番外編 返礼と意味
これは、とある男と神様の何気ない会話である。
「ねぇ、律」
「ん? 何だ?」
「【ホワイトデー】って何?」
「お前、俺が前にバレンタインのことを話したから、その話題が出てきたんだろ?」
「そういうことだね」
「はぁ……ホワイトデーっていうのは、バレンタインデーに貰った物のお返しをする日のことなんだよ」
「へぇー、人間って態々そんな日を作るんだね」
「まぁ、そうだな」
「ということは、バレンタインデーの翌日が、ホワイトデーってこと?」
「いや、バレンタインデーの1ヶ月後がホワイトデーだ」
「えっ、どうしてそんなに日を開けるの? 律儀な人間のことだから、貰ったら直ぐに返すと思ったんだけど」
「律儀だからこそ、貰った物に見合う物を返すとしたら、それだけ時間がかかるんだ」
「ふ〜ん。ちなみに、律はお返ししたことあるの?」
「まっ、まぁな。当時付き合ってた彼女から、バレンタインデーにハートの手作りチョコレートを貰ったから、ホワイトデーにそれに見合った物で返した」
「何をお返しに当時の彼女に渡したの?」
「確か、彼女が前から欲しいって言ってたブランドのハンカチだったはずだぞ」
「そうなんだ〜」
「おい、クロノス。ライフウオッチで何を調べてるんだよ?」
「いや、律からホワイトデーについて聞いてたら、前にテレビで『ホワイトデーのお返しには意味がある』っていうのを思い出したから、律が当時の彼女にお返しした物の意味を調べてるんだ」
「……一応聞くが、ホワイトデーにハンカチを贈ることは、どんな意味があったんだ?」
「『別れ』だってさ」
「…………そっか、ありがとう」
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