9日目(10)―知りたいもの
8か月もリードをとって始めたはずなのにもう追い抜かれてる……
唇が触れた瞬間、別なことを思い出す。
「ねえ、ミーナ……、私のこと、好き?」
分かってるはずなのに、確かめたくなってしまう。体でわかるのと、言葉で教えてもらうのは、似てるようで、全然違う。
「もー、好きに決まってるでしょ?」
抱き合った体が、いつのまにかより強く重なる。
「どれくらい、好きなの?」
「うーん、そんなの、うまく言えないよぉ……っ」
困った声を出すミーナに、かわいい、って思ってしまう。
「知りたいな、ミーナの気持ち」
そんな言葉で、ミーナがイヤって言えなくなるの、分かってる。
ミーナが、うーん呻って、それから恐る恐る口を開く。
「好きだよ、カスミのこと……、ずっと一緒にいたいし、キスしたいし、甘えてたいし……」
目を逸らしたミーナの顔が、赤くなってるのが見える。私を抱いてた腕が、緩んでいく。
ミーナを抱いてた手を放して、右手でミーナの頭を軽く撫でる。まだ、ミーナがこの姿じゃなかったときみたいに。
「もう……カスミは、どうなのさ」
思わず、体が固まる。私が、ミーナに抱いてる思い。それは、ミーナへの恋心を意識した時と変わらない。キスするときのドキドキも、もっと、深いとこに行ってしまいたいって欲望も。
「好き、……ミーナと、もっと繋がってたいの、キスしたりとか、デートしたりとか、いっぱいドキドキされたい……っ」
堰を切ったように溢れた言葉に、思わず顔が熱くなって俯く。
だって、全部、本当の気持ちで、言えないくらいドロドロとした部分さえ、漏れてしまいそうだったから。
「そういえばさ、……デートって何?」
まだ、言ってなかったっけ。そんなことに、また頭の中が真っ白になりそうになる。
「え、えっとね、……恋人同士が、二人でお出かけすることだよ!?」
思わず、声が裏返る。緩んでたミーナの抱く腕が、私たちの体を引き寄せるくらい強くなる。
「じゃあ、……明日、カスミとデートするんだね」
「……うん、嫌、だった?」
「ううん、すっごく、嬉しいよ?」
もう一回、目線が重なる。心はもう、ミーナの温もりも気持ちも求めてる。
近づいたミーナの顔に、目を閉じる。まつ毛が触れ合って、肌から甘い匂いがただよう距離。
……ちゅうっ
言葉で確かめ合った気持ちを伝え合うみたいに、味わうような深い口づけに、体をミーナに溶かされてく。
体が、あっという間に熱くなる。ミーナの熱い気持ちが、私の中に溢れてく。
ゆっくりと、溶け合う気持ち。ミーナのことしか、もう考えられない。
唇が離れるときには、ミーナも私も息が上がっていた。
「んっ……、好き……っ」
言えたのは、たったそれだけの言葉。でも、もうミーナと私の間には、それだけで十分のような気がする。
「カスミ、好き……っ」
抱き合った体は、抱き疲れて一緒にベッドに倒れこむまで離れなかった。
85000字突破です。これガチで10万文字いけるかもしれない。
通算50000アクセス、もうすぐだったりします。今までありがとうございます。これからもこの書き物をよろしくお願いします。




