表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/114

7-5:バージョンアップ

 手にしたパンツをいそいそと鞄へ仕舞い込み、残る99回と思いきや101回目のガチャ回し。新たに手に入れたこの力で100連ガチャを実装しており、これまでの限界である100回をオーバーすることも可能となっているからこそできることだ。

「念願の、100連ガチャを回すぞ」

 今まで地味に面倒だったんだよな、と感慨深く頷くと意識を集中して記念すべき第一回となる100連ガチャを実行する。次々と現れるガチャ玉を受け止め……受け止め切れず、玉同士がぶつかり跳ね飛ばされた球体が転がっていく。

「タンマ! ちょっとタンマ!」

 だが無情にも100連ガチャは止まらない。丘を転がって行くガチャ玉を見た時は思わず「ライム!」と叫んでしまった。もっとも、その甲斐あって全て回収できたのだから油断というのは恐ろしい。今度からは10連にしておこうと心に誓う。では肝心の中身の発表と行こう。


 銅:汎用カード×4  パンツと食料品に雑貨。

 銀:汎用カード×22 ポーション×2

 金:汎用カード×9


 白金以上なしという渋い結果に終わった。ちなみにこの「汎用カード」というのはスキルを編集した際に、攻撃用のカードの種類の偏りと、各種カードの所持限界数を突破しようと足掻いたための処置である。この汎用カードというのは交換可能だったカードを一纏めにしたものだ。交換不可のカード以外は全てこの「汎用カード」になり、好きな効果をこれ一枚で使用可能。当然複数枚の同時使用もOKだ。

 これにより「あのカードが足りない」や「使わないカードが貯まっていく」という状況を改善。無駄なくリソースを消費できるようになった。呼称に関しては「シルバーカード」という風にレアリティで区分することにしよう。カードホルダーの中身を綺麗に整頓するためにも、既存のカードはサクサク使っていこう。

「カードホルダーにもちゃんと入る。問題はないな」

 カード周りを少々弄っているので入らなかったから困ったことになったが、そういうことはないようで一安心。そしてもう一つの変化がこれ。

「塩ラーメンに焼き鳥缶。おにぎりは……牛の時雨煮ね」

 そう、中身がわかるようになっており、缶詰も追加されている。今回は出ていなかったが、栄養バランスも考えてサラダパックなども出てくるようになっているはずだ。これにより食生活も充実し、より快適に過ごせるようになる。問題は缶切りがないことだが、すぐに食べるわけでもなし、出てくるのを気長に待とう。最悪はライムに頼めばなんとかしてくれるだろう。

「一応衣類も出るようにしておいたはずなんだが……こちらはまだ出ていないか」

 俺が使用する分もそうだがライム用に色々と欲しい。以前は変身能力があったのでどんなサイズの服でも問題はなかったが、固定された今となっては着れない物は捨てて新しく色々と用意してやりたい。王城でメイド達に用意させた分では到底足りないのだ。

 ともあれ、今あるものでライムをメイクアップしてみよう。まずはライムを呼び寄せ下着姿になってもらう。現在所持しているブラジャーのサイズでは豊かな胸が収まりきらず、ぴっちりというよりみっちりという具合になってしまっている。

 まずはその上にメイド服を着せてみよう。若干アンバランスながらも魅惑的な体を包み込んだモノクロのメイド服が上品に仕上げている。眼鏡があって良さそうだが、髪型を弄ることができない我が身が恨めしい。ポニーテールくらいならできるのでやってみたが――悪くない。やはりメイド服を入手したのは正解だった。

 次はドレスだが、これがまた色々ある。ブラの紐が見えてしまうタイプのものは後回しにして試着してもらう。スタイルが抜群に良いだけあってどれも映える。急遽サイズを仕立て直したとは思えぬ出来映えに思えるのは、俺に見る目がないせいもあるだろうが、メイド達の腕が良かったというのもあるだろう。

 問題があるとすれば色である。ライムの肌は白い。なのでドレスまで白くするのは好みではない。ライムの白い肌をよりよく魅せるのではあれば、少し派手めな色でも良いのではなかろうか?

 そこでこちらの赤い肩出しのドレス。サイズの調整でどうにかその大きな乳房を収めることができるようになった露出度が高めの服――こちらを中心にコーディネイトをしてみよう。まずはこれを着てもらったが、谷間に吸い込まれるかと思った。ギリギリとまではいかないが、あまり胸部に余裕のない布地面積がまたそそる。ブラも外しているので何かあったらすぐに見えてしまう危うさがまた何とも言えない。

 メインは決まった。下着は黒に統一し、ガーターベルトにストッキングも着用。サイズ調整のために作られた大きなスリットが大変良い仕事している。ただこれだけでは寂しいので羽織る物を用意した。

「コートはダメ。マントも今ひとつ。ならスカーフ……んー、長さがもっと欲しい」

 俺にされるがままにされているライムはニコニコと上機嫌。俺が「自分の為に何かしてくれている」ということが嬉しいようだ。結局はフード付きの薄手の黒いローブに落ち着いたのだが、機会があればもっと良い物がないか探してもよいだろう。これはこれで良いのだが、ウィッチハットを被せるとゲームに出てくるエロい魔法使いみたいになってしまう。

「まあ、こんなものか」と腰に手を当て深いスリットの入った赤いドレスに、黒のマントを羽織ったライムの完成である。

「ありがとうございます、お父様」

 ライムもご機嫌なのは良いのだが、衣装が好みだからという理由ではないので少々複雑な気分だ。さて、そろそろ本題に入るとしよう。俺は鞄から三叉の槍を取り出す。そう、神器の槍だ。それを徐に変換し、神器に割り当てられている「領域」をそっくり頂く。全体を見れば僅かなものだが、それでも「領域」であることには違いはない。

 するとやはり現れるイデアの目。俺が厄災となったことで「領域」の変動に過敏に反応するようになったようだ。予想はしていたが、見られて楽しむ趣味はない。

「ライム。帰ってもらえ」

 俺がそういうと空間の亀裂からこちらを除く大量の目玉がぶちぶちと潰れ、ゆっくりと裂け目が閉じていく。あれの一部を手に入れたからわかるのだが、あの目玉は恐ろしく厄介だ。何せ物理攻撃や魔法攻撃が一切効かない。

 わかりやすく言うとこんな感じだ。


 イデアの目

 所持スキル

 物理無効 魔法無効 状態異常無効 時間停止無効 空間転移 空間干渉 解析 侵食 物質汚染 精神汚染 時間操作 物質操作 精神操作


 基本的に目の役目は監視と情報の送信だ。それでもこれだけのスペックが詰め込まれていることに、相手の嫌になるくらいの強大さが見て取れる。攻撃が通じない何処にでも転移してくる覗き魔――それだけなら良かったのだが、そこに「侵食」という攻撃手段。状況次第ではイデアに取り込もうとしてくるのだから無視もできない。

 ちなみにライムはこの目玉に対し、魔力で過剰な圧力を加え無効化能力を限界以上に作用させ、身動きを封じた上で「領域」への干渉による圧殺という手段で潰してしる。これを平然と行っているが、俺にはできない芸当だ。

 俺の場合「圧縮」の効果を再現し、空間干渉能力を使わせて固定し、その状態で「領域」を使用して相殺することになるか、願いのオーブで一掃するかの二択が限界。前回のように取り込むことは恐らく難しく、倒すか排除となればこちらの「領域」を削る覚悟もしなくてはならない。厄災と言っても新米なのだから仕方がない。しばらくはライムに頼りっきりになるが、それを望んでくれているのが有り難い。

「さて、次は新たに獲得した『領域』を何に使うかだが……」

 実は何も考えていなかった。あればあるだけ良いものではあるが、いざ使い道となると悩む。「あれもしたいこれもしたい」というのもあるが、いざ必要になった時に足りないというのも怖い。よって保留。溜め込むというのも一つの選択肢だ。

「今回は見送ろう。それよりもっと多くの領域を獲得するのが先決だ」

 俺の言葉にライムは頷き同意を示す。

「だから始めようか、神器集め」

 どれだけ派手に動いても、ライムがいる以上イデアは俺を止められない。他の厄災と同じように扱えば、必ずいつかは支配する「領域」が逆転する。こういったイレギュラーな事態を対処するための「魔王」なのだが、そのシステムが俺の味方をしているのだ。

(ならばどうする? 魔王を更新するか? そのための勇者はちょっと前に死んじゃったけどな! あー、勇者怖いわ―。魔王を倒せる勇者マジで怖いわー)

 次の勇者を作るのに一体どれだけ時間がかかるかは知らないが、その時にはもう手遅れになっている可能性もある。そもそも新しい勇者が生まれたとしても、それは魔王を倒すためのものであって、厄災である俺を倒せるかどうかは別の話。ましてや「二人がかりで」ともなれば勝率など絶望的だろう。

 もしもそれに対処するために多くの「領域」を使用した場合、それを奪われることも考慮に入れなくてはならない。何せ俺は「イデアの目」を支配して「領域」を得た。当然使役することも不可能ではなく、その能力を用いれば相手次第では封殺だってできるだろう。

 現状、イデアはシステムの改変を行わない限り詰んでしまっている。そしてシステムの改変が行われたのは「勇者」と「魔王」を生み出した一例のみ。間違いなく俺という存在は同等以上の脅威となるはずだ。であるのにもかかわらず、未だ何の音沙汰もなし。

(俺から見れば余裕があるとは思えない。だがイデアは未だ動かない、裏で動いていると見るべきだろうが、その間こちらへの干渉は最低限度のものとなるはずだ。ならば――)

 その時間を大いに活用させてもらうだけである。変化があればライムがすぐに察知してくれる。それまでの間、神器集めに勤しもう。あわよくば、厄災のどちらかから「領域」を奪っておきたい。

「まずは何処から行きますか?」

 考え込んでいた俺の顔を覗き込んだライムが尋ねる。

「ああ、行き先は決まっている。東――シレンディだ」

 あの国、実は二つも神器があったりする。それに場所が場所だけに、この機会を逃すと次に行くのがいつになるかわからない。向かうは東、場所は聖都――まずはそこの神器を回収しよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 人間辞めたのに栄養バランス気にしてるのが面白い
[一言] 【悲報】折角手にいれた100連ガチャ能力が早速死にスキルになった【あるいは喜劇?】
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ