第64話→乙女の一歩。
グダグダな上に眠さと戦いながら書いたから誤字脱字ありまくるかも・・・・。
義秋と結花がキスをしているのを目撃した立夏の心の中は、何とも言えない感情に支配されていた。
妹が自分より先に大人の階段を1歩進んだのが羨ましい?それもある。
妹に先を越されたのが悔しい?それもある。
でも、一番大きな感情は・・・・・・・悲しい。
今まで味わったことのない悲しみ。
何かを大切なものを失ったような、そんな悲しみ。
立夏の瞳に涙が溜まっていくまでに、そう時間はかからなかった。
「・・・・・・何、してるんだ?」
喉の奥からやっとの思いで絞りだした声の頼りなさに、立夏は少し苦笑する。
「!?・・・・・お姉、ちゃん・・・」
結花ちゃんは目を見開き、俺の肩越しに何かを見ている。
うん。もう驚かないぞ。
嫌がらせにも似た間の悪さにはもう慣れた。
俺は怒られる覚悟をしながら、ゆっくりと振り返る。
「・・・・・立夏?」
立夏は俺を怒るでもなく、ただただ、悲しそうな表情でこちらを見ている。
その後ろから、夏那華や迷梨たちの声が聞こえてきた。
「なぁ、義秋」
そんな中、立夏は小さな声で呟く。
まるですぐにでも霧散してしまいそうなその声を、俺は全力で拾い上げる。
「・・・・・なんだ?」
「・・・・・・・私は、何を間違ったんだろうか。義秋が私を助けてくれたあの入学式の日から、私の気持ちは決まっていたのに」
入学式・・・・そういえば、“裏では”そんなことがあったっけな。
「・・・・私に勇気がなくて。自分に自信が持てなくて。・・・・・・こんな、こんな気持ちになるとは思ってなかった。・・・・・・・でも、言わせてくれないか?遅くなったかもしれないけど、受け取ってくれないだろうか?」
立夏は俺に近づいてきて、そのまま抱きついてきた。
「義秋。私は、お前が好きだ」
開いた口が塞がらないとはこういうことを言うのだろう。
立夏が俺を好き?
あの、旅人たちと問題を起こす度に何かしらの体罰を、特に俺を重点的に与えてくる立夏がか?
「・・・・・あのさッ」
立夏のことは嫌いではない。好きか?と問われれば、友達としてはかなり好きな部類な入るだろう。
でも、立夏が今言った“好き”は、友達としてはないんだろうな。きっと。
「俺は――――んぐっ!?」
立夏は俺の言葉を中断するように、人差し指を俺の唇に当てた。
「返事は、まだいい。どうせ今の私に対する答えはわかっているからな」
俺の唇から離した指を自分の唇に当てて、クスッと笑う立夏。
「今は皆みたいに積極的なことは出来ないけど、必ず・・・・・ね?」
・・・・はっきり言って、あまり積極的になられるのもどうかと思うんだけど・・・・・・。
「結花にも、負けないからな?」
「・・・・・・・・・はいっ!」
立夏の問い掛けに、結花ちゃんが元気よく返事をする。
外野の方から、「また義秋の犠牲者が増えたの」なんて声も聞こえてくるが、無視だ、無視。
「そうだ義秋!お風呂に入りにこないか?」
「・・・・・・ちょっと待て立夏。話が唐突過ぎてわけがわからん」
「むむ・・・・確かにそうだな。・・・うん、簡単に説明すると私と皆の差を埋めたいと思ってだ」
「・・・・・・差?」
「うん。私は皆より少し出遅れた位置に居るんだし、取り戻さないと不利になる」
・・・・・ん〜?まったくもって意味がわからないんだが。
俺が首を傾げていると、そんな俺の手を掴み、立夏が走りだした。
「ちょっ!?」
「問答無用!!」
まるで拉致されるかのごとく去っていく俺を止めようと皆は動きだすが、残念ながら皆が俺に追い付くことはなかった。
次回は過去話でも書きましょうかね?




