表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私と愛猫(かのじょ)。  作者: しっちぃ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/100

8日目(14)―熱い体

「そろそろ、シャワー浴びよっか」


 そう言うミーナの声に、何もできない。のぼせたみたいに、頭がぼうっとして、体が上手く動かないから。


「もう、どうしたの?」

「ごめんね?ちょっとのぼせちゃったみたい」


 あんな熱く溶けるようなキスをして、なんでミーナは普通でいられるのかわからない。


「わたしも、熱いよ……、すっごく、いっぱいキスしたもんね」


 抱き起してくれるミーナの優しさに甘えて、体を預ける。

 湯船から出ても、感じるミーナの素肌に、熱いくらい温められる。

 好きだよ、ミーナ。そんな気持ちを、唇で伝えてしまいそうになるのをぐっとこらえる。


「今日は、背中流しっこするだけにしよっか」


 せっかく『恋人同士』でお風呂に入って、スキンシップをとらないのも寂しいし、かといって昨日みたいに体中洗いっこなんてしてたら、また長風呂しちゃう。


「そうだねぇ……」


 背中側にミーナがいるのには、まだ慣れない。

 一緒に寝るときも、キスするときも、目線が合うし、学校に行くときや授業のときは、横にいるし。

 いつも一緒にいるのに、こういう構図になることは、結構少ない。だから、すぐドキドキが止まんなくなる。


「じゃあ、するね?」


 シャワーを止められて、徐々に冷えてく体を、ミーナの指先は簡単に温めてくれる。

 好きな人にいっぱい触られて、気持ちが昂ってしまうのを、もう止められない。

 優しいけど、遠慮のない指の触れる感覚に、心ごとかき乱されるような気分になる。

 泡を流されるまでの時間が、永遠にも、一瞬にも思えた。


「終わったよ、カスミ」

「ありがと……じゃあするよ?」

「うん、お願いね」


 今度は、ミーナが私に、無防備な背中を晒してくれる。

 ミーナの肌のにおいを、いつもより濃く感じる。私しか知らない、甘い恋の香りに、気が付いたらぼうっとしてしまう。


「どうしたの?カスミ……」

「うわ、ご、ごめんね?」


 ボディーソ-プを手に付けて、ミーナの背中を撫でるように洗う。

 相変わらず、ミーナの肌は、白くて綺麗だ。日に焼けない部分は、透き通ってしまいそうなくらい。

 何かをこらえようとして、漏れるミーナの声。私がそうだったみたいに、ミーナも、ドキドキしちゃうのかな。

 だとしたら、すっごく、嬉しい。私とミーナが、同じ気持ちを持ってるとこが、また増えるから。


「じゃあ、流すからね?」


 そう言って、シャワーを流すのが、ちょっと寂しかった。だって、もうちょっとだけ、すべすべなミーナの肌に触れてたかったから。


「もう、終わったよ?」

「へへ……っ、ありがとね、カスミ」

「ううん?こっちこそ、ありがとね」


 そんな風に言葉を交わして、あとは自分で体を洗う。

 ミーナが自分の体をそうやって洗ってるのを見て、色っぽい、なんて感じてしまう。

 そんな姿に、目が離せなくなる。それをミーナに気づかれる前に、慌てて目を逸らす。

 ミーナのことをわざと見ないようにして、なんとか体を洗い終わった。


「じゃあ、出よ?」


 ミーナのほうが先に終わってたらしく、私がシャワーを止めたのを見て、手を握ってくる。

 お風呂から出るのを急かすわけなんて、一つしか考えられない。

 その一つの理由が、ミーナと一緒ならいいな。

 そんな物思いは、脱衣所の冷えた空気なんてわからなくなるくらい体を熱くした。

珍しくキスしてないね

どうしたんだろう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ