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小林晴幸のネタ放流場  作者: 小林晴幸
ネタの放流場
16/55

夢を売る武器屋さん

これは割と最近思いついたブツです。

短編シリーズに出来そうですが……

小林は発想が貧困なので温めたい感じですが、温めている内に忘れそうなので。



 第3世界ジオスカーナ。

 そこは人間種族を中心に、多種多様な生態系が覇を競い合う世界。

 劣等竜種と呼ばれる魔物の一大棲息地として有名な絶望大森林の畔には、竜種狩りを目的とした人々で富み栄える都がある。


 【狩竜人(かりゅうど)の都:ファール】


 この都は多くの戦士達が武勲を、富を、繁栄を求めて集い、やがて戦いの中に沈んでいく全てを見守ってきた。

 集った戦士達を相手に様々な商いが発展し、竜狩りを前に必要とされる全てが揃っていた。

 武器も、薬も、野営道具も。

 苛烈な戦いの数多く発生する場所であるだけに、特に武具関連は他の都よりも格段に上の品ぞろえを誇っている。

 それだけに多くの武具商が軒を連ね、互いにしのぎを削っていた。

 やがて彼らはそれぞれの店で独自性を前面に押し出し、店の個性を先鋭化させて商売の売りとするようになる。


 ある店は汎用性を。

 ある店は希少性を。

 ある店は安さを。

 ある店は高級さを。

 オーダーメイドで一から客に合わせて作ることに特化した店もあれば、とにかく数を揃えたい客の為に豊富な既製品を揃えた店もあり。

 アフターケアなどのサービスに特化した店。

 武具を鍛えた職人の技巧高さを売りとした店。


 様々な店がある中で、店主エヴァンジェリン(※本名ギリアム)が率いる店は、その中でも特に独自性の強さがウリだ。

 というか、戦士の間ではキワモノとして名を馳せていた。


 武具工房【浪漫巣(ロマンス)】(※誤字に非ず)


 この店は――武具を通して夢を売る店。

 人は彼の店を『ロマン武器専門店』と呼ぶ。



   ♪


 一人の戦士がいた。

 この街に戦士など珍しくはない。

 だが、この時、この場所に。

 一人の、年若い戦士がいた。

 まだ幼さの残る顔立ちに、負けん気の強そうな眉が力強い。

 常であればギラギラと貪欲に輝く瞳は、だが今は若干の戸惑いに染まっている。

 一人の戦士がいた。

 武具工房【浪漫巣】の前に。


 戦士は以前からこの店のことを知っていた。

 知っていたが、今まで足を踏み入れたことはない。

 だがかねてより興味はあった。

 いや、この街で武具店の噂を聞いたことのある者で、全く興味を示したことのない者などいるのだろうか。

 彼もまた他の戦士より噂を聞き、一度ならず訊ね返したことがある。

 「その店の武具とは、如何なる具合か」と。


 戦士の耳にした話は然程多くはない。

 その殆どが荒唐無稽と思えるもので、真偽の程は戦士には掴めなかった。

 しかしこの店を利用したことのある者の九割が、言うのである。

 使い方さえ誤らなければ――あの店の武具は、己の今まで信じてきた世界を変え、常識を変え、武具の概念を変える、と。

 そして、上手く扱うことが出来たのなら――あの店の武具を使いこなすことが出来れば、どのような敵も敵ではなくなるだろう、と。

 

 ちなみに残りの一割は、あの店には近付かない方が賢明だと口にした。それがどういう意味でかけられた言葉なのか、判然とはしない。


 良い意味で、考えよう。

 戦士は己に言い聞かせる。

 彼には戦うべき理由と、目的と、義務がある。

 だが、手詰まりを感じ始めてから焦ってもいた。

 強くなる鍛錬を欠かしたことはない。

 しかし、それでも……と。

 今より格段の、急激な進化を戦士は求めていた。


 命を賭けるのは愚かしい。

 普段使いには向かない。

 そんな忠告めいた話も、戦士は耳にしていた。

 だが、戸惑いながらも躊躇いはなかった。

 強くなる手段がもしもあるのであれば……

 手段を選ぶべきではない。

 そう思いつめるほどに、彼は焦っていたのである。


 そうして、未だ年若い戦士は……

 一見して武具店とは思えぬ、ともすればまるで喫茶店か何かの様な、落ち着いた色合いのドアを開けた。

 殺伐としたところの少しもない、涼やかなベルの音が彼の訪いを歓迎して鳴り響く。

 かろん、かろん、と鳴り響く。

 音につられたようにして顔を上げたのは、店の奥にいたウェイターだった。


 ……ウェイター?

 

 何故ここに、ウェイターが、と。

 戸惑いは既に困惑へと高まり、戦士の足が立ち竦む。

 此処は確かに武具店であったはず。

 表の看板にもそうハッキリと明記されていた。

 間違っても、小洒落たCafé ではなかったはずだ。

 困惑に誘われて店内を見回すも、見えるもの見えるもの、全て鋼の色を鮮やかに主張する武具ばかり。

 良かった、と戦士は胸を撫で下ろす。

 確かに此処は武具店だ。

 妙な世風に振り回されて迷走し、挙句に血迷ったコンセプトカフェか何かでもない限り、武具店に違いない。

 たとえ店員が、ウェイターの格好をしていようとも。


 丁寧な物腰に愛想満点の微笑みを浮かべ、近寄って来る男は店員であろう。

 白いシャツに黒いベスト、ワインレッドの蝶ネクタイ。

 加えての喫茶店の店員風のエプロンを身に付けていようとも、此処が武具店である限り、きっと彼は武具店の店員だ。その筈なんだ。

 


 



店主エヴァンジェリン(本名ギリアム)

 がっしり体型ドワーフのオネェ。

 顔立ちはその辺にいるドワーフのおっさんと何ら変わらないが、ファッションは女装がデフォルトという異常な外見をしているため、人の視覚に常に暴力的な圧力をかけているようなものである。

 ドワーフの誇りであるはずの鬚には繊細なレースのリボン(手作り)。

 顔にも流行最先端のメイクが施されているが、基がごっついので顔面凶器でしかない。

 偏屈者の多いドワーフにしては気さくで世話焼き。母性が強い。

 素材採取の際に竜に襲われ、職人生命を絶たれた元鍛冶職人。

 左眼はかつて竜との戦いで潰れ、顔面のいかつさを底上げしている。

 失った右腕には鋼鉄製のガントレットを改造して作った義腕。

 愛用武器は義腕の右手。


鍛冶職人エルギーティアス

 鍛冶職人とは思えない細身のお兄さん。

 炎の熱で焼かれて肌は鋼色になっているが、尖った耳がエルフであることを証明している。

 鉄を嫌う妖精とは思えない貪欲さを発揮する武具マニアで、武具好きが高じて300年前から店主に弟子入りして鍛冶職に従事している。店主に弟子入りした理由は、種族的に中の悪いエルフを弟子入りさせてくれたドワーフの鍛冶師が店主だけだったから。

 変わり者同士だからか、師弟で割と上手くやっている。

 愛用武器は鋼鉄製の両手鎚(鍛冶道具兼用)。


仕入担当ハロルド

 各地を巡って伝説の武具やらロマン武器やら、武器に宿ってロマン武器として第二の人生を歩むことに同意してくれる英霊の魂やらを集める凄腕商人のおっさん。

 その成果は最早商人というよりもトレジャーハンターorネクロマンサー。

 出張業務の8割は冒険野郎的活動になる。

 恐らくその辺の冒険者よりも冒険している。

 方々を飛び回ってあまり店にはいないが、各地で多くの都市伝説をこしらえているらしい。

 愛用武器はライオン調教用の皮鞭。


売り場(ホール)担当

ギルバート(チーフ)

 爽やか系腹黒ドMの青年。何故かウェイターの格好をしている。

 奉仕精神旺盛で親切丁寧、清潔感のある身なり。

 物腰も穏やかで更に気の利く気配り屋さんと完璧な好青年。

 しかし爽やかな言動に紛れて目立たないが、根っからのM嗜好に染まった変態である。

 自分を虐げてくれる理想のご主人様募集中。

 エルギーティアスの孫でクォーターエルフ。

 外見は普通の人間にしか見えないが、エルフの血を引く為か魔法が得意。

 ……が、趣味に走った為に無駄に対象を痛めつける拷問系の魔法しか使えない。


カナン(バイト)

 のほほん天然なお姉さん(巨乳)。ナチュラルに言動は力押し。

 エプロンで強調されたお胸で数多くの男を魅了しているが無自覚。

 実は祖父が伝説的な狩竜人で、家には伝説級のナニかがごろごろしている。

 つまりは名士の血を引くお嬢様。

 のんびりしているがいざという時は素早く、害虫駆除が得意。

 虫も殺せなさそうに見えるが、近所の不良少年を殴って更生させた経歴を持つ立派な外見詐欺お姉さんである。(発想が体育会系)

 祖父の血に恥じぬ怪力の持ち主で、力仕事の時には重宝されている。

 20歳くらいに見えるが三児の子持ち(三つ子)で年齢不詳な未亡人。


エナガ(バイト)

 つぶらな瞳がどことなく小動物を思わせる女の子。

 明るく素直で純情、異性に慣れていなくて直ぐに赤くなる。

 恥ずかしがり屋で、そんな初心なところがオッサンどもに人気。

 仕入担当ハロルドの娘で、ギルバートとは幼馴染。

 将来の夢はギルバートのお嫁さん。

 だが相手のキャラが濃すぎる為か、中々勇気が出せなくて告白すら二の足を踏んでいる。 

 ハロルドに鞭の手ほどきを受けており、近隣地域の野犬の群れを鞭で忠犬の集団に躾け直して世話をしている。(動物好き)


セバスティアン(バイト)←本名セルランディディアス

 何故か執事の格好をして、従順低姿勢な執事っぽく振舞うエルフ。

 何故そんなキャラを演じているのか不明だが、徹底している。

 まず間違いなく変人であることは間違いない、黒髪のお兄さん。

 色々と謎めく技能の持ち主である。

 一見して売り場で最も異質な店員に見えるが、他の店員が外見は良心的な癖に中身や技能が常軌を逸しているため、表面上どう見えるかはともかく此奴が最も常識人的な位置づけにある。



売れ筋武具シリーズ

 [起死回生の切り札]シリーズ

  至高の一撃を繰り出すが、たった一度の攻撃で自壊する。

  まさに切り札、ここぞという時にお使い下さい。

  ちなみに研ぎ直せば再使用可能。

 [誓いの絆]シリーズ 双剣ver.

  親友あるいは好敵手といった特別な絆の相手と同一の敵を相手に同時使用時に限り、使用者同士の絆の強さに応じて必殺技を繰り出す。どのような攻撃になるかは使用者の能力に依存。

 [誓いの絆]シリーズ 大剣ver.

  愛し合う二人が一緒に使うことによって究極の一撃を放つ。

  攻撃の威力は二人の愛の大きさや強さに由来。

  互いに愛がなければただの鉄の剣でしかない。

  真に愛し合っていなければ破局の危機を招く諸刃の剣。

  (結婚を考えている男女や結婚記念日を前にした既婚者に人気。

  あるいは夫婦仲の悪い両親への無言のメッセージを込めて子供が買いに来ることも)

 [俺の相棒]シリーズ

  戦場にて散った古の英霊を宿した意思を持つ剣。

  たった一人の主の為に存在する、まさに相棒。

  使用者の戦闘指導から普段の助言まで幅広い交流が楽しめる。

  使用者が一人前の戦士となって英霊の心残りを晴らすことが出来れば英霊は昇天し、その前に剣が折れれば英霊は消滅する危険性がある。




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