27話
舞踏会当日、私は朝から侍女のアンに気合いを入れて磨かれた。
旦那様が揃えてさ下さったドレスやアクセサリーを身に付けて髪はハーフアップに結い上げて貰った。そして旦那様が待つ階下に降りるとそこにはとっても驚いた顔の旦那様が居た。
「とても良く似合っている」
そう言って少し照れているのが分かる。旦那様はそっと手を差し出して、エスコートをして下さった。
思わず私も顔が熱くなっていた。
そうして馬車に乗って王宮に着くと大勢の人目を感じた。
するとこれ見よがしにヒソヒソ話が聞こえてくる。
「もしかしてあの方が奥様?」
「結婚したとは耳にしたけれど本当だったのね」
「あれほど女性嫌いだったのにね」
「そういえば相手は確か子爵家の方だって聞いたけど、どんな手を使ったのかしらね?」
などなど、すると旦那様の顔色がみるみる変わってゆくので、これは不味いと思い、私は思わず旦那様の耳元で囁いた。
「私なら大丈夫ですから」
するとちょうどそこへ、オリバー様のお母様が来てくれた。
「メアリーちゃん、元気にしてたの?」
そう言って、大勢の上位貴族のご婦人達を引き連れて来て下さり、皆様に私の事を紹介していただいた。
すると先程まで噂話しをしていた令嬢達がバツの悪そうな顔をして去って行った。
それを横目に見ながらオリバー様のお母様がおっしゃった。
「メアリーちゃん、ああ言う輩は何処にでもいるものよ、絶対負けちゃダメよ、何かあればわたくしの名前を出しても構わないからね。いつでも助けてあげるから安心して強気に出なさい」
と言ってくださった。そして旦那様には少し強い口調でおっしゃった。
「これからは守る人ができたのだから今迄みたいにやり過ごすだけではダメよ」
すると旦那様は毅然として言った。
「勿論、必ず守りますよ」
隣にいた私は、顔が赤くなるのが自分でもわかった。




