表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私と愛猫(かのじょ)。  作者: しっちぃ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/100

9日目(14)―重なる視線

「ねえ、今は『恋人』でいていいよね……?」


 抱き合って、お互いの匂いがわかるような距離。何かを求めるような目線で、じれったそうに、ミーナが訊いてくる。


「うん、……もちろん、だよ?」


 ミーナが何をしたいのか、もう体が、わかってるみたいだ。

 ゆっくり、目を閉じて、顔を寄せる。ミーナの肌の香りが、その一瞬ごとに濃くなっていく。


 ……ちゅっ。


 もう、我慢できない。『恋人』らしいこと、一緒にしたい。

 それは、ミーナも一緒だったみたいで。

 交わされる濃厚で濃密なキスに、頭の中、溶けちゃいそうになる。

 お互いの気持ちが重なり合う水音と、漏れる、甘いような切ないような声。


 恋人同士じゃないとできないような深いくちづけに、体が、どんどん熱くなって、唇を離してしまう。

 息が限界なのもあるけど、これ以上キスしてたら、もっともっと先の、戻れないとこまで、行ってしまいそうになるから。


「ミーナぁ……、すっごく、ドキドキしちゃったぁ……」


 胸に顔を埋めて、白旗を揚げる。


「わたしもだよ、カスミ」


 背中を、ぽんぽんと叩く手のひらの感触。なんだか、あやしてもらってるみたいで、でも、その感触が、気持ちよくて。その温もりに、甘えてしまう。


「カスミ、……すっごく、かわいいね」

「そんなことないよ、……ミーナだって、かわいいのに」

「もう、そんな事言わないでってよ、恥ずかしいから……っ」


 そんなとこが、かわいいのに、ミーナは。

 でも、それをからかったら、照れ隠しで何をされるか分からないし、黙っておくことにする。


「そろそろ、勉強しとかなきゃね、……お風呂上がったら、すぐ寝ちゃうでしょ?」

「うぅ……、そうだねぇ……」


 ミーナも十分勉強にはついていけてるみたいだけど、毎日やっておかないと大変なことになる。

 もっといちゃいちゃしてたいし、それはミーナもきっと一緒だけど、それとこれとは別の話。


 ノートを取り出して、背中合わせで机に向かう。

 背中の後ろでがんばってる気配があるから、私も、それに背中を押されて頑張れる。

 不意に、肩をつつかれる。後ろを振り向くと、


「ねえ、カスミ、ここ、わかる?」


 ミーナの隣に立って、かがんで問題を見る。ここなら、得意なとこだから、普通に教えられる。


「あ、これはね、教科書のここにある、この式を使えばいいよ?」


 しばらく数式を書いて、それからカリカリと答えを導き出す。


「できた!……ありがとね、教えてくれて」

「ううん、どういたしまして」


 ミーナが、こっちを見上げてくる。ちょうど、目が合って。

 重なった視線に導かれて、そのままお互いの唇が触れ合った。

いつになったら9日目は終わるんですかね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ