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私と愛猫(かのじょ)。  作者: しっちぃ


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10日目(8)―重ねる想い

「ねえ、すっごくドキドキしちゃったね……っ」

「うん……」


 食べ終わった後、顔中真っ赤になった私たち。まるで、食べてた肉まんの熱が、そのまま伝わったみたいに。

 でも、その熱は、お互いのことを濃いする気持ちのせい。見つめ合った視線が重なって、くすぐったいような甘いような。


「なんか、意識しちゃうよね、食べられてるとこ」

「そう、だね……」


 間接キスなんて概念を、ミーナは知ってるか分からないし、知ってたとしても、キスなんて今日だけでもいっぱいしたのに。

 それでも、一緒にドキドキしちゃうのは、お互いのことが、それくらい好きだから。……なんて考えるのは、私が自惚れてるだけかな。それとも、本当に、ミーナもそう思ってくれてるのかな。

 抱き寄せたお互いの体は、隠しようがないくらい真っ赤で、……気持ちを確かめる方法なんて、私とミーナの間では目線の重なった一瞬で伝わる。

 

「いい、の……?」

「ミーナがしたいなら、いいよ?」


 そう言うと、ミーナの顔が、もっともっと熱を帯びる。我慢しなきゃってわかってるけど、止められないのもわかる。だって、私が今そうだから。


「今、誰も見てないよね……っ」

「大丈夫だよ、きっと」


 その言葉が、二人の心の堰を切る。目を閉じてても、心が、お互いの場所を伝え合って。唇の触れる一瞬の感触が、頭を痺れさせていく。

 

「んっ……、キスするのは、こんなに簡単にできちゃうのに、不思議だねぇ」

「ほんとだねぇ……」


 しばらく、その温もりの中に溶けてたい。抱き合う体は、まだ、離れようとしなくて。

 こうしていたいけど、早くデートだってしたい。揺れ動く心は、ミーナの言葉がないとちゃんと動いてくれない。


「そろそろ、行く?」

「そうしよっか、……映画、楽しみだね、カスミ」

「そうだねっ」 


 抱き合っていた体が、ゆっくり離れて。でも、気持ちは、近づいたまま離れない。

 触れてた熱のせいか、ミーナのコートの濡れたシミはとっくに消えていた。


「それじゃ、一緒に行こ?」

「うんっ」


 繋いだ手が、自然と私のポケットの中に入る。思わず見つめ合った顔に笑みがこぼれる

 さっきまでとは逆に、今度は私がミーナのことを引っ張るように、駅に向かって歩く。


「そういえば、ミーナは電車初めて乗るんだっけ」

「うーん、そうだね……」

 

 一緒に二人でお出かけしたときは、近所にあった店で済ましてたし、学校だって歩いて行けるとこだから、これが初めて。

 私にとっては普通にあるものだけど、ミーナにとっては未知のもの。デートだって、映画だって、私は行ったことはあるけど、ミーナには初めてで。

 私も、一緒にドキドキできたらいいな、ミーナの隣で。

 繋いでいる手が、自然ときつくなっていた。

この子達がいちゃいちゃしすぎて連載が終わらない可能性

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