第49話→死の楽譜。
え、えろすが足りない・・・・・誰かオイラにえろすをわけてくれぇぇぇぇえ!! ってなわけで、えろす不十分で小説がグダグダになってる作者です。
とりあえず、今回もグダグダになっているので期待はしないでください・・・・orz
俺たちの前に姿を現したのは、黒い片翼の男だった。
銀髪ではなく黒髪なのが少し残念・・・・・・って、俺は何を考えてるんだ。
頭を2、3度振り、その男を睨む。
「久しいな・・・・・・ウリエル」
黒次がウリエルに声をかけると、ウリエルは、蒼樹、俺、黒次と視線を移動させ、フンッと鼻を鳴らした。
「会いたくは、なかった」
ウリエルはそう言うと、手を上に翳す。
「とりあえず、死ね」
ウリエルの言葉を合図に、地面のいたるところから、鋭い木の根っこが飛び出してきた。
・・・これは・・・・父さんと母さんを殺した魔法か?
「わたくしは、聞きたいことがあるのです」
黒次の影が、全ての木の根っこを飲み込む。
「闇の楽譜〈デス・スコア〉を、持っていますか?」
黒次の言葉に、ウリエルの動きが停まる。
「・・・・持って、いたら?」
愚問ですね、と呟いた黒次は、地を蹴り、ウリエルとの距離を縮める。
「・・・貴方を殺します」
「ハハッ!蒼の精に呼ばれてきてみれば、こんなに楽しい体験をできるとはなっ!」
ウリエルは唇の端を大きく釣り上げると、地面に手をつく。
「・・・・・・奈落」
その瞬間、地面に大きな穴が開いた。
「ッ!?・・・・・危ないですね・・・青年、離れておきなさい。その穴は、地獄まで繋がっていて、落ちたら二度と出られませんよ」
「・・・・・おぅ」
俺は黒次の言葉に素直に頷くと、蒼樹の手を引いて後退した。
ここは俺の出る幕じゃない。
次元が違いすぎる。
ウリエルと呼ばれている男を見ながら、そう実感した。
黒次は影を操り、それを背中に集める。
影は少しづつ形を変えていき、翼を形成した。
「貴方と、地で戦うのはさすがに不利ですからね」
黒次は、ウリエルから距離をとるように空へ舞う。
「・・・・ラファエル相手じゃ、流石にきついか」
ウリエルは舌打ちしながら、苦笑いする。
・・・・ラファエル?なんかどっかで聞いたことあるような・・・。
「ラファエル!!・・・お前の目的はこれ、だったか?」
ウリエルは懐から、黒い紙きれみたいなものを取り出した。
「・・・・やはり、持っていましたね。・・・何枚持っているのですか?」
「まだ、3枚しかないけどよぉ。・・・それだけで十分だ」
ウリエルは、その黒い紙を胸に当てて言葉を呟いた。
「演奏〈Performance Start〉」
その瞬間。
ウリエルの体から妙なメロディが流れてきた。
そのメロディは、聞くだけで欝になりそうな、とても気持ち悪い音。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
突然黒次が悲鳴のような声をあげた。
気のせいか周りの木々まで悲鳴をあげているように聞こえる。
俺はただ、呆然としながらその光景を見ていた。
背中の翼が飛び散り、地面に墜ちる黒次。
次々に枯れてゆく木々。
気がついたときには、ウリエルを中心に、あらゆるものが枯れていた。
黒次はミイラのようになり、思い出の蒼い樹はその面影すらない。
まるで砂漠の中に立っているような、そんな感覚に襲われる。
「はぁ・・・はぁ・・・・。やはり、恐ろしいな、コレは」
ウリエルはそう言いながら懐に黒い紙きれをしまう。
そして、高笑いしながら視線を動かす。
「ハハッ!!あのラファエルがこのざまだ!根強い木々がこのざまだ!・・・・この力があれば、誰もオレに逆らえな・・・・・・ぃい・・・・」
その視線が俺を捉え、ウリエルの瞳が動揺で揺れ動く。
「な・・・なんなんだ・・・・お前、は・・・・・」
「い、いや・・・・俺はただの・・・」
口の中が乾燥して、うまく言葉を発することができない。
「彼は、ただの契約者、ですよ」
「なっ!!・・・・に・・・・・・」
俺の代わりに黒次の声が聞こえる。
瞬間、ウリエルの首が宙を舞った。
「やれやれ、第一楽章程度でわたくしを殺せると思っていたとは。笑えない」
舞ったウリエルの頭を、影で包み込みながら黒次は呟く。
「・・・青年、よく無事でしたね」
ウリエルの懐から黒い紙きれを取出しながら、黒次が俺に声をかけてきた。
「・・・・・それ、一体なんなの?」
俺は黒い紙きれを指差しながら、黒次に質問してみる。
「これは、ある曲を書いた楽譜です。・・・・その曲は、聞いたものに死を与える、とても恐ろしい曲なのです」
「死を・・・与える・・・・」
俺は枯れてしまった木々を見て、ブルッと身を震わせる。
「第一楽章でこれなのです。全ての楽章を聞いたらどうなるか・・・・予想できますよね?」
「・・・・・・あぁ、簡単に予想できるな・・・・・・・って、あれ!?そういえば蒼樹は!?」
俺は蒼樹がいないことに気づき、キョロキョロと辺りを見回す。
まさかさっきので、消えたんじゃ・・・・。
「彼女は大丈夫ですよ。礎となる樹は枯れてしまいましたが、わたくしの影で護りました」
そう言って黒次が指を鳴らすと、俺の足元の影から蒼樹が現われた。
「彼女は少し気絶しているだけ、すぐに目を覚ますでしょう。その時は、手を差し伸べてあげてください」
黒次はニッと笑って、自身を影に溶け込ませていく。
「・・・一つ、いいか?」
「・・・・・なんでしょうか?」
体の半分を影に覆いながら、黒次は動きを止めた。
「お前・・・本当に悪い奴なのか?和月先輩の両親を殺したのは、本当にお前なのか?」
「・・・・・・・」
黒次は、沈黙したまま、再び影で自身を覆い始めた。
「おい!!なんでっ!答えるくらい、いいだろ!!」
「・・・・・・・・・青年、次、もし会う機会があれば話しましょう。しかし、今はまだ早い。楔家のお嬢さんにも、貴方にも、まだまだ強くなってもらわないと。・・・・恨む対象がいた方が、人は強くなれますから」
段々と、黒次の気配が薄れていく。
「それと青年。・・・女難の相がでていますよ?」
「・・・・それは言われんでも、薄々感づいてたよ」
フフフと、微かな笑い声だけを残し黒次の気配は完全に消え去った。
残された俺は、冷たい風に吹かれながら蒼樹を抱き抱え、音もない暗やみの中をゆっくりと歩きだす。
「色々ありすぎて、頭痛くなるな・・・・」
さっきの本のことも、何で俺は無事だったのかも、そして一番気になるのは、黒次のことだ。
勘、的なものでしかないんだが、アイツは悪い奴じゃないと思う。
それなのに、なぜ和月先輩の両親を殺したみたいなことを言って、和月先輩の怨みをかったのか。
まぁ、考えてもわからないことばかりだが。
俺は大きな欠伸をしつつ、自宅への帰路につく。
次に黒次に会ったとき、どんな質問をしようか、なんて考えながら。




