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【更新再開】朝起きたらダンジョンにいたんだが ~異世界転移?いいえここは現実世界です~  作者: sei10
第二章 帰還編

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67 国家予算並みの剣をプレゼントする男

男泣きはキツイ、それが今の俺の感想だった。


「うおぉぉぉおぁ、マコトォォ! まさかEXランクのダンジョンをたった半年で攻略するとは! うっ、また会えてうれしいぞぉぉぉおおお!」


「まぁ、運がよかったんだ」


一通り再開のあいさつも済んで落ち着いたのか、キングは質問を投げかけてきた。


「そういえば... マコトはどうしてここにいるんだ?」


たしかに、当然の質問だ。


「俺はこいつに頼まれて護衛としてついてきたって感じだな」


そう言って、床でのびている大吾を指さす。


「もともと、俺がこいつのレベル上げを手伝って、そしたら急に日本の政府だかがこの会議に出席してくれって大吾に要請してきたんだ。で、その手付金の半分を俺に渡すのを条件に護衛をするってことになったんだ」


「成程! ....てことは、さっきの戦いぶりはマコトだったのか? じゃあダイゴ本人の実力はどれくらいなんだ?」



大吾が茨城ダンジョンで戦っていた時のことを思い出してみる。 ...何と言うか、昔のキングと同じような戦い方で、せっかく鏡刃という強いスキルがあるのに耐久系のパッシブスキルに頼りっきりという印象が強かった。



「大吾の戦い方は攻撃をライフで受けて反撃を繰り返すような戦い方... かな。 結構頑丈だから、しぶとさだけなら俺より上かも知れないって所だ」


まだまだ改善点はあるものの、大吾を評価するならこんなところだろう。


「マコトがそこまで言うなら.... いやでも気絶してないか?」


しかし、キングは床でのびている大吾を見てそう言った。


「.....ある程度は状態異常の耐性もあるんだが、Sランク以上のスキルによるデバフは流石に抵抗(レジスト)できないんだろうな」


前に大吾のステータスを見たとき、毒や麻痺などの耐性が全く育っていないのを不思議に思って聞いてみたことがある。


すると、大吾の持っている法術スキル ”羅刹身体” は状態異常無効化の効果を持っているらしかった。だが、その結果として素の耐性が全く伸びておらず、羅刹身体はBランクスキルのためそれ以上の状態異常攻撃は余裕で貫通するというなんとも間抜けなことになっていた。


事実、俺が暴君との戦いで一番に警戒していたのは、あいつの持っていたSランクの毒系スキル ”侵蝕毒” だった。あれが当たれば、相当厳しい戦いになっていただろう。まぁ、当たる気はしなかったが。


「まぁ、一応そこら辺の対策はしておくように言ってあるし、大丈夫じゃないか?」


「ん~ レベル上げはどういう風にしたんだ?」


「57階層でハイオークを相手にさせてた」


「手助けはせずにか?」


「HPが3割切らない限りは手を出さなかったよ」


「なら本人の実力もレベル相応にはありそうだな。」


そのまま、大吾も精霊の持つ担架に乗せられて運ばれていった。一応だが式神に言伝を書いて大吾の手首に張り付けておいたので、もし何かあってもわかるようにはしておいた。


「このまま日本に帰るのか?」


「そうだなぁ。高校にも通って、社会復帰しなきゃな」


そこでキングは一呼吸おいて提案をしてきた。


「良ければだが、一緒に日本に行かないか?」


「どういうことだ?」


「俺も近日中に日本に行く用事があってな、そこに同行しないか?って話だ。マコトのレベルがレベルだから。目立ちたくないなら、ある程度秘密裏に登録できるよう取り計らうこともできるぞ」


たしかに、俺自身も自分のレベルがおかしいことは自覚している。やろうとすれば世界すらも滅ぼせる力を持った一般人が公衆の面前で探索者登録しようとしても、問題が起こることは必然だろう。


「信用できる人に心当たりがあってな、日本探索者組合の会長に話を通そう」


.......あのマッチョな人か。 確かにキングとは気が合いそうな人だった、主に筋肉で。


「ちなみにだが、元はどうして日本に行こうとしてたんだ?」


「二日後に妻と日本に行く予定でな、そこで両親と顔合わせをするんだ」


「え?」


「....あれ? 言ってなかったか。 俺の(ハニー)は日本人だぜ」


「あーね、そういう...」


それじゃ、邪魔しちゃ悪いな。


「俺はスキルで日本に戻れるから、現地で時間に余裕あれば落ち合う感じでお願いしてもいいか?」


「へ?」


「俺のEXスキルの一つでな、便利なのがあるんだ」


日本に残してきた式神の一つと、神足通に統合された入替転移(キャスリング)で入れ替われば一瞬で日本に帰ることは可能だった。


「なるほどな、ハハハ。じゃ、日本の探索者組合で落ち合おうか。日程は... あのメールアドレスに送っておくよ。一日目は二人で過ごすって言われててな」


「わかった」


キングには、なんというか... 三か月前とは違う、人の上に立つ者の雰囲気のようなものが感じられるが、自然な形で惚気(のろけ)話にシフトするのはいまだ健在のようで、そんな雰囲気は一瞬で消し飛んでいた。


「それにしても.... さすがはマコト、真の世界一位(ファースト)だな。人間では攻略不可能と言われたEXランクダンジョンを、たった半年で踏破するとは」


「なに? そのファーストって」


「あれだよ、世界で一番強いってことでファースト。俺はセカンドで、大吾がサードだ。俺のことを応援してくれてる人とか、政府のやつは俺のことをファーストって呼んでるが、ここまでのレベル差で俺の方がマコトより強いとか口が裂けても言えないよな」


「へぇ... でもさ、俺も大精霊召喚を使ったキングには勝てないと思うぞ?」


「何言ってるんだよ。そのお面、確かに大精霊の力を感じるぜ?」


キングは俺の腰に下げた般若面を指して言った。だが、今の俺はドクターストップがかかっており、素の状態で大精霊の権能を、しかも全力で扱えるキングには絶対に勝てると言い切れなかった。


「それはそうなんだが.... 俺は大精霊召喚を使えないんだよな」


「と、言うと?」


「大精霊の魂に、俺の魂が耐えられないんだ」


「あ! そういう事か。 たしかに.... 俺は炎だから耐えられたが、マコトは別の大精霊だしな...」


「何かわかるのか?」


「ああ、炎の大精霊の権能は炎だが、それと同時に再生や破滅を司る。その側面によって、俺は自分の魂を常時再生し続ける能力を獲得したんだ」


魂の再生.... アネモイの言っていた、権能による魂の回復か。だが、今の俺はまだ至れていない領域だし、そもそもそれが風雷支配で可能かどうかも分からない。


流石はキング。炎神と称されだけあって、俺よりも権能の扱いにおいては数段上を行っているな。


「情報ありがとな。お返しに何か聞きたいことがあったら答えるよ」


「.....マコトはいいアイテムとか持ってないか?」


「持ってるよ、それも大量に」


「....売ってくれないか?」


「おっけー、格安で売ってあげようじゃないか」


「助かる! マジでBランク以上のアイテムって少ないんだよなぁ。Cランクアイテムでも40層あたりまで行かないと基本手に入らないし、オークションでも最低100万でスタートでたいてい大富豪か政府が落札していくんだよ」









え?


Cランクで100万!? だったら.... 大吾にあげたSランクの魔剣って.... 億? 兆?


衝撃を受けている俺に、キングは更なる爆弾を投げてきた。


「ちなみに100万ドルだからな?」







???????????????






100万を.... 100倍?すると一億!? あれ?今は1ドル150円位だっけ... ってことは、たかがCランクで最低1億5千万!?


「Sランクの.... 例えばキングの血喰(ブラッドイーター)とかだといくらになるんだ?」



「前にアメリカ政府から一兆ドルで買い取らせてくれって打診があったな。まぁ、到底足りないし、マコトからのプレゼントだからな。即断った」







......一兆、ドル?








ちなみに、30~40階層に潜れるのはレベル100から200くらいの人だけ。つまり、英傑上位だけということ。


しかも、アイテムのドロップ率はアホみたいに低い。



キング

「やっぱり正式なEXランクにはなりたくないのか?」


主人公

「キングみたいに自分の写真がネットに溢れるようになる光景を想像したら鳥肌が止まらないよ」

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