表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

332/364

異世界メモリアル【12周目 第2話】


「ロトさん」

「ロト!」

「こっちが先だ」

「邪魔だっ!」


な、なんだ……?

もう2学期が終わろうとしている1年の12月。

ここまで誰もヒロインと出会わず、ただ単にキツイバイトや大変な勉強や筋トレなどを繰り返すだけの日々を過ごしていた。

ようやく実羽さんと星乃さんが登場したと思ったら、なぜか二人が闘っている。

昼休みの廊下で、一体何をしているんだ。


「先に出会うのはわたしだっ」

「そうはいかないぞ!」

「そっちが勝手に言いだしたルールだろ」

「合意したはずだぞっ!」


よくわからないことを言いながら、殴り合っている。


「まだロトは全然ブサイクだぞ!」

「十分かっこいいですー! わたしは別に、ブサイクなロトさんもそれはそれで好きだしっ」

「そ、それを言っちゃおしまいだろっ!」

「だいたい、わたしはいつも最初から出会ってるんだってのっ」

「だからそれがフェアじゃないって話だったろ!」


なにやら協定を結んでいたということらしい。

二人とも出て来ないの変だと思ったんだよ。


「頑張ってる姿が見れればいいって言ってたじゃん!」

「見てるだけで終わっちゃうっての」


俺のために争わないで!

っていうか、二人とも最初から出会ってくれてれば良くないですか?


「頑張ってるところを見たいだけで、頑張ってからじゃないと会わないの変だって」

「そ、そんなこと言って! ……はい、媚びたー! ロトに媚びてるー!」

「は? 媚びてないし」

「媚び媚び映子~、まともにやったら勝てないから、媚びて攻略されようとしてる~!」

「てめ」

「やるか!」


なにこれ……。

なにやってんのこの人たち……。


「ちょっと二人とも」

「ロトは黙ってて!」「ロトさんはすっこんでてください」


ええ……。

俺をほったらかして殴りあう二人。普通、男女逆じゃね?

まあ、いいや……。

これが出会いのイベントなら、二人とも今後はデートに誘えるだろう。

どういう約束だったのかは知らないが、今のステータスがこれ。


【ステータス】


―――――――――――――――――――――――――――――

文系学力 155

理系学力 102 

運動能力 184

容姿   211

芸術   85

料理   59

―――――――――――――――――――――――――――――


アイテムは単純に数値が上がるものではなく、倍速で向上するとか、別のことをしていても上がるものを買っている。

舞衣がひたすら容姿を上げろというので、優先してきたが、ひょっとすると容姿が200を超えたことで二人が現れた可能性はあるな。全然ブサイクだとか、十分かっこいいとか言ってたから。やはり妹には従うべきだ。


「さて……」


放課後になった。

デートに誘うのはどっちでもいいが、とりあえずボランティアの部室でも行くか……。


「実羽さーん」


不在だ……。

じゃ、生徒会室行くか。


「星乃さーん」

「会長は不在だよ」


副会長にあしらわれた。

出会ってないときと同じ対応だよ。

せっかくだし、デートしたいのだが……。


「このっ」

「やるな!」

「ええ……」


昼休みに通った廊下に来たら、実羽さんと星乃さんがまだバトルしていた。

まさかずっと……?

星乃さんは格闘技もできる完璧超人だったはずだが、実羽さんはその星乃さん相手にずっと闘ってるワケ?


「はあっ」


え?

両足で蹴りを見舞いながら、片手で体を支えている。

今のカポエラキック?

ロマサガ2でしか知らないけど。

実羽さんはカポエイラが使えるの?


「そい、はーっ!」


鉄山靠(てつざんこう)だよ。

星乃さんは八極拳の使い手だったよ。俺もバーチャではよく使ったよ。

このレベルのバトルをずっとやってんの?

二人とも真姫ちゃんより強くない?


「ふんっ!」

「爆魔龍神脚?」

「はああ!」

「ソニックブーム? え? ソニックブーム出るの?」

「バーンナッコー!」

「バーンナックルって言っちゃったよ」

「でやあああ」

「1対1の戦いでマイク・ハガーのダブルラリアットする?」

「波動拳」

「波動拳かよ」

「ヨガフレイム」

「ヨガフレイムも出ちゃうのかよ」

「こうなれば」

「ブシドーブレードみたいな刀出してきたよ」

「こうなったら!」

「サイバーボッツみたいにロボットに乗っちゃったよ」


もうむちゃくちゃだ。

結構だいぶ前からむちゃくちゃだよ。


「やめなよー」

「ロトさんは」

「すっこんでて!」


なんでよ。

どう考えても、学校の廊下でヨガフレイムしてる方がヤバいって。

なんでボランティア部の部長と生徒会長みたいな、模範的な生徒が廊下でキングオブファイターズもびっくりの乱闘してんのよ。

んー。

いや、これきっと、この闘いを終わらせられるのはむしろ俺だけ説だな。


「今週、デート行きたい人、この指とーまれ~!」

『はい!』

「ぎゃー!」


指がもげるわ!

格ゲーのパワーのままで、人差し指をふたりで奪い合ったら指がもげるわい!


「なんだかんだ俺とデートしたいんじゃん、二人とも」

『そんなことは!』

「めんどくせーなぁ!?」


なんかハードモードを要求したことを意識しすぎてるでしょ?

苦労してステータス上げてないうちに、こっちから妥協したら負けみたいな?


「じゃあ、実羽さん。今週俺とデートしてください」

「っしゃああああ!」


ほら、ガッツポーズがすごいもん。


「あああああ!」


星乃さんは絶望してるし。だったら、もっと早く現れてよ!


「星乃さんは、クリスマスにデートお願いします」

「きたあーッ!」

「ぬぬぬ」


はー。めんどくさ。

とはいえ、二人とも俺とデートしたがってくれて安心だ。

今まで出て来ないの、心配だったんだよな……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] こいつら転生とかループ特典でチートバトル能力獲得してねえか……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ