7日目(10)―『好き』の誓い
レビューや感想、多くのブクマや評価をいただき一時はデイリーカテラン39位、1日1000PV寸前まで行かせていただきました。本当にありがとうございます。
「うぅー……、なんか、すっごい緊張する……っ」
「そうだねぇ、カスミ」
いよいよ体を洗う段になって、高鳴った鼓動が、いっそう早くなる。
洗いっこするってことは、ミーナにいっぱい触れるわけで、それは、ミーナに触られるのと同じことで。
ミーナも、ドキドキしちゃうのかな。そうだったら、嬉しいな。
それは、だって、同じ想いを持ってるってことだから。
ミーナが私に抱いてる『好き』は、私がミーナに抱いてる『好き』と同じだということは、ミーナが教えてくれる、言葉でも、肌でも、唇でも。
でも、そのことに気づかされるたび、キュンと胸が鳴る。ミーナと私の心を繋ぐ赤い糸が、ちゃんと繋がってるってわかるから、なのかな。
「ねぇ、……ドキドキが収まるおまじない、してあげよっか?」
「うん、お願い……っ」
一緒にいるだけでドキドキしちゃうのに、洗いっこなんてしたら、心臓が壊れちゃいそう。
「じゃあ、こっち見て?」
赤くなってるだろう顔を隠そうとして俯いてたのに、ミーナと目線を合わせられる。
顔が近くなって、何度も重ねたキスの感覚を思い出して。
とっさに目を閉じると、ミーナの唇が、私のそれと触れる。
ちゅっ、という音が、浴室に響いて、心臓が止まるかと思った。――ドキドキしすぎて。
「んもうっ、……心臓が止まりそうになったじゃないっ!」
「ね、ドキドキが止まる、でしょ?」
「そういう意味じゃないから!というか心臓止まったら死んじゃうよ!」
慌てて、大きな声を出してしまう。
「ごめんってぇ……だって、好きだもん、カスミのこと」
そんな言葉で、何も言えなくなっちゃう。『好き』という気持ちを伝えられると、胸を甘いもので満たされるから。
「いいよ、……私も、ミーナのこと好きだし、キスだってしたいもん」
「へへへぇ……っ」
見つめ合って、笑顔になる。蕩けたような顔は、他の誰よりも、かわいいって思う。
「ずっと、一緒にいようね」
「……うんっ」
唇が、触れた。
誓いのキスなんて、結婚式でもしてるみたい。私とミーナは結婚できる歳だけど、まだ高校生だし、そもそも女の子同士では結婚できないのに。
でも、……胸の中は、幸せに満たされる。
好きな人の、好きな人でいられる幸せ。
好きな人と、キスできる幸せ。
好きな人と、一緒の時間を過ごせる幸せ。
そんな気持ちに、体が溶けてしまいそうになる。
自然と抱き合った体の肌と肌で、言葉にならないくらいの『好き』を伝え合う。
「もー……体、洗うんじゃなかったの?」
照れ隠しに言うと、ミーナの体が離れる。
「そうだったね、……じゃあ、そのまま待ってて?」
ちょっと冷えてきた体に、ミーナの温もりは、ちょうどかったのに。
ボディーソープを手に付けたミーナが、それを泡立てながら言う。
「じゃあ、いくからね?」
きっとドキドキに溺れてく時間が、始められる。
お風呂回、まだまだ長引きそうですね。




