6日目(1)―犯した罪
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また、夢を見た。ミーナが、もういなくなっている夢。
『ごめんね、もうカスミとはいられない。大好き、だったよ』
そんなメモを1枚だけ遺して、どこかに行ってしまった。
ごめんね、私が悪かったのは分かってる。
――だから、戻ってきてよ。もう会えないなんて、嫌だよ。
思い当たる場所を探して、……ついにその姿を見ることはなかった。あの日、突然いなくなってしまった時みたいに。
目を覚ますと、隣ですやすやと眠ってる。起こさないようにそっと髪を撫でると、確かに指の間に髪の感触を感じる。
……最初、似たような夢を見たときは、そのことで、すごくほっとしたのに。
今は、全然そう思えない。むしろ、いっそいなくなっていたら。そんなこと考えてしまうなんて、自棄になってるのかもしれない。
犯してしまった罪の重さに、体が押しつぶされていく。心臓が、抉られそうなほどに。
いつも私のこと抱いて寝てたミーナが、今日はそうじゃないっていうことが、頭の奥がぐるぐると回る。
やっぱり、嫌いになっちゃうよね、私のこと。
だって、一番大事に思ってくれてたはずなのに。
それなのに私は、ミーナの気持ち、傷つけてしまったんだから。
「ん……?あ、おはよう、カスミ」
いつも通りのはずなのに、目線が合わない。こんなにも、近くにいるのに。
「おはよう、ミーナ」
その声も、いつもより沈んでるって気づいてしまう。
「ね、早くご飯食べよ?」
「う、……うん」
急かされてるのは、二人きりでいたくないということなのだろうか。
それは仕方のないことなのかもしれない。そんなことをされても当然なことを、私は、ミーナにしてしまったのだから。
分かってるのに、胸の奥が痛む。ミーナに拒絶されるのが、何よりも怖いから。
あんなにひどいことをしてしまって、ミーナに嫌われても何も言えるはずがないのに。
制服に着替えるときも、学校に行くときも。ミーナは私のほうを向かないし、手をつないだり、触れ合ったりもしない。
そうなっても当然だ。分かってるはずなのに、無性に寂しくなる。
当然の報いなのだから、話しかけることもできない。
そばにいるはずなのに、私とミーナの間には、透明な、でも絶対に越えられない壁があるみたいだ。
その壁を作ってしまったのは、他でもない私のせい。
してしまった事は、私の心も、ボロボロにしてしまう。
いっそ、この場から消えてしまえたらいいのに。
ミーナが、最初から人間だったと扱われてるみたいに、私という存在が、最初からいなかったことになればいいのに。そんな馬鹿なことを考えている私がいる。
こんなに傷つくことだって分かってたんだから、最初から、あんなことしなければよかった。
そんな今更すぎる後悔が、頭の中をグルグルと巡っていた。
ようやく6日目ですね。
何やらもどかしいことになってますが……




