8話
そして、いよいよ私達家族は馬車で二日掛けてハンドリー侯爵領へ向かう事になった。
侯爵夫人はお身体が弱く、その上足を痛めており、車椅子での生活の為、あちらの領地での顔合わせとなった。
ハンドリー侯爵邸に着くと使用人の皆さんや侯爵ご夫妻が恐縮しながら出迎えて下さった。
「遠い所ようこそおいで下さった。妻の足が悪く、ご足労お掛けして申し訳ない。私がこの屋敷の当主ハンドリー・ハリーダルトワで隣りが妻のオーロラ・ロレーヌです」
「いいえ、こちらこそご招待頂きありがとうございます。私が子爵家当主のゴドリッチ・ルーカス・バームと申します。隣りが息子のジョージ・ハドソンその隣りが娘のメアリー・マゼランでございます」
お互い、紹介し合った。
流石は侯爵邸、我が家の倍ほどはあるお屋敷だ。外観は落ち着きのある歴史を感じさせる建物だった。
「そろそろ息子も到着する頃ですのでこちらでゆっくりお寛ぎ下され」
そう仰ってくださり、豪華な応接室へと場所を移した。
その後、当たり障りのない会話をしながら過ごしていると、丁度お見合いの相手でもあるジオ・ベイリー様がお着きになった。
「お待たせして申し訳ありません。私がハンドリー・ジオ・ベイリーです。この度は遠い所をありがとうございます」
そう言って真摯にご挨拶をしてくださった。
そして私も少し緊張しながら返した。
「初めまして私はメアリー・マゼランと申します」
取り敢えず皆、無難に挨拶は終わった。
まあ常識はある方みたいで安心した。




