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地球で虐げられた《最強》闇魔術士は、異世界でエルフ嫁たちに愛される  作者: 銀翼のぞみ
一章

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36話 黒き滅殺の閃き

 ザシュウ——ッ!!


 空を切り裂く音とともに、舞夜の目の前に斬撃が飛来(・・)する。


 対し、舞夜は合金製の防具に蓄積された魔力の補助を受け、新調した黒曜鉄のタワーシールドでそれを受ける。


 激しい衝撃がタワーシールドに走るが、武具を構成する合金の一部、ヴィブラウムがその役割を果たし、衝撃を打ち消す。


「《黒ノ魔槍(ブラック・ジャベリン)》!」


『ゲバ……ッ!』


 防御と同時、舞夜は雷の魔力を上乗せした《融合魔槍》を放つも、敵はそれを見切り(・・・)避けてしまう。


 敵の名は“トロール・ナイト”。

 剣を装備し、飛ぶ斬撃スキル《鎌鼬》を持つ、変異個体だ。


『ゲバチャァァァァッ!!』


 直後。

 別の敵が襲いかかる。


「ほあちゃあぁあ!」に似たイントネーションで叫びながら、突っ込んでくるトロール。

 名は“トロール・ファイター”。

 炎を纏った拳、スキル《フレア・フィスト》を放つことができる。

 トロール・ナイトと同じく変異個体だ。


「させませんの!」


 叫びとともに、トロールファイターめがけ数本の矢が飛んでくる。

 シエラが牽制のために放ったものだ。

 狙いどおり、舞夜への攻撃を阻止することに成功する。


「ご主人様、新手です!」


『『『ゲバァァァァァァァァ——!!』』』


「あぁ、くそっ!」


 アリーシャの警告に舞夜は思わず悪態を吐く。

 見れば後方から、トロールが20体近く流れ込んでくる。


 舞夜たちは苦戦を強いられていた。


 ナイトとファイターが連携で攻め、その2体を守るように、通常のトロールが突進を仕掛けてくる。

 そして、数が減ると今のように増援が来るのだ。

 おまけにこれは、3回目の増援だ。


「ぐぅぅッ……! さすがに重い! 舞夜殿、“ダブルタンク”にして正解だったな!」


「はい!」


 舞夜の隣でサクラが叫ぶ。

 その苦しげな声は当然。

 何しろ彼女は5体ものトロールの猛攻を、ギガントシールドで防いでいるのだから。


 スキル持ちの個体の出現。

 気が遠くなるほどの敵の数。


 舞夜は、サクラだけではタンクが足りないと判断し、自分も最前線でタンクを買って出たのだ。


 そして、その判断は正解だった。

 ここまで皆、無傷で敵の攻撃数を減らすことができている。


 ——でも、このままじゃ……。


 舞夜は気づく。

 敵の数を減らす速度が、増援の数に追いつかなくなってきていることに。


「まずいですぅ! 弓を持ったトロールが出てきたのですぅ!」


 マリエッタが叫ぶ。


 増援の中には、弓を持った個体が潜んでいたようだ。

 シエラに対応してもらいたいところだが、他の騎士に襲いかかるトロールの相手で手いっぱいだ。


 と、そこへ。


「……まかせて。来い《門城鳥(モンシロチョウ)》……!」


『クエェェェェッ!!』


 リリアの腕と太もものつけ根から先に、輝く古代文字が浮かび上がる。

 すると、全身が鈍色に包まれた使い魔が現れた。

 前半身が鷲、後半身が獅子……色を除けば、グリフォンのような姿をしている。


 大きな鳴き声をあげると、翼を広げ、飛翔。

 そのまま舞夜たちの前方上空にて滞空。

 カンカンと音を立て、敵の矢を全て防いでみせた。


「すごいぞリリア!」


「……ん。ありがと、ご主人様。でも《門城鳥》の召喚時間は5分だけ。だから時間稼ぎにしかならない」


 ——どちらにしろ、ピンチには変わりないか……よし。


「サクラさん。ひとつ打開策があります。ですがそれを使うにはぼくの攻撃の手を止めなければなりません。耐え凌げますか?」


「苦しいが……それしかないだろう。やってくれ舞夜殿!」


「ご主人様っ、わたしも防御に徹します!」


「頼む、アーシャ!」


 そう言って、敵の攻撃を弾くとともに、舞夜は後方へと後退する。


 そして、彼の言う打開策。

 “狙撃魔法”を発動させるために意識を集中する。


 狙いは弓を持ったトロールたち。

 あわよくば、スキルを持った個体も巻き添えにする事だ。


 狙撃魔法は《黒ノ魔弾(ブラック・バレット)》や《黒ノ魔槍(ブラック・ジャベリン)》と違い、発動に時間がかかる。

 それゆえ、舞夜は前線を離脱したのだ。


 魔力の構築を開始して少し。

 皆の頑張りもあって、あと少しで狙撃魔法が完成する。


 だが——


 ヒュンヒュンッ!!


 彼の耳に嫌な音が聞こえてくる。

 見れば矢が数本飛んできているではないか。


 しかし、矢が飛んで来る方角が、先ほどとは違う。

 どうやら、さらなる増援が来たらしい。


 避けたい舞夜だが、動けば魔力の構築が解けてしまう。

 そうなっては、もうチャンスは訪れないだろう。


 矢が刺さっただけでは死にはしない。

 そう覚悟し、舞夜は魔力の構築を続ける。


「させませんッ!!」


 だが、その直後、アリーシャが声とともに跳躍する。

 そのまま両手の刀を交差二閃——


 飛来する矢を斬り落として見せた。


「ははっ……冗談だろう?」


 神技じみたアリーシャの剣技に、セドリックが乾いた笑いを漏らす。


 さすが勇者仕込みの剣術。

 そして《剣聖ノ加護》の力だ。


 守られた当の舞夜も、防御に徹するの意味が、まさか主人である自分を守るという意味だったとは……と驚くのだった。


 だがそのおかげもあり、たった今、魔法は完成した。


「死ね……。《黒滅閃(コクメツセン)》——ッ!」


 言葉とともに放たれたのは、一条の閃光。

 数十メートル先まで伸びる、漆黒の破壊光線だ。


 まずはトロール・ナイト。

 続けて、直線上に控える、弓持ちを含めたトロールどもの胸や腹を、次々と撃ち抜いてゆく。


 だが、これで終わりではない。

 舞夜はそのまま、皆の前に躍り出ると——


「曲がれぇぇぇ——!!」


 杖を横に薙ぎ払った。


 先端から放出される破壊光線が、ひしめき合うトロールの胴体を刎ね飛ばし、残りを殲滅した。


「ご、ご主人様!?」


「……ここまで、やるとは聞いてない」


「ひゃぁぁぁ!? いったい、何回下着を履き替えさせるおつもりですの!?」


 エルフ娘3人がそれぞれ舞夜に、驚きの声を。


「いや、本当は一瞬しか発動出来ない魔法なんだけど……」


 対する舞夜。


 彼の言うとおり、本来《黒滅閃》の発動時間は一瞬だ。

 しかし、彼の魔法構築技術は、ここまで魔力付与や融合魔法を発動することで格段にアップしていた。


 そして今回、《黒滅閃》を発動した際に、舞夜はそのことに気づいた。

 今の自分なら、発動時間の操作も可能なのでは? と——。


 結果は、見ての通りだ。


 ちなみに、シエラの漏らすペースを見て心配になった舞夜が、いっそのこと、オムツでも履いた方がいいのでは? と提案するが……


「赤ちゃんプレイでしゅのほぉぉぉぉ!?」


 と、シエラは興奮し、さらに漏らすのだが、それはまた別の話。


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