22話
暫くして、旦那様がやっと休みが取れたので、この前の約束通り二人で王都の街にやってきた。
そしてシャーロットのお父様が営むヴァンドーム商会へと向かった。
数ある支店の中でも特に画材を主に扱っている店だ。店員に寸法を伝えてその中から選ぶのだが、真剣な顔で旦那様が悩んでいる。
「あの絵の雰囲気を壊さないようにあまり派手な色ではなく、これなんかどうだろうか?」
私にアドバイスを求めてきたが、実は私も一番それがしっくりきていた。
それを伝えると嬉しそうに微笑んでくださった。
こんな笑顔もするのだと驚いた。
そしてすぐに、領地にいる両親の元へと手配をしてもらった。
目的が済んだので、近くのおしゃれなお店で簡単な昼食を取る事にした。
「考えてみればこれが初めてのデートですね」
そう言って、二人して笑い合った。
王宮での仕事や私の絵の題材の話しなど意外と話は盛り上がった。
その後、店を出て、待たせていた馬車のところまで戻る途中、後ろの方から声がした。
「おーい、ジオー」
旦那様が振り返った。
「なんだ、オリバーか」
「何だはないだろう。こちらは確か奥方か?」
「はい、妻のメアリーと申します、結婚式の時はありがとうございました。あの時は時間がなく、簡単なご挨拶だけで失礼致しました」
「嫌、あの様な場所では仕方ない、いきなり大勢の人を紹介されたって覚えきれないよ。それよりせっかくだからこれからうちに来ませんか? 君、画家なんだってね。母は絵画が好きなんだ。是非、我が家のコレクションを見に来てよ」
「画家だなんて、まだほんの駆け出しです。でも今、題材に行き詰まっていて是非、拝見させて下さい」
「お前なーやっと取れた休みなんだぞ!」
旦那様がオリバー様を睨んでいる。
「奥方が見たいって言ってんだから黙ってつきあえ」
オリバー様は笑顔で返す。
そして、その後、私たちはオリバー様のお屋敷に向かうことになったのです。




