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地球で虐げられた《最強》闇魔術士は、異世界でエルフ嫁たちに愛される  作者: 銀翼のぞみ
三章

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80話 幸せな旅路

 翌日——。


「ご主人様、ひとつ聞いてもよろしいでしょうか?」


 助手席に乗ったアリーシャが舞夜へ話しかける。

 その膝の上ではベルゼビュートがスヤスヤと眠っている。

 昨日、アリーシャに抱っこされているうちに彼女の太ももと胸枕の感触が気に入ってしまったらしい、今では定位置となってしまった。


「どうしたの、アーシャ?」


「この……車の動力源はなんなのでしょう? 見れば車輪が勝手に動いているようですし、ずっと昨日から気になっていたのです」


「メインは闇魔力だよ。それと各部に他の属性も」


 ガソリンがないこの異界において、車を動かすには魔力が必要だ。

 主な動力源に闇、推進力などの補助に風と雷、各部の冷却に水属性などが使われている。


 全てがアンデッドたち、そして舞夜の魔導士の力によって計算し尽くされた魔力付与によるもの、言うならばこの世界におけるハイブリッド車なのだ。


「そうですか、残念ですね。誰もが使えれば、量産して大儲けできたのですが……」


「ああ、そういうことか」


 馬車での旅は腰を痛めるし、何より魔物に襲われ、馬や当人たちに様々な危険が伴う。


 だが、このデロ◯アンであれば、ドラゴンでも出現しない限り魔物はそのスピードについてこれない。


 貴族や金持ちは喜んで大金をつぎ込むだろう。


 アリーシャの言葉を聞き、舞夜はもっとメンテナンスの簡単なものの開発も考えるのだった。

 全ては彼女たちの将来の貯蓄の為に。


「……ご主人様、ちょっと停めてもらってもいい?」


 リリアが呟く。

 その視線の先には、デロ◯アンの行く手に沿ってどこまでも大河が広がっている。


「あ、ホバール海老ですの!」


 続いてシエラが河を指差し声をあげる。

 見れば、河の表面を青いロブスターのような生き物が何匹も跳ね回っている。


「あれって確か……」


「はいっ。以前、ご主人様がギルドの酒場でお食べになったものです。そういえば、もうすぐ繁殖期でしたね」


 舞夜の言葉にアリーシャが応える。


 ホバール海老——。

 舞夜がこの世界に来て初めてのクエストを達成した日に、ギルドの酒場でアリーシャとともに食べさせっこした激ウマ食材だ。


 そして、繁殖期という言葉だが、ホバール海老は普段海に生息してる。

 しかし、繁殖の時期……春になると産卵の為に河に集まってくるという、まるで鮭みたいな特性を持っているのだ。


「この時期のホバール海老は食べ頃です。ご主人様、捕まえにいきましょう!」


「うん!!」


 あの日以来、再びありつくことを熱望していた舞夜は、元気よく返事をし、食材の確保に乗り出すのだった。





 ビチビチビチッ!!


「あ! 逃げましたの!」


「……生意気。こいつは活け造りにする」


 捕まえ、陸にあげられたホバール海老の1匹が逃れようと飛び出すが、リリアにキャッチされ、死刑宣告を言い渡される。


「ん〜。これだけあると、色々なお料理が作れますね。ご主人様は何がお食べになりたいですか?」


 大量の収穫を前に、アリーシャが口に人差し指をあてながら、献立の要望を尋ねる。


「そうだなー、リリアの言ったとおり、活け造りは食べたいな。ギルドで食べた半身焼きもいいし……そうだ! せっかくこれだけの海老があるんだし、みんなに、新しく地球の料理を教えてあげるよ」


「っ! それは楽しみですっ」


「……ん。ご主人様の教えてくれる料理はどれも絶品」


「シエラも頑張って覚えますの!」


 舞夜の提案に目を輝かせて、やる気を見せるエルフ嫁たち。


『私も手伝うわ、魔導士様』


 ベルゼビュートも舞夜の袖をくいくいと引っ張りながら、手伝いを買って出る。その口元には垂れかかったヨダレが……。

 どうやら、舞夜の頭の中に浮かんだ献立を覗いたらしい。


 《剣聖ノ加護》を使い、超高速でホバール海老を捌いていくアリーシャ。

 その横では残りの皆がスプーンなどで身をくり抜いていく。


 そして、ある程度、海老を捌ききった頃。

 舞夜が小麦粉や米、それに塩、胡椒、醤油、マヨネーズ、唐辛子調味料などを《黒次元ノ黒匣(ブラック・ノワール)》から取り出す。


 ここまで見れば、分かる人は舞夜の作ろうとしている品々に気づくかもしれない。


 そう、今日の献立は——





「ん〜!! ご主人様、本当においしいです。この“海老チリ”!」


 出来上がった料理のひとつ。

 海老チリを口にしたアリーシャがほっぺに手を当てながら言う。

 よほど気にいった様だ。


「……こっちの“海老マヨ”も美味しい」


「“海老チャーハン”も最高ですの!」


『何千年も生きて来たけど、こんなに美味しい物を食べたのは初めてよ、魔導士様!』


 リリアにシエラ、それにベルゼビュートも、海老マヨや海老チャーハン、そのほか、中華風海老天に海老ソバなどの料理に舌鼓をうつ。


 そう、用意していたのは“中華料理”だ。

 プリプリとしっかりしたホバール海老の食感と、海老チリや海老マヨの相性がいいのは言うまでもない。

 海老ソバは、塩胡椒、それに少量の醤油での味付けのみだが、殻を煮込み出汁をとることで芳醇な味わいとなっている。


 ——ホバール海老、最高だな……!


 調理した舞夜本人も出来栄えに大満足。


 快適で安全なデロ◯アン。

 可愛いエルフ嫁に陽気な魔王。

 そして、美味しい料理。


 幸せな旅路を経て、舞夜たちは帝都クラリアルに至るのだった。


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