第67話→黒き悪魔との戦争。其の壱
今日の学校帰り、電柱にとまっている奴を見ました。 幽霊なんかより怖いと思うのは作者だけなんでしょうかね?w
「・・・・・・奴が出た?」
季節が、夏から少し涼しい秋へと移行し始めた、とある日曜日のことだ。
蜜柑と苺が、身を震わせながら俺の部屋にやってきた。
こちとら、壊れたパソコンの修理がやっと終わり、積みゲーを少しづつ減らしていく作業に没頭したいのに。
なぜ、よりによって今湧き出てくるんだよ、奴は。
ドタドタドタ、と、大きな足音を立てながら、迷梨、夏那華、ルシフ、蒼樹も、転がるように俺の部屋へ入ってきた。
「よ、よよよよ義秋!何!?何なのあれは!!」
「・・・・・あんな生物が人間の世界にいたなんて驚きなの」
夏那華は俺をガクガクと揺さぶり、その横で迷梨が顔を青ざめながら呟く。
ふむ。魔界の方に奴はいないのか。
「・・・・ご主人様。早くなんとかしてくれないと、安心して料理も作れません」
「く、黒いの、黒いの・・・・・黒、黒・・・」
なぜかわからないが、この四人は最近料理に目覚めた。
苺や蜜柑指導のもと、着々と調理技術を磨いている。
まぁ、そんなことよりも、なぜか蒼樹が壊れそうになってるんですけど・・・・・。
「しょうがないな・・・」
俺はパソコンの画面をそのままに、武器となるものを探す。
奴は、すばっしこいうえに飛んで反撃をしてくる時もある。
言っておくが、俺もやつは大嫌いだ。
「・・・・よし」
俺は殺虫剤を左手に、丸めた雑誌を右手に持ち、奴との戦争を始める心の準備を開始する。
さて。黒い悪魔をいっちょ狩ってきますか。
皆の尊敬のような眼差しを浴びつつ、俺は戦場へと足を進めた。
☆☆☆☆
カサコソ・・・・・・。
台所付近で、何者かの足音がする。
間違いない。奴は居る。
目を凝らしながら奴を探すと、冷蔵庫の下から奴の半身が見えた。
「ち、ちちちちちょっと待て。あ、アレは反則だろう」
奴の姿を確認した俺は、その場から一旦退避し、純と旅人に援護要請の電話をかける。
なんだあの大きさは。
軽くカブトムシと見間違えてしまった。
俺はゴクリと唾を飲み込み、奴の姿を思い出す。
とたん、ゾワッと身の毛がよだつのを感じた。
今はただ、仲間が来るのを待つことしか出来ない。
3人だけであんな化け物に勝てるのかと、不安を胸に抱きながら。
☆☆☆☆
「・・・・・無理無理無理無理無理」
旅人が無理を連発するのも頷ける。
応援に駆け付けた純と旅人は、なんだよたかがゴ○ブリにびびってんのか?と俺を馬鹿にしていたが、奴の姿を見た瞬間の、二人の驚愕の顔は凄まじかった。
それでもまぁ、なんとか殺せた。
しかし、恐怖はまだ序章にすぎなかった。
カサコソ・・・・・・。
殺したと思った奴の足音が再び聞こえてきたのだ。
カサコソ、カサコソ・・・・・・。
しかも、その音が複数。
冷蔵庫の下から、まるで軍隊のように4匹並んで出てきたときは、情けなくも悲鳴をあげてしまった。
なんとか高い所に非難したはいいが、奴らはなんと、死んだ仲間の体を貪り、フニュンという効果音とともに分裂した。
これには、驚く以外のリアクションがとれるはずもない。
呆然と、自由に部屋の中を闊歩する、さっきの2倍の8匹に増えた奴らを視線だけで追う。
俺たちは、このままじゃ埒があかないと、捨て身で突っ込む覚悟を決めた。
たぶん、巣みたいなものが冷蔵庫の下にあるはずだ。
それさえなんとかなれば・・・・そう思い、殺虫剤を足元に吹き掛けながら冷蔵庫へ近づく。
ちなみに、俺が今使っている殺虫剤は、かなり殺傷能力は高いと思う。
それなのに奴らときたら、吹き付けても数秒後には動きだしやがる。
まぁ、その隙をついて、エクスカリバー(ただの丸めた雑誌)でなんとか殺しているのだ。
「よしっ!これであとは・・・・」
とりあえず、部屋内に放出された奴らは殲滅を完了した。
家主ということで、なぜかラスボスな雰囲気を放っている冷蔵庫の下を綺麗にするため、俺は冷蔵庫の下に殺虫剤を吹き掛けた。




