第68話→親玉、よくあるパターン。
やばひ・・・・・・何も思いつかないww どーしましょww
それを言葉で表すとしたら、ガサゴソ、などといった生ぬるいものでなく、ブワッだろう。
そう。まるで水が湧き出るように、ブワッと奴らが湧いてきたのだ。
「ギャァァァァア!!ヘルプッ!!これ無理だってば!!」
本能的なものでギリギリ後ろに飛び退くことができた俺は、全力ダッシュで走る。
「ちょっ!!こっち来んなアホ!!」
「・・・・大人しく殺られろ」
後ろに黒い波を引きつれている俺を見た純と旅人は、我先にと玄関へ走る。
二人ともさすがにこいつらは手に負えないらしいな。
「糞虫!!二階には美味しそうな女の子がいるからそっちに行けぇ!!」
俺も急いで玄関に向かいながら、そんなことを言ってみた。
いやぁ、人間、やっぱり我が身が大事だよね。
生け贄、生け贄っと。
きっと奴らも、むさ苦しい野郎より女の子のがいいはず・・・・・・ん?・・・・・・あれ?
「おぃぃい!!何でこっち来るんだよッ!!」
奴らは、二階に上がる素振りすら見せずに、俺たちの方へ向かってきた。
「お前が巣に殺虫剤をブチかましたからだろうが!」
「うるせぇ!!あの時の俺の気持ちを察しろよ!ああする以外の方法があったのか?!」
「・・・・・・お先に」
俺と旅人が言い争いながら玄関でもたついている間に、純は玄関を飛び出した。
「ちょっとま・・・・・へ?」
慌てるあまり、旅人が無残にも転倒してしまった。
「・・・・・・・御愁傷様」
俺はそう言い残して、純の後を追い掛けた。
「ちょっ!!こっちくるんじゃねぇ!・・・・・・やめ、それ以上近づいたらこの殺虫剤で・・・・おい、なんで効いてないん・・・・・ギャァァァァア!!」
そんな旅人の断末魔が聞こえてきたのは、それからすぐのことであった。
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「なぁ、アレ、なんなんだよマジで」
奴らから逃げるために、俺と純は神社に向かっていた。
純曰く、あの黒い悪魔たちからは、微力ながら妖気のようなものを感じるらしい。
とりあえず、純の親父さんに相談することにした。
しかし奴ら・・・・・。
「・・・巧いな」
純が感嘆したように呟く。
そう、奴らは隠れるのがとっても巧いのだ。
一般の人から見えないように、巧みに隠れて俺と純の後ろを追っている。
家にはあとどれくらい残っているのか・・・・。
チラッと思っただけで鳥肌が立ってしまう。
「よし、俺はここで時間を稼ぐ。義秋は聞いてこい」
俺は、そんな死亡フラグバリバリな台詞を吐いた純の言葉に一つ頷くと、一気に神社の階段を駆け上がった。
☆☆☆☆
「純、これを」
7分ジャスト。
全力で戻ってきた俺は、数枚の札を純に渡した。
純の親父さん曰く、奴らは、世間で殺され続けたゴキ○リの霊。
なんで家に現われたのかというと、まさに“偶然”だったらしい。
まったく、誰だよ毎度毎度厄介ごとを持ち込んでくる奴は。
俺は多少の苛立ちを込めながら、ウジャウジャと湧いている奴らを、お札で清め始めた。
純の親父さんが言うには、親玉となっているジャイアントゴキ、略してJGを倒せばこの湧き続ける奴らは消え去るらしいんだが・・・・。
なんともめんどくさい。
ソッとため息を吐きながら、俺はJGの住みかである俺の家の冷蔵庫の下へ急いだ。




