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私と愛猫(かのじょ)。  作者: しっちぃ


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9日目(1)―伝わる心

ようやく9日目です。

ここまで長かった。

 ちゅっちゅっと、柔らかいものが唇に触れる感触。その温もりに、私は起こされた。

 そんなことしてくるのは、ミーナしかいない。寝ぼけた声で、名前を呼んでみる。


「ん、……ミーナ?」

「カスミ、もう起きた?おはよう……」


 差し込む光に白い肌が照らされて、惚れ直しそうなくらい綺麗なミーナの顔。間近に見えるそれが、今はちょっとだけ赤い。

 私も、寝てるミーナにキスしたことあったなぁ。なんて、遠い昔を思い出すみたいに記憶を辿る。まだ恋心が苦しいだけだったときのことも、今思えば必要だったのかもしれない。今、こうやってミーナと幸せでいられるために。


「もー、私だって気が付くよ、ミーナにキスされたら」

「へへ、そっか……」


 二人の間に、甘い雰囲気が流れてる気がする。

 ここだけ時間が止まってたみたいに、寝る前と変わらない抱き合った格好は、ほんのちょっと顔を近づけただけですぐ唇を重ねられる。

 起きがけのまだ覚めきってない頭に、『好き』って気持ちが溢れて、……そのちょっとの距離が、あっという間になくなった。


「また、キスしちゃったねぇ……」

「うぅ……、ごめんね?」


 私が寝てるときに、勝手にキスしたこと、言ってるのかな。

「いいって。私、ミーナとキスするの、大好きだし……っ」

 言ってる途中で、とんでもなく恥ずかしくなって、尻すぼみになる。

 顔が熱くなって、ミーナの胸元に顔を埋める。


「もー、カスミってば、……かわいいっ」


 私を抱いてた両手で、ほっぺを包みこむ感触。熱くなったほっぺが、もっともっと熱くなる。


「ねえ、こっち向いて?」

「うぅ……恥ずかしいってぇ……っ」

「駄目?」


 ミーナのほうを見たら、何をされるのかなんて分かってる。その後言われる言葉も、甘い声も、簡単に想像できて、……でも、体が、それを求めて疼く。

 体の力を抜いて、ミーナに体を預ける。ゆっくりとミーナの顔が下りてきて、そこには、緩みきったミーナの甘い顔。


「ふふっ、……顔真っ赤」

「い、言わないでってぇ……」

「……でも、そんなカスミも、好きだよ」


 真剣な言葉に、はっと目を見張る。でも、次の瞬間には、ミーナの顔は、キスするときの無防備なものになっていて。

 慌てて目を閉じるのと、ミーナの唇が唇の触れるのとが同時だった。

 一瞬だけの、重ねるだけのそれに、何故だか胸がキュンと鳴る。これ以上のことも、いっぱいしたっていうのに。


「大好きなんでしょ?こういうこと、……私も、大好きだよ?」


 自然と重なるもう一回に、心を溶かされる。

 まだ朝だっていうのに、もう数えきれないくらいキスしてる。それはきっと、唇を重ねるのが、私たちにとって一番身近な『好き』って気持ちの伝え方で、その気持ちが、どんどん大きくなっていってるってことなのかな。


「もうそろそろ起きなきゃね。……今日で、今週は学校終わりだし」

「うん、そうだね」


 もうそろそろ起きなきゃ。もっと、ミーナに甘えてたいって気持ちをぐっとこらえる。

 布団から出ても、ミーナの手の温もりが私を優しく温めてくれる。

 私のことを、どれだけ大事に思ってくれてるか伝えてくれる、優しい温もりに溶かされながらリビングに降りた。

朝からいちゃいちゃするとかレベル高い

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