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私と愛猫(かのじょ)。  作者: しっちぃ


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10日目(1)―まどろみの中

 胸に感じる重みで、目が覚めた。


「ん……、ミーナぁ?……」


 布団を軽く上げて、胸のあたりを見ると、ミーナの髪がかかってる。

 どうやら、抱き合ったまま寝て、仰向けになった私にそのまま覆いかぶさっていたみたいだ。胸を枕にして、ゆっくりと寝息を立てていて。


「んぅ……、かすみ……?」


 寝ぼけた甘い声で、ミーナが私を呼ぶ。髪をかき上げて、起きてるか確かめてみるけど、ミーナの目は閉じたまま。

 寝がえりを打って、さっきとは逆に、私がミーナの上に被さるようにする。両肘をミーナの横につけて、ミーナが重みで起きないように、じっとミーナの寝顔を見つめる。間近で見るミーナの無防備なとこは、たまらなく愛しくてかわいい。


「だいすき、だよ、かすみ……っ」


 夢でも、私のこと想ってくれてるんだ。ちょっと切なくて、その何倍も甘い声は、疑いもなく証明してて。

 可愛い、好き、キスしたい、私で満たしたい。私の中で溢れ出した気持ちが、止まらなくなる。

 額に、ほっぺに、首筋に、唇に、……思いつく限りの場所に、私の唇をつける。

 昨日、キスで起こされた分の仕返し、なんだから。止めなきゃって分かってる頭を、そう言いきかせて黙らせる。

 不意に、ミーナからもお返しのようにほっぺにキスされた。


「おはよ、カスミ……何してるの?」

「き、昨日のお返しなんだから……、全然起きてくれなかったし」

 

 そこから離れようとしたのを、抱き寄せられて封じられる。

 間近に見えるミーナの顔が、不敵な笑みを浮かべる。

 ミーナの抱く腕が、急に強くなって、肘から先で支えないと、ミーナを潰さないか心配になるくらい。

 

「カスミ、すっごくドキドキしてるね」


 抱きしめられてる腕の力が、急に抜けたと思うと、こんな言葉を私に刺してくる。


「仕方ないでしょ?……好きな人と、キスしてたんだから」


 言い訳で精一杯になって、言葉にできるのは隠しようがなくなった本当の気持ちだけ。

 ずるいよ、そんなこと言わせるなんて。でも、……そんなとこも、好きになっちゃってる私がいる。


「本当に、カスミはかわいいなぁ……っ」


 呆れたように、でも優しくいってくれるミーナの声。

 そっちのほうが、かわいい、なんて言葉すら、口に出せない。色々な気持ちが、溢れて止まらなくなりそうだから。

 でも、私とミーナの間なら、そんな気持ちの伝え方なんて、考えなくても分かる。

 交わした口づけは、ミーナの気持ちみたいに、優しくて甘い。


「おはよ、ミーナ」

「うん、……おはよう、カスミ」


 二人でデートするからなのかな。ふんわりと、幸せな空気が、私たちの間に満ちていた。

ようやく10日目です。

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