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「なんか、ミクみたいですね。同人誌の」
「うん、そう。ミクちゃん」
そこでちょっと黙った後で、仁奈さんはこう続けた。
「好きな人に対して、他の誰かと仲良くして欲しくないなーとか、ひとり占めしたいなーとか、そんな風に考えるのって、すごく自然なことじゃないかなーって、わたしは思うのね。だから、瑠美ちゃんがそう考えるのも、全然おかしいことじゃないと思うよ」
「そうかもしれないですけど、でも」
「恥ずかしい? 変だなって思う?」
私は何も答えなかった。
頭をなでていた手が、ふっと止まる。
「んー、結局は自分がどうしたいかが一番なんじゃないかなー」
ひとり言のように、でも語気を強めて仁奈さんがぽつりという。
「瑠美ちゃんは、どうしたい?」
どうしたいもこうしたいも──。
どうしたいんだろう?
「……わかんないです」
「そっか。じゃあ、どうして欲しい?」
「え?」
仰向けに寝返った私に、仁奈さんは小首を傾げてもう一度訊いてきた。
でも、今度ははっきり名前を挙げて。
「瑠美ちゃんは、桃花ちゃんにどうして欲しい?」
「どうしてって」
その時、急に玄関が騒がしくなった。




