第66話→過去話、答えはただの理不尽な。
時間がないw誰かじっくりと小説を考える時間をくださいww
どうやらさっきの女の子は生徒代表らしく、1年生を代表して校長に挨拶の言葉みたいなことを言っている。
2年生の方から、「早くしろよ暴力女ァ!」「いい尻してんなぁ・・・」等、明らかにその女の子への暴言が吐かれる。
教師共は、なぜ見て見ぬフリをするのだろうか。
純から宥められて少し落ち着いた俺は、着々と怒りゲージを蓄積させていく。
そして、女の子が壇上から降り、自分のクラスに戻ろうとした時、いきなり躓いた。
さっきの2年生グループの誰かが足をかけたらしい。
そこで俺は動きだした。
「はい実行犯。今のは言い訳なんて出来ないよな」
自分が今まで座っていたパイプ椅子を手に持ち、そのまま2年生グループへ投合した。
「痛ぇ・・・・・誰だ今やったのは!!出てこいゴラァ!」
2年生グループが、ゾロゾロと出てきて声を荒げる。
静まり返る体育館の中、俺のクスッという笑い声が体育館の中に反響した。
「あらヤダ旅人さん。わたくし、ゴラァ!なんて言う不良実際に居るとは思いませんでしたわよ」
「義秋さん。言っちゃダメですわよ?言った彼が不憫になりますわ」
俺と旅人がちょっとしたショートコントを披露すると、怒鳴った2年生の顔がみるみる赤くなるのが目に見えるくらいわかった。
「てめぇら!1年のくせしていい度胸だ!!かかってこいや!!」
俺はその台詞を待ってました、とばかりに駆け出した。
「言っとくけど、先に挑発してきたのはそっちだからな?これは身の危険を感じた、そう。例えるなら正当防衛みたいなもんだ」
誰に言い聞かせるでもなく、俺はそう言って2年生グループの中に突っ込んでいった。
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ぶっちゃけ負ける気はしなかった。
数秒遅れて乱入してきた純と旅人。そして俺。
3人揃えば、出来ないことなんて少ししかないのだ。
しかし、結果は予想外のものだった。
そう。まさか、2年生グループをほぼ無傷で蹂躙していく俺たち3人が、被害者である女の子からボコボコにされかけるなんて、誰が予想出来ただろうか。
俺はただ、今にも泣きそうな女の子にこう言ったのだ。
「戦えるなら戦え。我慢はするな。俺は、可愛い女の子が泣くところなんて見たくないんだよ」
「でも、私が戦ったら・・・・・」
「君が強いことは知っている。なら、なおさら戦うべきじゃないか?・・・・・・大丈夫。責任は俺たちがとってやるからさ」
俺がそう言うと、女の子は顔を赤くしながら数秒間何かを考えて、それから俺たちに襲い掛かってきたのだ。
何を考えているのか、マジでわからない。
グダグダになった入学式はなんとか終わり、教育指導室に連行される俺たち3人に、女の子はこう一言。
「ありがとう」
謎はさらに深まるばかりだ。
その後。校長を交えての職員会議が行われ、2年生のグループは学校側も手に余っていた生徒たちだったらしく、俺たち3人は怒られるというよりむしろ誉められた。
こうして、入学式を境に、俺たち3人の名前は、全校生徒に知れ渡ってしまったのだ。
☆☆☆☆
「なぁ、そういえばさ」
「・・・・ん?」
とある放課後。立夏の日直の相方が休みのせいで、なぜか俺が手伝わされるはめになった。
黒板消しを立夏に任せ、俺は窓の鍵を閉めながら、ふと思い出した疑問を口にする。
「立夏さ。なんで入学式の時に俺たちに襲い掛かってきたんだ?あれは今だにわけがわかんないんだけど」
「・・・・・あれか」
立夏は苦笑しながら呟く。
「なんだかな。自分がある奴の一言で変わってしまったことへの腑甲斐なさと、変われたことへの嬉しさを何かにぶつけたかった、からかな」
「・・・・・つまり八つ当たりみたいなもんか」
俺のため息と、立夏の微かな笑い声が教室の中に響く。
平和だ。そう思えるような時間が、空を漂う雲のように、ゆっくりと流れていた。




