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14話
義両親が仲良く二人で花の香りを楽しんでいる。
確かあの花はマーガレット? 嫌、違うカモミールだ。
マーガレットより小振りの花でハーブティーの原料にもなっているりんごに似た香りの花だ。
そんなお二人の姿があまりにも絵になっていて、つい時間を忘れて描き出す。
するとコンコンと扉の外から音がした
「どうぞ」
と言うと王都から付いて来てくれたアンがお湯の入った洗面器を持ってきてくれた。
着替えを手伝ってもらいながらアンに話しかけた。
「お義父様とお義母様は本当に仲がよろしいのね」
「領地に戻られてからは何処に行くにもいつもお二人ご一緒で本当に羨ましいです。そう言えば来月が丁度二十五回目の結婚記念日だってお聞きしました」
「あら、それでは何かお祝いしないといけないわ」
何かお好きな物はないかしらと考えながら外を見た瞬間、あー今まさに描き始めていたお二人の絵を、仕上げて渡せたら喜んで下さるんじゃないかしら? と思い早速デッサンを続ける事にした。




