが爪で開けた穴に、ロープをほどいて作った細いひもを通す。

 ひもを輪に結んで、ぽっくりをこしらえた。


「よし、レフィ、片手でひとつずつひもを持って、足を竹に乗せて歩いてみ。……さぁ、追いつけるものなら追いついて見ろ、脳筋ぶきっちょの、ト・カ・ゲ・ひ・めぇぇぇぇぇぇっ!」


 龍平はわざと挑発し、叫びながら逃げ出した。

 瞬間湯沸かしトカゲが、激昂して追いかける。


――なんですってぇぇぇっ! まちなさっきゃあっ!――


 コケた。


「やっぱり無理か! どうした! 諦めて普通に走るか! 飛ぶか! どうする! さあ、来てみろっ!」


 さらに挑発を繰り返す龍平。


――くっ! 屈辱っ! 待ちなさぁぁぁいっ! ぎゃんっ! ……。ぜぇぇぇったい、捕まえるぅぅぅっ! 燃やしてやるからあっ! きゃあっ! くっ! 逃がすかぁぁぁっ!――


 律儀にぽっくりを履いたまま、駆けだしてはコケるレフィ。

 チョロインですね、レフィさん。


「ケイリー様、あれ……」


 いつの間にかライカまでがぽっくりを作り、追いかけっこに乱入していた。

 その様を見たアミアが、うらやましそうにケイリーに訴える。


「アミア、君はやめておきなさい。どうしてもというなら、私と練習してからだ」


 ケイリーは、乱入したくてうずうずしている自分のサリサに、待ったをかけた。

 そして、ぽっくりを三つ作らせる。


「よし、行け!」


 サリサのおしりに、ぶんぶんと振られる尻尾を見たような気がしたケイリーが、ぽっくりを受け取って許可を出す。

 警戒に当たるデイヴたちが遠巻きにする中、ふたりだけの甘い世界ができあがっていた。


 秋を感じさせる陽の下、穏やかな日常が流れていた。


 サリサは気を遣った、ことにしておこう。

 決して逃げたわけじゃないと、ここに明記しておく。

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