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4話
屋敷に着き、使用人にメアリーを居間に呼ぶようにと言うとやはり学院から帰ってきて夕食も取らずにアトリエにこもりきりだという。
そして居間に来たメアリーに今日の話をしてみたら、なんと自由にさせてくれる相手なら願ってもないと乗り気になっている。
お前はそれで女として本当に幸せなのか? と言うと、幸せの基準は人それぞれだと言ってのけた。
その上、瞳を輝かせながら言う。
「結婚してからも自由に絵を描かせてくれる貴族の男性なんて、そうそう居るものではないわ。
このお話を逃したら、私にとって、こんな好条件なお話、もう二度とないと思うわ」
それならばと半分諦めと納得で先方に返事をすることにした。




