表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【超訳】小倉百人一首   ~百の彩り 百の想い~  作者: 桜井今日子
さあ本編 まず飛鳥から 平安初期 月を眺めて 景色を愛でて
9/110

007 心のよりどころの月

7 天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも

 あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも


【分類】人生


【超訳】やっと帰れる。

この中国から見える月も、あの故郷の三笠山の上に出ていた月と同じなんだよな。ようやく帰れるんだなぁ。


【詠み人】安倍仲麿あべのなかまろ

遣唐使に従って留学生として中国・唐へ渡った。玄宗皇帝(后が楊貴妃だったことでも有名)などに仕え30年近く中国に滞在した。望郷の念が募り、帰国が許されたが、船は難破し、安南(現ベトナム)にたどり着く。結局、唐に戻り故郷に戻ることは叶わず、かの地で亡くなった。


【決まり字】あまの(3)


【雑感】これも有名な歌ですよね。字面を見ていると、広々とした夜の野原の向こうに三笠山が見えて、その上に美しい月が浮かんでいる光景が目に浮かびます。百首中唯一異国で詠まれた歌です。

 この歌は30年以上唐で仕え、望郷の念にかられ帰国を許され、仲間達が開いてくれた宴で詠んだ歌とされています。帰国が決まってようやく故郷に帰れることになり、どんなにか嬉しかったでしょう。あたりまえですが、月は地球のどこからでも眺められます。きっとそれまでもその月を見ながら故郷に想いを馳せていたことでしょう。三笠山の上に浮かぶ月をようやく見られると思っていたのに……。

 船が難破して帰国は叶わず、彼は唐の地で亡くなられました。中国に渡ってから54年が経っていました。今と違って海外へ行くことなんて一生の一大事。時間もお金もかかるし、何度も帰国の機会もなかったのでしょう。

 こんなにも故郷を想っていたのに、この歌を詠んだあとも実際の故郷の地を踏めなかったかと思うと胸がしめつけられます。こうした方々が昔から日本と世界を繋いでいてくれたのです。さまざまなことを学び、世界から中国から文化や風習を日本へ持ち帰り、日本をよくしてくれました。そのまた逆もしかりです。日本の誇りを世界に広める。

 世界と仲良くしないとね。世界は素晴らしいし、日本も素晴らしい。それぞれ認めて手をとりあえるのが一番だよね、とつくづく思います。

 月にはさまざまな力があると思います。地球の人々を照らす。導く。地球の人々の想いを受ける。あの月の下には故郷がある。あの同じ月を懐かしい人々も眺めている。心のよりどころとなる永遠の月。そして対照的に儚い人の命。

♪次回予告

008 ウワサの真相は?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ