番外編 七夕と願事
これは、とある男と神様の何気無い会話である。
「ねぇ、律」
「何だ?」
「【七夕】って何?」
「七夕ってあれだろ、織姫と彦星が再会する日の事だろ?」
「何それ?」
いかんいかん、話を振ってきたのは人間のことに疎い神様だった。つい、いつもの調子で言ってしまった。
「コホン。七夕っていうのは、機織りが得意な神様の娘である織姫と働き者の牛飼いの彦星が、1年に1回だけ天の川を挟んで会う日のことなんだ」
「へぇ〜、そうなんだ。でも、どうして1年に1回しか会えないの? その【天の川】って場所に来れば会えるんじゃないのかな?」
色々とぶち壊しなことを言うなぁ、この神様。
「まぁ、七夕の由来は諸説あるから何とも言えないんだが、一説では神様の引き合わせで織姫と彦星は結婚をしたんだが、結婚したら2人とも仕事をせずに遊んでばかりいて、それに怒った神様は2人を天の川を両端に引き離したんだ」
「へぇ〜、神様が【怒り】って感情に任せて2人を引き離したんだね。感情が分からない僕には、その神様がどうしてそんな愚かなことをしたのか理解出来ないよ」
そっちかよ! まぁ、感情がよく分からない神様にとっては、彦星と織姫を引き離した神様は新鮮に映るんだろうな。
「……でもまぁ、自業自得とはいえ、引き離されて悲しんでいる2人を哀れに思った神様は、1年に1回だけ会うことを許したんだ」
「へぇ〜、そうなんだね。その神様が行ったことに関してはますます理解不能だけど、とりあえずその2人が会う日が七夕だってことは理解出来たよ」
それは良かった。
「それで、どうして七夕について聞いてきたんだ?」
「さっき読んだ本で『七夕は人間がお願い事をする日』って書いてあったから、『七夕って何だろう?』って思って」
つまり、好奇心から聞いてきたわけか。
『相変わらず勉強熱心な神様だな』とは思うが、クロノスが七夕について俺に聞いてきたきっかけになった本の方が気になる。
「でも、律の話を聞いた限り、2人が再会することと人間達が【お願い事】ってものをすることが結びつかないね」
「あぁ、それなら確か、機織りが上手かった織姫にあやかって、お願い事をするようになったって聞いたことがあるぞ」
「へぇ〜、神様の娘にねぇ……本当、人間の考えることって分からないや」
最後まで読んでいただきありがとうございます!
今日は七夕ということで書いてみました!
皆様は、お願い事をしましたか?




