10/33
10話
その後、三ヶ月ほど経った頃、王都の私達の屋敷に侯爵様達をお招きして、私の学院の卒業を待って婚約し、その後半年してから結婚式という運びになった。
兄からは本当にそれでいいのかと何度も確認されたが、私の頭の中は既に学院の勉強から解放されて思う存分絵が描ける喜びでいっぱいだった。
まさか結婚後、あの時の伯爵令嬢に嫌がらせを受ける事になるなど、この時の私は夢にも思わなかったが。
結婚後、実はお互いの家族には内緒だが、私達二人の間では簡単な取り決めをしていた。
それは互いに干渉せず最低限の社交は一緒にする事。
使用人の手前、夫婦の寝室はあるがその部屋を挟んで別々の部屋で過ごす事、互いの家族の前では普通の仲の良い夫婦として振る舞う事など。
それらは、私が言い出したと言うよりは女性との会話が苦手だという彼からの提示だ。
勿論、願ってもない事なので、私の方も大好きな絵を自由に描かせてくれさえすればなんの異存はないと伝えた。




